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決戦 4



                 ◇




 (必殺、必勝の攻撃だった…あの野郎、それを躱しやがった…有り得ない、有り得ないが…これは事実だ。”力”を使っても仕留めきれなかった…これが奴の実力か…)

 

 オークに狙い澄ました一撃を繰り出した。だが奴は直前、ギリギリで身体を斜め後ろに引いて魔剣から逃れた。いや、完全に逃れたわけではない。

 短剣の剣先には、奴の血がべったりと付いていた。研ぎ澄まされた短剣の刃は、オークの頑強な肉体に吸い付き、切り裂くことに成功したのだ。

 

 (だが…まだだ…本当なら短剣の根元まで突き刺すはずだった。だが…それは失敗した)背後にいるオークに向き直ろうと、身体を返しながら啓亜は悔しがった。

 

 (”力”はあと二回残っている…こうなったら全部使いきってでも奴を倒す。いや、使い切るつもりで攻めないとこっちがやられる)

 

 啓亜は強く心の中で決意した。もうこの場から逃げ出すことは出来ない。なんとしてでもオークのリーダーを倒さないと生きてこの場に立っていることは出来ない。

 

 (奴は傷を負った。たとえかすり傷でも、痛みは相当なものだろう。さっきまでの奴とは違う。絶対に隙が出来る。今度こそ…今度こそ、だ。絶対に決めてやる!)

 

 啓亜は身体を丸め、腰だめに短剣を構えると前傾姿勢を取ると、オークに向かって突進した。奴の鍛えられた肉体にダメージを与えるには、”斬る”では不充分だ。身体ごとぶつかって、スピードの乗った啓亜の体重を利用して”突き刺す”事が肝要だ。

 

 オークもこちらに向き直った。啓亜は、奴の顔を真っ直ぐ見据える。苦痛に歪んだ表情だが、闘気を掻き集めた薄茶色の眼が、燃え上がっているかのように見えた。

 腰を落としてどっしりと構え、両手剣を中段に構える。視線を少しだけ下に向けるのが見えた。こちらのフェイントを警戒しているようだ。

 

 (…小賢しい豚が…今度は逆なんだよ)

 

 啓亜はオークのカウンター攻撃の構えを気にせずそのまま突っ込んだ。眉間がひりつく。研ぎ澄まされた啓亜の闘争本能が教えていた。自身の眉間をオークの剣先がしっかり捉えていることを。剣先から発するオークの闘気は凄まじく、距離が離れている啓亜にまで届いていた。

 

 (まだ負けねぇってか?お前はもう終わりなんだよ!)啓亜も負けじとオークの発する闘気の中に身を躍らせる。

 

 腰を落としたオークの下半身が、啓亜の突進に合わせて反応する。中段に構えられた両手剣を持つ手に力が込められ、弓を引くように、折り畳まれた両腕がほんの少し後ろに引き絞られた。

 

 (…来るか…!突きだな…だがまだだ…!)

 

 啓亜はオークの動きを注視する。

 

 薄茶色に彩られた奴の眼が光る。

 

 腰に力が入る。

 

 肩が少し動いた。

 

 

 (…!! 今だ!)

 

 啓亜の心臓の鼓動が一瞬強くなる。

 

 (止まれぇぇっ!!!)

 

 

 

 『…

 

 

 

 再び、頭の中で女性の囁きが響き渡った。

 

最近、めっちゃPV増えています。皆様御読み頂きありがとうございます!


まだ書き溜め分はあります。ちょっと冗長な部分があります…心理とか

状況を必要以上に書いてしまいテンポが悪くなってしまい申し訳ありません。


ただ、現在は自分にとって重要と思っているシーンですので、ここは描き切り

たいと思っています(すみません)


これが終わったら、テンポの良さも心掛けていきたいと思います。もしよければ

この後もお読み頂ければ嬉しいです。

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