パンダさんの暗夜行路!
パンダさんは、となりの里のオバさん家を訪ねました。
久しぶりだったので大いに歓待され、お酒呑んだりゲームしたり。
すっかり遅くなって夜も更けてまいります。
オバさんは泊まっていけと言ってくれましたが、
何分、奥さんが怖いパンダさんはソソクサと帰ることにしました。
パンダさん、ランタンを借りてトボトボ歩きはじめます。
となりの里はそんなに遠くはありませんが、
“どうぶつの森”を通らねばなりません。
鬱蒼とした原生林で、ケモノ道しかないのです。
パンダさん、だんだん心細くなってきました。
そう、ここは“出る”のです。
夜道のひとり歩きは危険がいっぱい!
とは云えパンダさん、オバケは怖くありません。
一つ目小僧とか、ろくろっ首とか、ノッペラボウなんてのは、
どうせタヌキが化けているのですから。
ネタが割れてるのに驚くもんですか。
それよりも、ウワバミとかカマイタチだの、
シャレの通じない連中がヤッカイなのです。
パンダさんは恐る恐る歩を進めます。
ビビッてることを悟られないよう、大声で笑ったり唄ったりしながら。
草木も眠る丑三つ時、ようやく森の出口が見えてきました。
ここまで来れば、もう安心!
パンダさん、愛しい我が家へと急ぎます。
と、その時・・・
柳の木の下で気配を感じました。
誰かがうずくまっているようです。
それは、髪の長いスレンダーな女のひとでした。
黒っぽい服を着て、背中を向けシクシク泣いているのです。
顔は見えませんが、若くてエレガントな感じがします。
パンダさんの胸がドキンと高鳴りました。ゴクリ、唾を呑みます。
キレイなおねえさんが泣いている。かわいそう。慰めてあけようか。
でも、でも、こぉんな夜更けに、こぉんな場所で、ひとりっきり・・・
パンダさんは無言でその場を通り過ぎました。
アレは一体、どうしたのだろう。よほどの事情、深入りしてはイケナイ。
スタスタと数十メートル進んだところで、パンダさん、やっぱり気になる。
引き返してみると、やはりおねえさんはシクシク泣いていました。
スマホ握りしめて肩が震えています。
哀愁を帯びた背中は儚げで、いまにも消え入りそう。
パンダさんはそのままやり過ごし、二十歩程でまた戻ってきました。
よぉく観察します。おねえさんはまだシクシク泣いている。
泣かないで!ボクまで悲しくなっちゃう!
かくてパンダさん、泣いてるおねえさんの側を行ったり来たり。
実に十三往復!
その結果、重大な真理に達したのです。
かかか彼女は、こっこの世のものでは、なあいっ!
小心者のパンダさんですが、意を決して声をかけます。
おねえさん、大丈夫?
シクシク泣いていたおねえさん、ゆらゆらと立ち上がり、
物憂げに振り向くと・・・
ほっといてよ、バカ!
シツコイわね、ストーカーなの?
もう、あっち行って!
パンダさんの暗夜行路!
幽霊の正体見たり枯れ尾花!
・・・・・・・・・・To Be Continued