学校を休んで行く旅行:皆勤賞は良いことだけれど、皆勤じゃないことも大切だよねって話
学校を休んで旅行に行くことを肯定するか?という調査に、6割の人間が否定的だという結果があるらしい。
「世間の皆さんは非常に真面目だなぁ」という感想と共に、これに関する自分語りでもしてみようかと思います。
私自身、小学生3年の時に祖父・母・私という組み合わせで、学校を3日ほど休んで広島旅行に行ったことがあります。
元校長・教頭で作る地域グループの懇親旅行ツアーに祖父が参加し、その世話をするため母が同行。せっかくだからと私がついて行った形でした。別段学校が休みというわけではなく、普通に授業がある時期。
地元は絵に描いたような旧態依然とした田舎なので、当時はこういう理由での休みどころか「風邪をひいたくらいで休むなんて」と公言して憚らない人たちもいました。さすがに今はいなくなったようですが。
そんな中で唐突に「旅行に行くので1週間休みます!」と言い出したのは前例がない事態。当時の担任の先生は勉強面の心配に加え、クラスで浮いてしまわないか不安だったようです。
もっとも勉強面の心配は杞憂でしたし、何ならそれ以前からクラスで若干浮いていたから大して変わらないという……。
学年で唯一の眼鏡着用者で(当然コンタクトはいない)、読書量からくる屁理屈の暴力で口喧嘩は小賢しく、休み時間は集団で遊ばず図書館で本の虫と、目立つ存在でした。なお隣町の塾に通っていたお金持ち勢(学年に数人だけ)には学力で勝てないので、成績で周囲を黙らせる系の手段も持たず。
今になって考えてみると、先生が心配する気持ちは分からなくもないですね。いじめ問題がメディアを騒がせていた時期でもありました。
なんか話が逸れてきたので旅行の話に戻りましょう。何だかんだで故郷を嫌っているわけでもないですし。
今までいろんな旅行に行きましたが、この時の思い出が私の人格形成に一番影響してるように思います。
明らかに通行を想定していない急な角度の架け橋があり、面白そうだからとよじ登ったら「国宝だから登っちゃダメだよ?」と言われた厳島神社。あと鹿に追いかけられて怖かった一幕も。
最初にレモン汁をかけたまま忘れて放置してたせいで、食べた頃にはすっぱい味しかしなくなった旅館の生牡蠣。
途中でツアーを離れて家族3人だけの旅行に切り替えて行った原爆ドーム&平和記念公園では、署名活動をしている人に何千円かの寄付と共に署名をしました。その後に見て回った資料館の出口に「敷地内での募金・署名活動は禁止しているのでご注意ください」の注意書き。そこでようやく騙されたことに気付いたというオチ。
……失敗ばかりですね。でも、楽しい思い出です。
算数や国語の勉強も大事ですが、こういう経験も良いんじゃないかな? と思います。少なくとも自分自身としては、学校を休んだことを後悔する結果にはなりませんでした。
というか、1週間や2週間休んだ程度でついていけなくなるならば、テストの点の前に勉強のやりかた自体がおかしいのではないかなと思います。特に小学校の授業の場合、おさらいをしている時間が長いわけですし。Z時代のドラゴンボ●ルのアニメ放送みたいな。
そしてそんな考えで自分で勉強を進めるせいで、先生が教える方法と違ったやり方で解きだす困ったちゃんが私です。
多産多死&人口増の時代であれば、画一的な教育が向いているとは思います。大量生産品用の生産ラインの場合、多少の誤差や取りこぼしは前提で数を捌いた方が効率的です。
でも今は小産小死で、しかも人口減。きめ細やかに手をかけて、価値の高い物を作っていくやり方でないと未来がありません。存続の危機だからこそ、そこには多様性も求められます。
そうした流れで登場したのが「ゆとり教育」。地域に根差した教育、自ら学ぶ教育への転換です。
成功したかどうかは賛否あります。その性質上、地域や学校によってどうしても差は出てくることでしょう。マスメディアの報道が無意味に不安を煽る方向一色だったのは正直どうかと思いますが。
個人的には、教室で黒板を写す勉強だけではない教育へのシフトは必須だと考えています。学校を休んで行った旅行は本来の意味での修学旅行だったと、胸を張って言えますから。
真面目に学校に通うことを絶対視する6割の方々は立派です。
ただ、既存の枠組みに囚われすぎなのではないかなと感じます。努力・苦労そのものを神聖視して目的化してしまっているような……。
努力も苦労も社会を支えていくために、そして個人の幸福のために必要な物。
それを見失って努力量チキンレース。努力の判定基準が苦労の量しかなく、しかも同じ方向性の苦労でなければ評価しないとなると、だれも得をしない我慢大会となってしまいます。
あるいは、「自分たちの頃はもっと大変だった」「学生としてのor社会人としての常識を考えて」と言い募るものの、口にできない本心は「私は頑張った。褒めて慰めて優しくして」なのかもしれません。それが叶わないならばいっそ、同じ不幸を共有して仲間になってほしい心理……? ゾンビみたいですね。
年度末のこの時期に「1年間クラス全員無欠席を達成しました!」みたいなニュースを耳にするたび、無理をしていないか、個々人の事情が無視されていないか心配になるのです。
休まず頑張った人は偉い。でも、休んで別の活動から知見を得ることも、認められてほしいなって思います。
あと体調(精神面を含む)が悪いときは休め。悪いことは言わんから休め。いのちだいじに。
短いですが、話を膨らませたら全く別の話題に飛躍していったのでばっさりカット。今回はここまで。
ちなみに子供向け劇団のショー開催日が旅行日程と被っていました。
妹達は旅行よりショーを選んだので、父親と一緒にお留守番。