パンダさんの二千年後の君へ!(前)
神様は多忙でした。
なにしろ天地創造からこの方、何もかもやってきたのです。
さすがにキレ気味となり、仕事を他へ回すことにしました。
八百万に役割を分担し、キメ細かな対応が可能になったのです。
でもそれ専門にやってると視野が狭くなります。
タテ割り行政の弊害で、ヨコの連携が悪くなってきました。
そこで神様は統括する役職を新設したのです。
激務ですので任期は一年。
神様はこの重責をあえてシロウトの動物たちから選びました。
レースを催し、先着順。
ネズミ・ウシ・トラ・ウサギ・ドラゴン・ヘビ・ウマ・ヒツジ・サル・ニワトリ・イヌ・イノシシ!
彼らは十二支と呼ばれたのです。
お正月から節分、バレンタインも過ぎたのにまだまだ寒い日が続きますね。
パンダさんはいつものように店の前でボサッと突っ立っていました。
そこへ、ムコウからバニーちゃんが慌ただしく駆けてくるではありませんか。
「バニーちゃん、そんなに急いでどこ行くの?」
「あっパンダさん、こんにちは!仕事で忙しくって」
今年はウサギ年なので、バニーちゃんにオファーが殺到してるのです。
ふうん・・・パンダさん、ちょっぴりウラヤマシイ。
元々バニーちゃんは露出の多いコスで人気者でした。
しかし近年、萌え勢力の台頭により影が薄くなっていたのです。
そのバニーちゃんに起死回生の大チャンス!
今年のエトとして脚光を浴びたのです。
昨年末のトラからの引継ぎから年明け、TVで観ない日はありません。
ウサギ、ウサギ、ウサギ!チマタはウサギであふれている!
パンダさんは警戒を強めます。
どーせ、年末年始の一過性とは分かっています。
しかし12年ごとに訪れるブームは見過ごすわけにはいきません。
エトはその年を支配してしまうのです。
ばかりか、その年に生まれた者は生涯に渡って縛られるのです。
何と強大な力でありましょう。
それをたかが一介の動物ごときが担ってしまうのです。
なぜそんなことが許される?
十二支は昔、神様に任命されました。
その既得権益を彼らは決して手放そうとはしません。
そもそも十二支の選考にも疑惑があります。
何をもって基準としたのでしょう?なぜコイツが入っているのか?
架空なのとか、キャラが被ってるのも!
何より、バランスが悪い。魚とか虫は入ってません。これは差別!
百歩ゆずって当時のベストメンバーとしましょう。
しかしそれから数千年、トレンドは確実に変化している!
今こそ立ち上がるべきだ!
万人が納得する、現代にふさわしい、新しいエト!
スポットライトを浴びるべきはウサギではない!パンダだ!
やらねばならぬ!
過去を断ち切って新たなる船出を!
生まれ来る子供たちのために!
ついて来る世代に恥じないように!
Change!Yes We Can!
パンダさんは新たなる十二支の創設に着手した。
(つづく)




