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Colorful World   作者: ユーキ
1/1

玖珂 相馬

「こりゃまた、酷いなぁ。集団自殺か」


刑事である鑑 五朗は、顎の無精髭を撫でながら呟いた。


「ってか、いつまで吐いてんだ新入り」


「ずびばせん…見慣れてなくて」


そう言いながら、柱の影から真っ青の若い女性が出てきた。

彼女は、赤谷 由美。

最近、刑事になったものの、元来グロテスクな物が嫌いな由美にとって、この場所は最悪だった。


「死因は全員、失血死でしょうね」


検視官は血を撒き散らして倒れている女子生徒達を見ながら、そう言った。


「学校の教室で自殺大会。世も末だな」


自殺と断定したのは、全員が自分の首を切り裂いたであろうナイフを手に持っていたからだ。

更に争った形跡も防御そうも無い。

そして何より、


「これで3件目ですか」


由美の言った通り、この手の事件は3件目。

どれも同じ学校の一教室で、複数人の学生、しかも全員が女子生徒が、ナイフで頸動脈を切って死亡していた。

当初は、大量殺人を自殺に見せかけたモノかと思ったが、ナイフの指紋は被害者のものの目撃情報は無し。

じゃあ、カルト教団が絡んでるのかと思ったが、そうでも無し。

ただ一つ、共通しているのが、


「コックリさん、懐かしいですね。私も学生の頃、やってましたよ」


近くの警察官が五朗に言った。

机の上に五十音表とはいといいえの書かれた紙に、十円玉。

コックリさんと言うゲームをやっていたのだろう。


「どうなってんだ、こりゃ」


五朗は、また無精髭を撫でながら言った。


ーーーーーーーーーーーーー


「うわぁああああああああ!!!出たぁああああああ!!」


今井 孝は、最近、東京へとやって来た大学生である。

必死に勉強して、東京の大学へと進学したはいいものの、金を節約する為に、曰く付きアパートへと入居したのが運の尽き。

毎夜毎夜、女の幽霊が現れておちおちゆっくりする事も出来なかった。

盛り塩を置いてみたが、効果無し。


仕方がないので近くの除霊師を呼んだのだが、その男は、孝の家に来るなり、ビールとツマミを要求しテレビをつけて晩酌を始めた。

苦情を言うと、幽霊が出たら退治してやるよ、と言われ、気の弱い孝はそれ以上何も言えなかった。

仕方なく一緒にテレビを見ていたが、ビールのお代わりを頼まれ、キッチンへと向かった。

冷蔵庫を開け、ビールを取って扉を閉めると、そこにいつもの幽霊がいた。


「ちょっと!! 出ましたよ!! こいつです!!」


「あぁん?」


除霊師を名乗るよれよれのスーツを着た男がしぶしぶ、ビールを片手にリビングから出てきた。


「おぉ? 結構な美人じゃないの? 頭の血が無けりゃ見栄えも言いだろうに」


男は幽霊を見てビビるどころか軽口まで叩いた。


「そんな事言ってる場合じゃないですよ!?

どうするんですか!? 清めの塩なら有りますよ!?」


「はぁ? 塩なんざ幽霊に聞くわけないだろ?

こうすんだよ」


そう言うと男は、拳銃を取り出し幽霊に向かって撃った。

弾が当たると、幽霊は吹き飛んで霧状になり、四散した。


「…あんた、何者?」


「玖珂 相馬。 ただの酔っ払いだよ」


そう言って、スーツの男はまたリビングへと戻った。







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