パンダさんのマジカル・ミステリー・ツアー!
アンニュイな午後。
パンダさんは突然立ち上がり云った。
「そうだ、温泉に行こう!」
と、いうわけでパンダさん御一行様は秘境を訪れました。
元来、動物たちは野生の本能で行動している。
予約とかスケジュールなんてもっての外!
今回も適当にフラついていたら見つけたのです。
そこはうっそうとした山の中の一軒家。
看板もなにも出ていません。
だけど招き猫が出迎えてくれました。
「温泉に入りたいんですが」
「いらっしゃい!お風呂はたくさんありますよ」
ほらね!行き当たりばったりでも何とかなるもんだ。
早速、中へご案内・・・
おっと、その前に時節柄、健康診断を受けていただきます。
やれやれ、面倒だなぁ。
でも、こうしたカタいところなら安心できるよね。
健康診断は個別でおこなわれました。
やたら細かくて、目・科・属・種までキッチリ記入。
体長・体重はもとより生息地から病気の有無まで、根掘り葉掘りトコトン!
パンダさんなんか手相まで鑑定されました。
うーん、と占い師のクダンは首を傾げます。
「えっ?生命線が切れてるとかですかっ!」
「いやいや、そうではありません」
クダンは反芻しながらゆっくりと語りかけます。
「普段、何を食べていますか?」
「笹の葉・・・」
「栄養が偏ってますな。ハチミツとか、いかがです?」
ハチミツぅ?あんな甘ったるいの、黄色いのじゃあるまいし!
残念ですなぁと、クダンは首を振りました。
「ハチミツは身体に良いです。いっぱい食べたらまたいらっしゃい」
長い健診から解放され、ようやく温泉です。
どうやら診断結果によって入る温泉が分かれるよう。
パンダさんとカピバラは露天の大浴場に案内されました。
のんびりと浸かって鼻歌など奏でます。
ところが周囲がやけにザワついてる。
何だろう?と見まわしたら!
もうもうとした湯気で気づかなかったけど、上からビッシリ観光客の目!
きゃあああーっ!覗かれたぁー!
パンダさんとカピバラは大慌てで逃げ出しました。
一方、ブタとニワトリは別々に専用の湯船に浸かります。
熱くって熱くって、とても入れたもんじゃない。
だけど、湯屋番のアカナメがしっかり見張っているのです。
「ちゃんと肩まで浸かって!100数えるまで出てはいけません」
ブタもニワトリもフラフラ、すっかりのぼせ上ってしまいました。
酷い目にあった!こんなとこはもう二度とゴメンだ!
パンダさん御一行様はプンプンして帰ったのです。
翌日、この温泉宿のトナリにラーメン屋ができました。
パンダさんのマジカル・ミステリー・ツアー!
可愛い子には旅をさせよ!
・・・・・・・・・・To Be Continued