第一話
ステータス・落ちもの女子高生
状態異常・羽はえてます
持ち物・セーラー服(初期装備)
追加・金髪金眼の龍族
小さく小さく折りたたまれて、そいからどうっと押し流される夢を見た。ここ数日ずっとだ。魘されてろくに睡眠をとることができなかった私、上城紗綾は思いっきり不機嫌だった。そして眠かった。時は昼休み。さあ舌なめずりする欲望に忠実に私は机にダイブした。
あ、落ちた。暗闇。その瞬間。
「え」
本当に落ちた。顔面落ちだ。怖い。手も足もこれ以上にないくらい開いている。みっともないだとかちょっと考えてる余裕はない。
「いやあああああああああああああああああー」
声もかすれて満足に出やしない。のどに張り付く声。がくがくふるえることもできない。パンツなにそれおいしいの?状態だ。しぬ死ぬ死ぬ死ぬ!ぐちゃだ。ぐちゃ。そんなのは嫌だ。絶対死にたくない。
私は広げた。棒きれのような手足を突っ張り顎をひき、たとえぷちぐちゃとなろうとも風を受ける面積をすこしでも、大きくとろうと必死だった。
その時の私は極限状態で少しおかしくなっていたのだと思う。
「きゃああああああああああああああああああ!」
ばさり、頭上に影がある。たすけられた?ちがう。肩甲骨のあたりが熱い。それと同時に窮屈なところから抜け出てこれたような奇妙な安堵感がある。ただ、急降下していた私は失速し、半死体のようになったままつりさげられ状態になったのだった。
何に、なぜか、私の背中から生えた翼に。
***
地面に降りてしばらくぐったりしたあと自分を包むようにある翼に触ろうとして果たせなかった。半ば見えていた結果に苦笑い。半透明なのだ。プルンとした手触りでなくてよかったともいえる。むしろこの状態でよく飛べたものだ。
そしてどうやら墜落した場所は森の中の未知の建物っぽいところだ。
どこですかここはー。
翼の中で手をひらひらさせながら、うつむきがちになる。いやいや暗くなってる場合じゃあないのはわかってるよ。わかってますけども、これは酷いですって。ここってどこですか。い、異世界とかいやいやいや。でもフラグがたってるし。っていうか背中から生えてるからなあ。
背中に羽生えてるのが普通なのかなあ。ここは天国か。
死後の世界?それにしては現実味がありすぎる。とりあえず建物っぽいなにかがあってよかったあ。何か動物のマーキングに似てる気もするけど当分人と会うまでここを拠点に活動しよう。
当面の目的を決めたら少しだけ元気が出た気がする。誰にも会えないわけじゃない。ほらよくいう飛んでいくっていうのが今の私にはリアルにつかえるわけだし。でも本当はそんな状況に陥らなければ一番良かったのではないかと。あああああああああ。自問自答やめ。私はぐるぐるしすぎる人間だから一人ぼっちって向いてないけどこうなったからには空元気でもがんばるぞ!