パンダさんの悪魔を憐れむ歌!
パンダさんは、悪魔と契約しようとしています。
魂を売ると、願いをひとつ叶えてくれるのだ。
パンダさんには、どーしても叶えたい願いがある!
「ダンスアイドルユニットの真ン中の子とケッコンしたい!」
えっえええええーっ?!
さすがの悪魔もドン引き!何を血迷っとるんだ、この大熊猫は!
「そうと決まれば明日の握手会でプロポーズしよっと!」
「ちょちょちょちょっと待ってください。そりゃ、無理です」
「はあっ?何が無理なんだよ。何でも叶えるって言ったろ!」
パンダさん、目がスワッてます。魂売っぱらって強気も強気!
「だってアンタ、既婚者でしょうがっ!」
確かにパンダさんには、奥さんも娘もいます。
さらにパンダさんは既に駆逐艦ともケッコンしていました。
「ほほほ法律で禁止されとるでしょうがっ!」
「はん、ホーリツだあ?愛があればホーリツなんて!」
悪魔は更に道徳や倫理にモラルなんかを持ち出して説得を続けました。
しかしこういったものは本来、悪魔が踏みにじるべきシロモノ!
「悪魔が良識を語るとは、堕ちたものだな!」
パンダさんはルンルンで婚姻届けに署名捺印しています。
こっこのケダモノを止める手立ては・・・ひとつしかないっ!
「無理です。実は真ン中ちゃんには・・・カレシがいるのです」
えっえええええーっ?!
パンダさん、大ショック!
そそそそんなバカなっ!
幼馴染とは上京してそれっきり、ロン毛のギタリストとは去年別れた、
イケメン俳優とは新曲に合わせた話題作りのデッチアゲ・・・
「相手は一体、誰だっ?!」
パンダさんは、真ン中ちゃんのことは何でも知っています。
365日24時間、監視を怠りません。一挙手一投足、わずかな変化も逃さない。
歯磨き粉の銘柄からマネジャーの知らない裏アカまで、全部お見通し。
悪魔は戦慄!
こっこのストーカーには、生半可なフェイクでは通用しまい。
つい、苦し紛れのデタラメを口走った。
「じっ実は、プロデューサーなんですよ。ホラ、いつも一緒でしょ」
えっえええええーっ?!プロデューサーだってぇ?!
フタマワリも違うじゃねぇかっ!おのれ、変態ロリコンジジイ!
荒れ狂うパンダさん、仮にも猛獣、こうなると手がつけられない。
もう契約どころじゃありません。悪魔はスタコラサッサ逃げ出した。
パンダさんはコーフンが収まりません。
このヤリ場のない怒りをどこへぶつけたらいいんだっ!
テーブルの上にクッキーの袋が置いてあります。
明日の握手会でプレゼントしようとワザワザ作ったもの。
事ここにいたってはイマイマシイばかり。
パンダさんは袋を開けるとその中に大声で叫んだ!
「真ン中ちゃんとプロデューサーはデキてるんだああーっ!」
翌日、ダンスアイドルユニット握手会はニギニギしく開催されました。
ショックで寝込んだパンダさんの代わりに、パンダ娘がお出かけ。
「パパがね、一生懸命作ったの。持ってかなくていい!ってたけど」
まあ、カワイイ!真ン中ちゃんは満面の笑みで包みを受け取ります。
「今ここで開けよっか。みんなでいただきましょ」
嗚呼!真ン中ちゃん、無防備に運命の袋をガソゴソ開けちゃった!
「真ン中ちゃんとプロデューサーはデキてるんだああーっ!」
パンダさんの悪魔を憐れむ歌!
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する。
・・・・・・・・・・To Be Continued




