パンダさんの星降る街角!
とっても寒い夜でした。冷たい風がほっぺたに吹きつけます。
でも、街は浮足立っていました。大勢のひとが家路を急いでる。
ネオンが煌めき、陽気なリズムが流れ、おしゃべりと雑踏。
行き交うひとびとは皆、どこか楽し気でありました。
もうすぐ、クリスマス!なのです。
そんな笑顔と歓声で沸き立つ街のハズレ、小さな橋がかかっています。
「パンはいかがですかーっ!」「パンはいらんかねーっ!」
よく見たら、パンダさん!橋のたもとで屋台出してパン売ってた。
売れ残りのパンを処分してこい!と奥さんに厳命されたのです。
「パンを召し上がれーっ!」「美味しいパンですよーっ!」
夕方から声を枯らしてるのに、サッパリ売れません。
けっこう通行人はあるものの、見向きもされない!
そりゃ、そうでしょう。わざわざこんなことでパンなんて。
パン屋で売れなかったパンがどうして路上で売れましょうや。
「パンを買ってください!」「売れないとゴハンが食べられないのです」
んじゃ、そのパンを食べればいいじゃない。
「そんなアナタ、王妃様みたいな無慈悲を!ボクがゴハンが食べたい!
それでなくとも米の値段が上がってるのです。知ってるでしょ?
米は高くなっても無くなっても、みんな食べたがる。
体が資本のプロ野球なのに米禁止のチームがあった。モチロン、最下位だ。
ここは瑞穂の国!よこせ!と騒動が起きる食品は、お米だけ!」
なら何で、パン屋やってるの?
「そっ・・・それは言わない約束よ」
「パンを食べよう!」「美容と健康にパンを!」「消費期限あと僅か!」
夜も更けてきました。気温もドンドン下がっていきます。
パンはいっこうに売れません。働けど働けど我が暮らし楽にならざり・・・
ジッと掌をみると・・・シモヤケおててがもうカユイ・・・
フト気がつくと、橋の向こう側でも屋台が出ていました・
「パンはいかがですかーっ!」「パンはいらんかねーっ!」
見れば、ロバのパン屋!あんなとこでパン売ってやがる!
「おいおい、こんなとこじゃパンは売れねぇぞ!」
「あっパンダさんだ。売れ残りを処分しなきゃいけないんですよ」
君もかっ!パンダさんは胸の奥から熱いものがこみ上げてきました。
普段は商売仇ですが、同病相憐れむ、連帯意識というか友情まで生まれた。
「でも、こんなに残っちゃった、どうしよう・・・」
パンダさんはもう胸がいっぱいになりました。
「そうだ!ボクのパンと君のパンを交換しよう!そしたらお互い完売だ!」
「そりゃいいですね。そうしましょう、そうしましょう」
「アレ?君のパンのほうが3個多いぞ」
「いいんです、いいんです。オマケしときますよ」
「そうかい?エヘヘ、悪いなぁ」
パンダさんとロバはとってもあったかい気持ちになれました。
星降る街角、こんな寒い晩なのに心はポッカポッカ・・・
「あっパンダさん、雪ですよ!」
パンダさんとロバはニッコリ笑ってお家へ帰っていきました。
パンダさんの星降る街角!
「期限切れが増えとるやないかーっ!」
・・・・・・・・・・To Be Continued




