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ちょきんぶぅ  作者: やばくない奴
嫉妬編
12/31

嫌われ者

 その日の帰り道、秀平(しゅうへい)はちょきんぶぅと出会った。彼は両腕でそいつを

抱え、最寄りの駅の多目的トイレの中へと連れ込んだ。

(ここなら人目につかないだろう…………これでどんな願い事も出来る)

 秀平はにやりと笑った。

 それから、ちょきんぶぅはいつものようにちょきんぶぅ三大原則や注意事項について話し、秀平もそれを神妙な顔で聞いていた。



 彼はすぐに願い事を決めた。



「四千円の『神子柴聖也(みこしばせいや)が嫌われ者になる』を叶えてくれ!」

 秀平はそう言うと、ちょきんぶぅの背中に五千円札を投入した。その直後、その背中からは一枚の千円札が吐き出された。

「叶えてやったぶぅ。じゃあ、ぶぅはもう行くぶぅ」



 この願い事が後に取り返しのつかない事態を引き起こすことを、秀平はまだ知らない。そればかりか、その結末はちょきんぶぅにさえ予想出来ないものであった。



     *



 秀平の願い事により、聖也の体には異変が起きていた。

「ぜぇ…………ぜぇ……………………」

 彼は頭を抱えつつ、電車の中でもがき苦しんでいた。そんな聖也を心配し、その近くに立っていた女性は彼に声をかけた。

「あ、あの…………大丈夫ですか?」

 彼女の声は、聖也の耳には届いていない。彼の筋肉は勢いよく肥大化し始め、千切れた血管から血を噴き出し始めた。

「蜉ゥ縺代※窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ」

 彼は化け物のようなうめき声をあげ、歪な形状と化した大きな腕で女性を捕まえた。

「…………!?」

 彼女が助けを呼ぼうとしたのもつかの間――――――



――――――彼女の血肉が車内に飛び散った。



「お、おい! 早く警察を!」

「逃げなきゃ…………」

「どけ! 俺は死にたくない!」

 電車内は大混乱だ。その上、化け物が更に巨大化したことにより、車両は真っ二つに分断されている。乗客たちは死を恐れ、互いを突き飛ばすような勢いで「聖也だった何か」から逃げようと試みた。



 彼らの目の前には、全長三メートルほどの大きさの化け物がいる。その風貌は、まさに「修羅」そのものだ。



「闍ヲ縺励>」

 化け物は真っ二つになった電車の片方の断片を蹴り飛ばし、もう片方を両腕で投げ飛ばした。一方は高層ビルの上部に深く突き刺さり、もう一方は高速道路を粉砕した。

「隱ー縺句勧縺代※?」

 もはや、この怪物に神子柴聖也の面影はない。秀平の望み通り、聖也は「嫌われ者」になったのだ。

「蜒輔?窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ隱ー繧よョコ縺励◆縺上↑縺??縺ォ窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ」

 化け物は線路の架かった橋から飛び降り、広い道路に勢いよく着地した。その衝撃により、何台もの自動車やいくつものアスファルトの破片が爆音と共に飛び散った。化け物の飛び降りた場所には大きなクレーターが生まれ、その周囲から亀裂が走る形で全方向に地割れが発生した。この地割れに巻き込まれ、数えきれないほどの命が闇の中へと吸い込まれていく。

「隱ー縺銀?ヲ窶ヲ蜒輔r豁「繧√※窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ窶ヲ」

 この修羅のような怪物は、その強大な力をもってして自らの目に映るもの全てを破壊していく。


 後に、そいつをしとめるべく警察や自衛隊が駆け付けたが、化け物の鋼の肉体には銃弾が通らない。彼らは皆、その圧倒的な怪力によって呆気なく瞬殺されていった。空の高い所から援護射撃を試みていた航空自衛隊の戦闘機も、怪物に投げ飛ばされたデパートや駅ビル、高層マンションなどによって撃墜された。



 辺り一面が瓦礫の山と化すのに、そう時間はかからなかった。化け物はその場を後にし、次の街を破壊しに向かった。

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