第6夜 レッツ、クッキング!!
さて
「で、セラはこのまま転がせて置くとして....」
「あ、私夜通し様子を見てます」
セラが物凄い物言いたげな目で睨んできたが、ミアの台詞を聞いて目を和ませた。
「んじゃぁ、部屋をあてがう必要は無いと」
時計を見ると7時半を少し過ぎていた。
いろいろあり過ぎて空腹を忘れていたよ。
「ふぅ、で、君らの分も用意した方がいいのかな?」
「え?ああ、夕ご飯ですか、できればご相伴に預かりたいですね」
トテトテと、歩いて来るミア。
「で、バンパイアはご飯食べるの?」
その辺の説明が無かったな。
「はい、できれば病人食を」
「アナタがたと同じので構わないわ」
「ダメです!あの傷の深さじゃ絶対消化器系もダメージを受けています!!」
なんかお母さんみたいだな。
「ミアは見た目通りの年なのか?」
「はい、それが何か?」
「.....苦労してるね」
「セラさんですか?まあ、恩人ですから。多少の苦労には目を瞑らないとセラさんに失礼って物です」
.....なんか訳あり?
何気無くセラの方を見るがツンと澄ましている。
「.....米炊くの面倒だから病人食はスープでいいかな?」
「.....手作りですよね?」
「そもそもレトルトを切らしてる」
本当に面倒な時以外は基本的に自炊だ。お隣さんに仕込まれた腕は伊達じゃない!!
・・・・・・・・・
「....おいしい」
スープを一口啜ったセラが小さく呟いた。
(ある程度なら歩けるようになったらしい)
「凄いですね大河さん、手伝おうかと思ったんですが手際が良過ぎて私、完全に足手まといでしたもの。で、当然のようにおいしいし」
ミアが惚れ惚れとした表情で言う。
「結婚してヒモになったとしても文句を言われないレベルね」
なんか引っかかる褒め方だな.....。
「働くよ?金稼いで家の事もやれるオールマイティーな男になるよ?」
「あのー、子供は?」
ミアが控えめに聞いて来た。
「子供の世話くらいはね、して貰わないと」
「逆に言うと子供の世話は面倒?」
.......さすがバンパイア。年期が違うようで。
「子供が出来たら、ちゃんと遊んであげますよ」
「本音は?」
「....本音もなにもコレが....」
「本音は?」
.....全部奥さんに押し付けたいです。
「だからコレが本音って言ってるでしょ、セラさん」
「スープはおいしいけど、嘘つくのは下手ね」
.....バンパイアには読心術でも備わってるのだろうか?
まあ、今日が金曜日だったのは不幸中の幸いだな。
いろいろ聞かなきゃいけない事もあるだろうしな。