パンダさんの天までとどけ!
大きな森の中に小さなお家がありました。
真っ白な壁に赤い屋根。煙突から煙がモクモク。
花壇にはバラが咲き、小鳥がさえずります。
池に魚が泳ぎ、玄関にはイヌがのんびりと寝転んでる。
名前も知らない大きな木のそばに建っていました。
お家には木こりのおじいさんと孫娘が住んでいます。
おじいさんはヘンクツ者で近所づきあいをしません。
なのでお嬢ちゃんはひとりぼっちなのです。
大きな森の小さなお家はいつもひっそりとしていました。
春になってこのお家に変化が起こりました、
都会からお客さまがやってきたのです。
カワイイおねえさんでした。
長い髪、ツブラな瞳、スタイルばつぐん!
でも肌は青白くいつも悲しそうな顔をしていました。
ちょっと動いただけでもすぐに咳込んで辛そう。
かわいそうに、おねえさんは病気だったのです。
療養のため、空気のきれいな田舎に引き取られました。
お嬢ちゃんは大喜び!だって、お友だちができたんですもの!
お嬢ちゃんとおねえさんは毎日ゲームやナゾナゾで遊びました。
だけどおねえさんは体が弱いのでスグ疲れてしまいます。
熱を出して何日も寝込むことも。
「無理をしてはいけないよ」
おじいさんは介護にウンザリしてきました。
ある日、おねえさんはお嬢ちゃんを枕元に呼びました。
「買ってきてほしいものがあるの」
お嬢ちゃん、ビックリ!こんなことは初めて!
「おじいさんには、ナイショ」
おねえさんのオキニなBL本!今日が新刊の発売日なのです。
お嬢ちゃんは喜び勇んでイベントに出かけました。
大好きなおねえさんのためなら!周囲の目も気になりません。
首尾よく戦利品を手に入れ、ホクホク家路につきます。
会場の出口でお嬢ちゃんはピエロから赤い風船をもらいました。
ポカポカ、いいお天気。もうすぐお家、大きな木が見えてきた。
その時、やさしいそよ風がそっとお嬢ちゃんをつつみました。
あっ!いう間もありません。
赤い風船はお嬢ちゃんの手を離れ、フワリフワフワ・・・
そのまま流され、お家のそばの大きな木に引っかかっちゃった。
あーん!お嬢ちゃんは大声で泣き出しました。
どうしよう、どうしよう!風船があんなところに!
「やあ、どうしたんだい?何を泣いているの?」
グーゼン通りかかったパンダさんが声をかけたのです。
お嬢ちゃんはカクカクシカジカ事情を打ち明けたました。
「なあんだ、そんなことか。ボクが取ってあげるよ」
パンダさん、幼女にイイトコみせようと張り切って木に登る。
やっと風船に手が届いた時、トナリのお家の窓が見えました。
おおっこれは!絶景かな、絶景かな!
ちょうど、おねえさんがお風呂でシャワー浴びてるじゃありませんか!
「きゃーっ!チカン!ヘンタイ!デバガメ!」
ちっ違うんだ!これはっ不可抗力だ!ボクはただこの風船を・・・
アセッたパンダさん、必死に冤罪アピール!
その証拠にこの赤い風船が・・・あれっ?アレレ・・・
赤い風船はパンダさんの手をすり抜け、ゆっくり上がっていった。
真っ青な大空にすうぅーと吸い込まれるように上がっていった。
見る見る小さくなってポツンと点になりやがて消えていった。
パンダさんの天までとどけ!
遠い世界に旅に出よう!五つの赤い風船に乗って!
・・・・・・・・・・To Be Continued




