第9話 天音の心意
もうすぐ終わりますよ。とにかく終わりますよ
それは人が関わってはいけない者、そもそも関わる事が出来ぬ存在、故に人はそれを欲しがるただひた
すら貪欲に……それを防ごうとする者もしかり。愛そうとする者もしかり。
だが、出来うる限り関わるべきではない。ゆえにその禁忌の者もそれを求め絶望し、消えゆく。
それがまさに今ここで物語を終わらせようとゆるりゆるりと歩んで行く。
これで何度目だろう?数回?数十?数百?数万?それも分からぬほどに心身共に疲労している。
しかし、この現では歩みを止める事は出来ぬ。現は回る。グルグルと廻る。何もかもを乗せて廻る。
それしか出来ぬように それしか知らぬように その者も彼の者もあの者もすべて。
終わりは在り 終わりは無い だが終焉はある。何者にも生なき物も何もかも……
そう、何者にも終わりは在り 無い。故にヒトは努力をし進歩する。時に光へ 時に闇へ
ふらりふらりとヒトはそれに気付かず、その者はそれに気付き絶望し
時に嘆き 怒り 呆れ 故に狂気とかし、故に慈悲を送る。のらりくらりと行く宛もなく光で在り闇で
も在る者
女で在り男で在り 人に近き者で在り人から遠き者でも在る。その姿を与えしはヒトで在りヒトで無い
故に力を持ち 力を持たない。故に従わず 従順なり。
貴様は何を望む?世界か?富か?色欲か?願いは聞いてやろう。
しかし、それは光で在り闇 希望で在り絶望
それでも望む者は妾に縋れ、乞え、願え、欲しろ。そして狂気し狂え、自分が分からぬほどに他人が分
からぬほどに、さすれば願いは叶うだろう。それが世界であろうが、富であろうが、何であろうが……
そう妾であろうが
妾に消えて欲しくば歌え 唄え 謡え 謳え 詠え あの鎮魂歌を
愛おしく 狂おしく 狂気と破滅に満ちたあのレクイエムを
そして
――――私は
――――妾は
――自分にケリをつける。すべての為に、彼の為に……
だからこそ、私は”妾”を押さえこんで私自身が鎮魂歌を、レクイエムを仕上げる。
自分にしか出来ない鎮魂歌を
あと、1,2話で終わるかと思います