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パンダさんのパン屋さん  作者: 山田靖
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パンダさんの飽食の時代!

さてさて、パンダさんのパン屋さんです。

ご自慢のパンは店主自らが焼き上げる逸品!

でも日持ちしないので、なるべく早く食べてね。

パンは、その日売れる分のみを作ります。

だけど、商いは水モノ。

思いがけずお客が殺到する日もあれば、全く売れない時も。

需要と供給のバランスがムズカシイ。

天候・気温・景気・流行・政治・世界情勢etc

あらゆるデータを駆使し、販売数を予測しパンを焼きます。

ところが意に反し、大量に余ったり足りなかったり!

トレンドは常にパンダさんにイジワルなのです。


今朝もパンダさんは開店準備に余念がない。

昨日はだいぶ売れ残ったからなぁ、今日はどうしよう・・・

思案中、フトすみっこに積み上げられた木箱に目がいった。

ハテ、ありゃ何だったかな?ナニゲなしにのぞいてみたらっ!

ひえぇぇぇぇぇぇーっ!

中にはビッシリとパンが詰まってるではありませんかっ!

超年代物の売れ残り!

一体、いつからこんなモノがこんなトコロに!

こここここれが奥さんに知れたらエライことになる!

パンダさんは隠ぺい工作を開始した。


よく見るとパンはいろいろな形態に進化していました。

赤・青・黄・緑といった極彩色も鮮やかなカラフルパン!

ふんわり白い綿毛につつまれたカイコのマユ風パン!

ナゾのキノコが寄生し不老不死の仙薬っぽい冬虫夏草パン!

セピア色の初恋みたいなツンと甘酸っぱい香りパン!

一度とけてドロドロんなってまた固まった溶岩パン!

どれもコレもかつてフードだった面影はありません。

おおっだけど、その中にひとつだけ、たったひとつだけ・・・

パン!どうみてもそれはパンでした。パンでしかありません。

いつものパンと寸分も違わない。This is the“パン”!

なっなんというミラクル!

密閉した空間、残酷な時間の経過といった悪条件をモノともせず、

みずみずしくも造形を維持し続けた奇跡のパン!

パンダさんは泣いていた、ボーダのナミダをぬぐいもせず。

ああっボクはこれを焼くためにパン屋になったんやあ!

パンよ、パン!愛しのパンよ!

お前はもうただのパンじゃない、魂のパンだ!神パンだ!

うやうやしく手に取ってみたら・・・ん?

硬い!硬いぞ、コイツ!

何とそのパンは石のように硬くなっているではありませんか。

こりゃあ形状といい、大きさといい、ピッタリ!

充分、相手の頭蓋骨を陥没せしめるでしょう。

そして凶器は食べちゃったら証拠隠滅じゃないですかっ!

フフフ、君にこのトリックは見破れまい。まさに完全犯罪!


パンダさんは「奇跡のパン」をそっと木箱に戻しました。

それから「10円引き」「50円引き」「100円引き」シール貼って、

タイムセールで全品残らず処分しちゃった。



パンダさんの飽食の時代!

フードロスをなくしましょう。


・・・・・・・・・・To Be Continued


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