パンダさんの世紀末救世主伝説!
202X年、世界は核の炎に包まれた!
海は枯れ、地は裂け、すべての生命体が死滅したかにみえた。
わずかに生き残ったヤツラもいた。
だが、国家は機能を失いモラルも崩壊した。
世界は再び暴力の支配する時代になっていた。
「ヒャーハッハー!水だーっ!」
「食料もたっぷり持ってやがったぜ!」
トゲトゲのヨロイでスキンヘッドのバイク集団が暴走!
旅人を襲い金品を奪うのだ。
「そっそれだけはやめてくれーっ!」
やせこけた老人が、百貫デブにつかみかかった。
「その種をまけば来年実がなるんじゃーっ!」
「バカヤロウ!カキの種なんかビールのツマミだ!」
バリボリボリ!ああっ酷い、全部食べちゃった!
婦女子はセクハラされてます。
小さな子供でも容赦なくイジメです。
弱肉強食の無法地帯!
神もホトケもないものかっ!
メガネに小太りの男が、大事そうにリュック背負っていました。
「おい、キサマ!その荷物を置いていけ!」
「こっこれは!大切なモノなんだ・・・」
うるせーっ!全身イレズミ顔ペイントのマッチョが怒鳴る!
「何だぁ、こいつは?」
リュックに詰まっていたのはおびただしい紙の束「本」でした。
文明が栄えていた頃、情報の伝達や記録に使われたものです。
本はほとんどがB5サイズで24Pから36Pくらい。
表紙は色鮮やかな総天然色ですが中身の多くはモノクロでした。
絵物語の内容は歴史や文化、特に生物の繁殖に関する記述が目立ちます。
「こんなもん、今じゃケツふく紙にもなりゃしねえ!」
マッチョは無慈悲にもビリビリ破いちゃう。
小太りは「ヨメガー、ヨメガー」と泣き叫びます。
その時です。
地平線の彼方からカゲロウにゆらめく大きな影。
雲をつくような大きなヤツがノッシノッシとやって来る。
おおっあれは!
パンダ!パンダではないかっ!それもあの伝説のパンダさん!
天使か?悪魔か?この世の地獄に悠然と舞い降りた大熊猫!
二千年の歴史を刻み受け継がれてきた一子相伝のパンダ!
宿命に背くパンダ、有為転変のパンダ、パン屋のパンダさん!
さすがのヒャッハー軍団も息をのむ。
乱暴ローゼキの動きがピタリと止まった。
おじいさんや婦女子と小太りの目に希望の光が!
パンダさんはチューチョなく歩を進める。
「おい、ハゲ!ジャマだからどいてくれ」
あわててオカシラは道をゆずった。変な汗が全身から噴き出す。
パンダさんは意に介さない。うつむいて呪文みたいなのを唱えてる。
「焼きドーフ、しらたき、サトウ、おしょうゆ特売のやつ・・・」
そのまま通り過ぎ、地平線の彼方に消えてった。
パンダさんの世紀末救世主伝説!
あたたたーた、わたたたーた、ズキュン!ドキュン!
・・・・・・・・・・To Be Continued




