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パンダさんのパン屋さん  作者: 山田靖
24/223

パンダさんの翼をください!

パンダさんのパン屋さんは大繁盛!

今日も多くの動物たちでいっぱい。

店はイートインもあるのです。

せまい空間にギュウギュウ詰め大声でおしゃべりしながら飲食してる。


宴もたけなわ、そこへひょっこりネコのお嬢さんが遊びにきました。

しなやかな純白のボディ、あどけない顔立ちに似合わぬ妖艶な瞳。

はかなげなのに思わせぶり、フェロモンぷんぷん、コケティッシュな小悪魔!

一同、ためいき。

そんな反応を楽しむがごとくネコちゃん、ツンとおすましコタツで丸くなります。

ネコ!それは動物アイドル界の一大勢力!

パンダさんにとって大いなる脅威でありました。

いつもパンダさんが一方的にライバル視してる、“黄色いの”や“居候”なんてのは、

しょせん、モニターの向こうの遠い存在でした。

ところがこのネコとは同じ土俵で競わねばならぬのです。

だからといってあからさまに敵対するわけにもいきません。

それにここはパンダさんの店、圧倒的ホームディシジョン!

パンダさん、ことさらに虚勢を張って声をかけました。

「やあ、ネコちゃん。最近がんばってるね。すごい人気だよ」

「そんなことないですぅ。パンダさんファミリーってステキ♪」

微妙に変化する瞳に見据えられてパンダさん、もうメロメロ!グッと息を呑んで赤面。

ああ、ネコちゃんは天使だ!握手会に参加したい!次の総選挙にはぜひ推そう!

いやいや、何を思ってるんだ!イカンイカン・・・

「でもアイドルって何したらいいのか。アタシ、自分のこともよくわかってないしぃ」

もう君は何もしなくてもkawaiiよ!って違う違う、パンダさん、ドキドキが止まんない。

だけどもここは一発先輩風吹かせて、動物アイドルの心得をアドバイスしてあげよう。

そしたら好感度UPだ!あとでチェキ撮ってもらおう。


「ネコは体が柔らかいからね。それをウリにすればいいんじゃないかな」

たとえば、高いところから落ちてもクルッと身を翻してスタッと着地できるんだ!

ほほう!ドヨメキがおきます。それはスゴイ!ちょっとやってみてよ。

パンダさん、物知りを褒められて調子に乗っちゃった。

ちょちょちょ・・・戸惑うネコちゃんをイキナリ小脇に抱えて放り投げた!

ぴぎゃあああー!

ネコちゃん、悲鳴あげたけど空中で反転し何とか着地成功!

おおおおーっ!拍手喝采!

「もっと高いところからでも大丈夫なの?」

モチロンだ!

地方出身の高名な柔道家に受け身を教えたネコもいるっ!

パンダさん、テンション↑↑で安請け合い!

いやがるネコちゃんをオカマイナシで無理やりひきずって屋根の上。

「おーい、いくぞーっ!」

仁王立ち、頭上高くジタバタするネコちゃんを差し上げ、

地上めがけて思いっきりたたきつけた!


グギャッ!

哀れネコちゃん、猫背をシタタカに打ち、ピクピクとケイレン。

それでもノロノロと身を起こし、やっとのことで立ち上がったのです。

ヤンヤ、ヤンヤ!コングラチュレーション!

そんな称賛に目もくれず、ネコちゃんは歩きはじめました。

あ、あのぉ・・・パンダさん、屋上からオロオロするばかり。

ネコちゃん振り向きざまギロリ、憎悪とケイベツのマナザシで睨むや、

プイと顔をそむけ、ノロノロと夕やみに消えていきました・・・



パンダさんの翼をください!

翼の折れたエンジェル!みんな翔べないエンジェル!


・・・・・・・・・・To Be Continued


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