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パンダさんのパン屋さん  作者: 山田靖
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パンダさんの華麗なる食卓!

ワタシの記憶が確かなら、我が美食アカデミーにこれまで数多くの挑戦があった。が、その中に”人外”は皆無である。しかし、ついに今宵、主宰であるワタシが独断で参加を認めたのだ。その調理人とは!地上最後の秘境より熊笹かきわけやって来た、大熊猫!野生の王国、唯一無二のスーパーシェフ!パン屋のパンダさんだぁ!迎え撃つはアカデミーが誇る最高の料理人!さぁ甦るがいい、アイアンシェフ!和・中華・フレンチの鉄人よ!

本日挑戦者が選んだメニューは、老若男女みんな大好き「カレーライス」

いざ、アーレキュイジーヌ!


Y「さあいよいよ始まりました、究極のカレー対決!

実況はヤマオカ。解説はおなじみ、食通で審査委員長のカイバラ先生です」

K「カレーなどというド庶民のエサだが、一流シェフの工夫次第で我々食通の舌に乗せることが赦されるだろう。各鉄人はそれぞれ専門外だが、期待に応えてくれるハズだ。挑戦者?ふん、料理とは食材の良さと調理人の腕のみで決まるにあらず。もてなしの心、感謝の心、謙虚な心、相手への思いやりの心が、なければならん。ひとの心をもたぬケダモノ、パンダごときに料理する資格なぞ、なあいっ!」

Y「などとノタマワッてる間にも調理は進んでいます。冷蔵庫前のイノガシラさん?」

I「はい、現在ですね、鉄人たちは仕込みに入っています。和の鉄人はマグロにマツタケ、中華はフカヒレ、フレンチはフォアグラと高級食材をふんだんに使用しています。一方、挑戦者パンダさんですが・・・大きなズンドウ鍋に水をいっぱい入れて火にかけました。沸騰するまでボサッと見ていますね。あっパンダさんが動いた!いま鍋の中に無造作に入れ(絶句)」

Y「これは驚きです!挑戦者、熱湯に何と、れれれレトルトカレーを放り込みました!」

I「やめてください!何をしてるんですかっ?!」

P「はあ?何をって、カレー作ってるんだけど」

I「レトルトじゃないですか、こんなのインチキですよ!」

P「ええっ、インチキ?おいおい、どうしてよ?んじゃ何か、これをカレーじゃないと言うの?何年も売上NO.1のロングセラーだぞ。それがカレーじゃなっかたら、何がカレーなんだよ!このカレー、メーカーの研究室で大勢のコックさんや栄養士さんまで苦心して、リンゴとハチミツとろぉーり開発したんだぞ。その食品会社は業界最大手で、しかもこの番組の大事な大事なスポンサー様じゃねぇかっ。制作費もYOUのギャラだって出してもらってるんだろ?本来なら三顧の礼をもって迎えるべき案件、そ・れ・を!インチキ呼ばわり!恩を仇で返すどころじゃねぇ!こりゃ社畜にあるまじき、誹謗中傷・罵詈雑言!おーいスポンサーで食品会社のシャチョーさーん、視てますか―っ?!いま全国生放送でアンタんとこの主力商品、ボロクソにディスられてんぞーっ!」

Y「たたた大変なことになりました。審判部が協議をおこなっています。こらこら主宰、どこ行くんだよ!チッ逃げやがった。カイバラ先生、これは一体どうなるのでしょうか?」


カイバラ先生、困った!

食通として、まさかレトルトを勝たせるわけにはゆかぬ。だがしかし、スポンサーをないがしろにもできない。怒らせたらコラボ弁当監修の仕事がご破算になっちゃう。そもそも、どう判定したって、ヤラセとかソンタクやら八百長だのって叩かれるじゃねかっ!


Y「おーっと、ここでタイムアップだあ!究極至高のカレーライス!決着なるか?

番組始まって以来のビミョーな空気の中、キッチンスタジアムは静まりかえっております。

はたして、勝負の行方やいかにっ!」


P「あ、いけね!ゴハン炊くの忘れた」



パンダさんの華麗なる食卓!

三分間、待つのだぞ。


・・・・・・・・・・To Be Continued


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