パンダさんの太陽がいっぱい!
夏です!夏夏夏夏ココナッツ!
いやあ、暑いですね。最高気温見るのもウンザリ。
さすがのパンダさんもグロッキー。
どこかへ避暑せねば命にかかわります。
そうだ、海へ行こう!
海は広くて大きくて月がのぼるし陽は沈むのです。
しかし海はとてもとても遠くにありました。
たどり着くまでに干からびちゃう。
じゃあ、プール?近所にあるけど古いし狭いし塩素くさい。
今時分はガキンチョいっぱいで監視員までいるでしょう。
「いやいや、そうでもないぞ」
プールサイドでかき氷屋のバイトしてたシロクマが貴重な証言。
確かに古いし狭いし塩素くさい。ガキンチョも監視員もいる。
だが、こういうプールこそが穴場なのだ。
大体、おねえさんというものは夏用に新しい水着を買う。
早く着たいし、カレシにも見せびらかしたい。
だけど、海や遊園地のプールはひとが大勢でハズカシイ。
ヘンピなプールでまずリハーサルするのです。
なに、別に水に入るわけじゃないんでカマワナイ。
周りはガキばかりと油断し無防備に肢体をさらしてくれるのだ。
そうしてシロクマは恩恵にあずかり目の保養!存分に堪能した。
おおっ、それは盲点であった!
かくてパンダさん御一行様、プールへやって来た。
ところが連日の猛暑で、ガキンチョ殺到!大混雑!
ハイレグおねえさんなんて、いやしねぇじゃねえかっ!
せめて監視員がビキニで楽しませてくれたならの願いも空しく、
海パン一丁小太り男子学生が監視台で怠惰にふんぞり返ってる。
直射日光ギラギラ!ガキはウルサイ、水は生ぬるい、不快指数MAX!
何のためにこんなとこまで来たんだぁ!
しかし、せっかくワザワザ来たのです。
このままではあまりにも不毛!何かあるハズだ。
ここに来た意義というか意味というか、アカシが欲しい。
フト見るとスベリ台がありました。
けっこうな高さから急角度ですべるのです。
歓声と水しぶき上げてプールにすべる様は、
いかにも涼しげで楽しそうではありませんか。
これだ!パンダさんはガキンチョに混じって並びました。
そしてテッペンへの階段を一歩づつしっかりと昇っていった。
ついに頂上だ!パンダさんの番です。
パンダさんは雄大な景色を見下ろしました。
「?!」
スベリ台は高くそびえ立っています。
眼下に小さくプールが見えました。泳いでる連中が豆粒のようだ。
そして問題は、このスベリ台の角度です。
いやもうこれはスベリ台などというシロモノではありません。
ただの斜面、断崖、絶壁じゃねえかっ!
これはスベルとは言わない!垂直落下!バンジー!投身自殺だ!
パンダさんは無言でキビスを返した。
イブかるガキンチョかきわけて、一方通行の階段を逆に降りてく。
「退くこともまた、勇気なんだよ」
パンダさんの背中はそう語っていた。
パンダさんの太陽がいっぱい!
なぜなら、太陽がまぶしかったからさ!
・・・・・・・・・・To Be Continued




