パンダさんの百物語!
古い木造の学生寮でした。
何でも旧陸軍の兵舎だったそうです。
二階の一番奥の突き当りの部屋。
いまはしっかり施錠され誰も入ることができません。
なぜ、封印されてしまったのでしょう?
これは、おじいさんが先輩から聞いたオハナシです。
ジメジメとした蒸し暑い晩でした。
眠れないのか、みんな食堂でいつまでも酒呑んで騒いでた。
草木も眠る丑三つ時、ひとりが妙なことを口走ったのです。
「二階の空き部屋な、あそこ出るぞ」
戦時中、イジメを苦にした二等兵が首を吊った。
それ以来、夜な夜な廊下を軍靴の足音が響き渡る。
「肝試しだ、オマエ今からあの部屋へ行ってこい」
先輩は一番新入りの後輩に命じました。
後輩は恐る恐る部屋に入ります。
「うわっ!」
何と壁一面に赤いペンキで兵隊の絵が描かれていた。
気味が悪くなった後輩はあわてて部屋を出ようとした。
その時、壁から赤い兵隊たちが抜け出したのです。
赤い兵隊は後輩を取り囲み唄ったり踊ったり。
「ぎゃああああーっ!」
後輩は金属バットでメチャクチャに殴りました。
そして黄色いペンキで兵隊を塗りつぶしたのです。
帰りが遅いと、先輩たちが部屋をのぞくと・・・
天井から壁・床まで黄色に染まった部屋の真ん中で、
後輩はゲラゲラ笑いながら敬礼していたのです。
「黄色い部屋」由来の一席でございます。
ひえええええぇーっ!
パンダさん、ビビッた。こんな怖い話はハジメテ。
どうしよう、今晩トイレ行けなくなっちゃう。
しかし怖い話だったなあ。
これはボクだけがチビッていてはモッタイナイ。
この恐怖を誰かに伝えたくてウズウズ。
さっそく家へ帰って寝ていた奥さんを叩き起こした。
いいか、よく聞け。今から怖い話をするぞ。
怖いぞぉー、モラすんじゃないぞぉー。
あのな、開かずの間があってな、そこへ入るんだ。
何でって?ねっ熱帯夜だったからよ。涼みに行ったんだ。
するとな、赤いチャンチャンコの小人が出てくるんだ。
カワイイ?バカ、怖いんだぞ。イジメなんだぞ。
その小人がおててつないで輪になって踊るんだ。
タッタカター、ピーヒャララ、ドンジャラホイ!
楽しそう?じゃねーよ!コエーんだよっ!
で、その部屋中、黄色いペンキ塗りたくるんだ。
どーして?って、お色直しだよ!リホームだよ!
それからバンザイするんだ。どーだ、怖いだろう!
あっ、寝ちゃうなよ。ハナシは最後まで聞けぇ!
パンダさんの百物語!
決して覗いてはなりませぬ・・・
・・・・・・・・・・To Be Continued




