パンダさんの踊る大捜査線!2
賑やかな夕暮れ。街は浮足立っていた。
一日が終わろうとしている。
家路を急ぐひと、灯を求めるひと、ひとが行き交う。
疲労と安寧、ゆるやかに時間が流れる。
何の変哲もない場所だった。
駅を降りるとイキナリ雑踏と喧噪に出くわす。
だが、一歩路地を曲がればそこは閑散としていた。
まるで異世界に迷い込んだように静まりかえっている。
公園の脇に停めた車の中で、パンダさんは待っていた。
あのクスリ屋の角を曲がって現れるであろう男を。
男は組織の金を持って逃亡したのだ。
全力をあげて追わねばならぬ。裏切り者に死を!
が、男の行方はヨウとして知れない。
手負いの男はヤケんなってるので危険である。
コトは慎重かつ迅速に運ばねばならない。
男は最後に元カノのところに現れるであろう。
この先のアパートに訪ねてくるハズだ。
ふぅーっと、パンダさんはため息をついた。
さっきからいろんなひとが通るが、男はまだ来ない。
パンダさんは、ヤマアラシとコンビを組んでいた。
通称ヤマさん、ヤマカンが冴えわたる。
「来ないなあ。ガセネタじゃねえの?」
いや、ヤツはきっと来るさ。ヤマさんはハッタリかました。
辺りはすっかり暗くなってきた。月は中天にかかってる。
男はやって来ない。
それでいて、駅からはひとがゾロゾロ来るのだ。
男もいれば女もいる。若いのも年取ったのもいる。
大きいのや小さいのや太いのや細いのもいる。
パンダさんは、眠そうに眺めていた。
公園に若い女が現れた。ターゲットではない。
パンダさんとヤマさん、顔を見合わせて舌打ち!
サッサとアッチへ行ってくれ!
だが、意に反して女はベンチにドッカと座り込んだ。
スマホ取り出し声高に通話始めるじゃありませんか!
こいつはヤッカイなことになりそうですよ。
もしもし、アタシ!アタシよ、アタシだってばっ!あぁん?さっきの女は何なのよっ?ぶふうぅ、後輩?コーハイ!はん、二人っきりで打ち合わせ?そんで、汗かいたからシャワー浴びるだけだって?何よ、それ!そうやっていつもゴマカスんだわっ!もういいっ!全部しゃべってやるから!ぜーんぶ、バラす!今さら何言ってんのよ。あやまる?あやまるようなコトしてんじゃん!死んだる!今ここで死んでやる!ぐえっ!ばほっ!死ぬったら、死ぬ!おえーん、おえーん、おえーん!アンタはいつもそうやって優しいんだわっ!おえーん、おえーん、おえーん!だから嫌いになれないじゃないのーっ!おえーん、おえーん!
(以下、解読不能)
例のアパートからも灯が着き窓が開かれた。
近所のひとがゾロゾロ集まってくる。マズイ!
正直、あまり容姿に恵まれず性格も不憫な方とお見受けした。
むしろ相手の男の方に同情を禁じ得ない。
もう、ヤメロ!やめてくれ!これ以上、醜態を晒すんじゃない!
野郎も野郎だ、いいかげん早くスマホ切っちまえよ。
哀れな女はその後二時間に渡ってオンステージを繰り広げた。
パンダさんの踊る大捜査線!2
悲しい女のひとり芝居!
ラッタッタラッタッタ、唄いましょうか!
ラッタッタラッタッタ、唄いましょうね!
・・・・・・・・・・To Be Continued




