はじまりの物語
――むかしむかし ベジタラディアという
野菜たちが幸せに暮らす
平和で素晴らしい国がありました
ですが、ある時 恐ろしい悪者が現れたのです
その名も悪の魔法使いパプリカ
その見た目と同じ
黄色い炎は 暗く深い闇の呪いをかけ
たちまちベジタラディアを飲み込んでしまいました
作物は枯れ
水は濁り
太陽さえも輝くことはなくなりました
魔法を恐れる野菜たちは、
ただ震え、祈ることしか出来ませんでした
その時、1人の勇者が立ち上がったのです
黄金に輝く大きな身体を持つかぼちゃは
たった一人でパプリカに立ち向かいました
希望の光と呪いの炎は激しくぶつかり合い
空は裂け 大地は割れ それは凄まじい戦いでした
けれど、最後に立っていたのは――
黄金のかぼちゃでした
彼は魔法使いパプリカの呪いを解き
またベジタラディアに平和を取り戻したのです
野菜たちは歓喜し
勇者かぼちゃを国王として迎え入れました
それから ベジタラディアは
また平和で素晴らしい国として
新たな時代を始めたのです――
これは誰もが知っている物語。
子供たちが最初に覚える“正しい歴史”。
だが、この物語には描かれていないものがある。
悪の魔法使いパプリカの最期。
呪いが解かれたはずなのに分裂したままの大地。
もう何年も姿を見せていないかぼちゃ王。
それでも、野菜たちは疑わないのです。
これが本当にあった歴史だと教えられているから。
ただ一人を除いて。




