パンダさんの暮れの元気なごあいさつ!
野生の王国、弱肉強食の無法地帯!
この地上の楽園、最後の秘境にも、年の瀬はようしゃなく押し寄せます。
パンダさんのパン屋さんでも、今日は朝から大そうじ。
パンダさんなんかドブさらいしてます。
「くそ、やっとれん!寒いし冷たいし汚いし!」
そもそも、なぜ今、ドブさらいなのでしょうや?
新しい年がくるから?いやいや、それは理由になりません。
だってだって、もういくつ寝るとお正月!
泣いても笑っても、もはや今年の命運は尽きている!
時が過ぎれば、そこはもう来年なのです。
そうじしようがしまいが、おかまいなしでやってくる。
ならば、寒いだけソンではありませんかっ!
向こうから勝手に来るのです、お迎え準備することないっ!
それとも何か?そうじしないとウチだけ去年のママか?
「そうだよ」奥さんは無慈悲に通告しました。
「アンタだけが今年を来年に引きずっていくんだ。
アンタだけが時代に取り残されるんだ。
アンタだけが・・・アンタだけが・・・アンタだけが・・・」
うわぁぁぁぁぁーっ!何と恐ろしいことでしょう。
年が明け、世間が新春のお喜びを申し上げてるというに、
ただひとりパンダさんは何時までも何時までも、ゆく年くる年なのです。
「そっそれじゃ、初もうでとかお年玉は?」
「除夜の鐘も鳴らせんパンダにその資格はなぁいっ!」
年末年始のセレモニーは厳粛に執り行われます。
スケジュールを入れ替えたりショートカットはできません。
そうじや餅つきしないと、年越しソバにもありつけないのです。
「次はこれを処分せぃ!」
ああ、何てことでしょう!この一年、必死で収集した同人誌!
それをこの鬼嫁パンダは「燃えるゴミ」と切り捨てた!
確かに、君の偏見に満ちた濁った瞳には18禁に映るかもしれない。
しかし、この一冊一冊にそれぞれ血のにじむ努力と涙と感動のドラマが・・・
って、おいおい、言ってる先から火の中に放り込むなよっ!
うぎゃぁあああーっ!本がぁ・・・ほほほ本を焼くなんてトンデモナイ!
それやった中国の皇帝なんか、二千年ずっとヘイトされてんだぞ!
「断捨離!こーゆーのは思い切りだからね。迷ったら捨てる!」
冷たい乾燥した空気中、薄い本は勢いよく炎上します。
そこで焼いたお餅は、それはそれは美味しゅうございました。
パンダさんの暮れの元気なごあいさつ!
それでは皆様、よい年をお迎えください。
・・・・・・・・・・To Be Continued




