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ちょきんぶぅ  作者: やばくない奴
嫉妬編
15/31

一体の化け物と、一人の化け物

 白い髪の少女が怪物と戦っている間に、黒い髪の少女は生き残った住民たちを一か所に集め終わっていた。彼女は無事に住民たちを安全な場所へと避難させ、安堵のため息をついた。しかし、あの化け物を倒さない限り、いずれは日本中が更地と化すだろう。もちろん、超能力者の少女もそれをよく理解していた。

(私も…………あの女に手を貸そう。だが、あの怪物を倒した後はアイツを止めなければいけない。アイツは…………金を稼ぐためにちょきんぶぅをばら撒いている)

 彼女は化け物が暴れていた場所へと引き返すことにした。



 その頃、怪物は白い髪の少女を追いかけ回していた。一見、少女は逃げ回っているようにも見えるが、目の前の強敵から姿を隠す素振りもまるでない。彼女はサービスエリアの跡地に五台のタンクローリーが並んでいることに気付き、真ん中の一台の上に飛び乗った。それを見た怪物は、迷わず彼女を殴り飛ばそうとした。

(かかった…………!)

 白い髪の少女は、攻撃をかわすようにその場から高く跳躍し、少し離れた場所に着地した。それとほぼ同時に、化け物の拳を叩きこまれた一台のタンクローリーが爆発し、その炎が引火した残りの四台も連鎖的に大爆発を起こした。

「縺ゅ▽縺???縺?繧後°縺溘☆縺代※」

 怪物は悲鳴をあげ、炎に包まれながら苦しんでいる。


 この爆発は、現場に向かっている最中の超能力の目にも映っていた。

(なんて無茶な真似を…………アイツ、死ぬのが怖くないのか? 一歩間違えれば、自分だけ無駄死にしていたかも知れないのに………………)

 彼女は呆気にとられ、化け物を焼いている業火を二度見した。化け物は火だるまになりながらも白い髪の少女を追い回している。


(化け物め…………やっぱり、タンクローリー五台の爆発程度じゃかすり傷か)



 少女は、何を血迷ったのか怪物の両足の間に滑り込み、そのまま仰向けになった。



「!?」


 予想外の出来事を前に、超能力者の少女は困惑した。そして、超能力を使って白い髪の少女の真意を読んだ時、彼女はもう一度驚いた。


(いくらなんでも無謀すぎる………………しかし、確かにこれしか方法はないかも知れない………………)


 彼女は目の前の少女の力を信じることにした。



 化け物は足元の少女を殺そうと、必死になって地面を殴り続けた。その一発一発の威力は凄まじく、大地は激しく振動する。

(動け…………僕の体………………!)

 白い髪の少女は、地響きに抗いながら化け物の攻撃を避けていった。彼女は相変わらず化け物の股の下で横になり、そのまま上半身だけを動かすことで拳を避けている。化け物の怒涛のラッシュにより、アスファルトには勢いよく亀裂が入っていく。

(そうだ…………その調子だ)

 当然、理性のない怪物が少女の思惑に気付くはずもない。怪物は本能に従い、機械的に少女に攻撃しようと暴れているだけなのだ。少女は寝転んだまま少しずつ動いていき、化け物の打撃による亀裂を使って直径五メートルほどの円を描いた。円の形は少しばかり歪だったが、それが彼女の作戦に支障をきたすことはない。最後に、白い髪の少女は円の中心に移動し、その一点を怪物に殴らせ続けた。


 やがて、化け物の攻撃と振動に耐えきれなくなった地面が崩れ、その場には直径五メートルほどの大きさの穴が生まれた。その深さは、二十メートルを軽く超えていた。


(よし、作戦通り)


 少女と怪物は、そのまま穴に落ちていった。少女は空中で体勢を整え、両足で穴の底に着地した。しかし、怪物の方は無造作に落下し、その衝撃により土の壁が崩壊し始めた。

(早く……脱出しないと…………)

 彼女は崩れ行く内壁を必死で駆け上がり始めた。その姿は、子孫を残すべく滝を登っていく鮭のようでもあった。土砂崩れは容赦なく彼女を突き落とし、そのたびに彼女は立ち上がった。化け物もまた必死で足掻いたが、下手に暴れれば暴れるほど壁は崩れていくばかりだ。化け物は、とうとう土砂に沈んで消えていった。

(勝った…………後は脱出するだけ………………)

 少女は壁から壁へと飛び移ることで、出来る限り土砂の流れに巻き込まれないよう試みた。何度突き落とされても、彼女は死に物狂いで抗い続けた。そして、彼女はいよいよ地上に脱出し――――――



――――――超能力者と対峙した。

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