表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
パンダさんのパン屋さん  作者: 山田靖
173/223

パンダさんの暮れの元気なごあいさつ!

野生の王国、弱肉強食の無法地帯!

この地上の楽園、最後の秘境にも、年の瀬はようしゃなく押し寄せます。


パンダさんのパン屋さんでも、今日は朝から大そうじ。

パンダさんなんかドブさらいしてます。

「くそ、やっとれん!寒いし冷たいし汚いし!」

そもそも、なぜ今、ドブさらいなのでしょうや?

新しい年がくるから?いやいや、それは理由になりません。

だってだって、もういくつ寝るとお正月!

泣いても笑っても、もはや今年の命運は尽きている!

時が過ぎれば、そこはもう来年なのです。

そうじしようがしまいが、おかまいなしでやってくる。

ならば、寒いだけソンではありませんかっ!

向こうから勝手に来るのです、お迎え準備することないっ!

それとも何か?そうじしないとウチだけ去年のママか?


「そうだよ」奥さんは無慈悲に通告しました。

「アンタだけが今年を来年に引きずっていくんだ。

 アンタだけが時代に取り残されるんだ。

 アンタだけが・・・アンタだけが・・・アンタだけが・・・」


うわぁぁぁぁぁーっ!何と恐ろしいことでしょう。

年が明け、世間が新春のお喜びを申し上げてるというに、

ただひとりパンダさんは何時までも何時までも、ゆく年くる年なのです。

「そっそれじゃ、初もうでとかお年玉は?」

「除夜の鐘も鳴らせんパンダにその資格はなぁいっ!」

年末年始のセレモニーは厳粛に執り行われます。

スケジュールを入れ替えたりショートカットはできません。

そうじや餅つきしないと、年越しソバにもありつけないのです。


「次はこれを処分せぃ!」

ああ、何てことでしょう!この一年、必死で収集した同人誌!

それをこの鬼嫁パンダは「燃えるゴミ」と切り捨てた!

確かに、君の偏見に満ちた濁った瞳には18禁に映るかもしれない。

しかし、この一冊一冊にそれぞれ血のにじむ努力と涙と感動のドラマが・・・

って、おいおい、言ってる先から火の中に放り込むなよっ!

うぎゃぁあああーっ!本がぁ・・・ほほほ本を焼くなんてトンデモナイ!

それやった中国の皇帝なんか、二千年ずっとヘイトされてんだぞ!

「断捨離!こーゆーのは思い切りだからね。迷ったら捨てる!」


冷たい乾燥した空気中、薄い本は勢いよく炎上します。

そこで焼いたお餅は、それはそれは美味しゅうございました。



パンダさんの暮れの元気なごあいさつ!

それでは皆様、よい年をお迎えください。


・・・・・・・・・・To Be Continued


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ