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パンダさんのパン屋さん  作者: 山田靖
29/223

パンダさんの甘く危険な香り!

野生の王国!弱肉強食の無法地帯!

ルールも情けも無用な無差別級!勝てば官軍の常在戦場!

この美しき残酷な世界で、動物たちは生き残らねばなりません。


世の中は不公平にできています。

生まれながらアドバンテージあったり、ハンデしょってたり。

特に格闘においてウエイト差は歴然!

さらにズルイのは、デカイ奴ほど牙とか爪だの武器を持ってる。

これでは小動物、たまったもんじゃありません。

でもグチをこぼしたって、事態は1ミクロンも改善しない。

動物たちは足りない頭脳を振り絞り、対抗策を模索します。

まずはディフェンス。

カメやアルマジロの甲羅とか、ハリネズミなんか。

木の枝や海藻に擬態したり、カメレオンのお色直しだの。

逃げるが勝ちとばかり、飛行や駆け足にスピードを追及するものも。

ニンゲンなんて死んだふりできます。

でもそれじゃあ、いつもコソコソ・ビクビクしてなくちゃならん。

理不尽なヒエラルキーに敢然とレジスタンスするものも現れました。


彼らの反撃のノロシ、それは化学兵器の導入です。

代表的で殺傷能力が高いのが“毒”でしょう。

は虫類・両生類や昆虫・魚などが装備しました。

しかし、毒は諸刃の剣。敵も倒せるけど自分の身もアブナイ。

ヘビは噛みつき、サソリは針で刺してピンポイントで注入しますが、

フグやキノコは己を犠牲にするしかない。どうがんばってもドローが精一杯。

そこで威力はやや劣るもののダメージが与えられる方法が考案されました。

“ガス”です。

排出物を武器にするとはまさに盲点、コロンブスの卵でした。

これを鼻先でブッ放なされたら、目まいに嘔吐や呼吸困難でもう大変!

後々までトラウマ、PTSDは確実でしょう。

さしもの猛獣もガスには警戒せざるを得ません。

ガスは弱きものにとって絶好のスキルとなりました。


このガスの使い手で有名なのが、スカンクとイタチでした。

両者は互いに「我こそがNO.1!」と主張して譲りません。

キャラがかぶるのも面白くない。とうとうケンカになりました。

「オレの方がクサイ!」「いや、クサイのはオレだ!」

遂には、どっちがクサイか直接対決となったのです。

でも知名度は圧倒的にスカンク!“黄色いの”のツテで映画にも出演してるし。

不利と見たイタチは審判をパンダさんに頼みました。

パンダさんならソンタクなしに白黒ハッキリ判定してくれるでしょう。

原っぱに対峙するスカンクとイタチ!大観衆は固唾をのんで見守ります。

「始め!」

レフェリー・パンダさんの合図に二匹は同時にブッ放した!

主成分プチルメルカプタンによるニオイは強烈!

硫黄にニンニク、焦げたタンパク質+硫化水素なんかが混じっているような、

イヤハヤ、ものすごい悪臭です。

さすがのパンダさんも耐え切れません。

お腹に力を入れ両足でふんばった。

ブオッ!パンダさん、思わず特大の一発を放出してしまった。

何しろ大猫熊!モノが違う。爆風!轟音!クサイのなんのって!

スカンクは目を回し、イタチの最後っ屁も吹っ飛んでしまった。

「パンダさんが優勝だ!」

初代スメルキングの栄誉はパンダさんに輝いた!


・・・あれから何日もたつのに、原っぱにはまだニオイが漂っています。

さすがに、オカシイ。

調べてみたらそこには嗚呼、何と何と!

こんもりとしたホンモノが転がっているではありませんか!

不正発覚!パンダさんはタイトルをはく奪された。



パンダさんの甘く危険な香り!

臭いものにはフタをしろっ!


・・・・・・・・・・To Be Continued



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