パンダさんの血塗られた紋章!
海を見下ろす丘の上に、その家は建っていた。
高い塀に囲まれ、いつもひっそりと静まり返っている。
よほど古い洋館でツタが絡まり壁や柱はヒビ割れ。
広い庭は荒れ放題。朽ちた門にはサビた鉄の扉が半開き。
いつから、ナニモノが住んでいるのか、誰も知らない。
もし君が通りかかったら、禍々しい風を感じるかもしれない。
そうして君は目をそむけて駆け出すことだろう。
パンダさんはお屋敷に招待されました。
美しいお姫様がぜひ会いたい!との申し入れです。
ゴージャスな応接間。パンダさん、落ち着きなくキョロキョロ。
ここはさる高貴な一族の別荘だったのです。
黒い執事がオモムロに口を開きました。
「こちらのお姫様は病弱で引きこもっているのです。
なんとか、パンダさんに治療の協力をお願いしたい」
メイドに付き添われたお姫様は、顔色も悪く苦しそうでかわいそう。
大丈夫!ボクにオマカセを!パンダさん、胸をたたいて安請け合い。
では、さっそく。イキナリ、お姫様がパンダさんに抱き着いた。
うほほっ、積極的ですねぇ!パンダさん、嬉しい悲鳴!
が、次の瞬間、お姫様はパンダさんの首筋に嚙みついた!
ぎええええーっ!なんばしよるとですかっ?!
実はコイツラ、吸血鬼の一族だったのです。
ところが、お姫様が下戸で血が飲めない。
さあ、大変!吸血鬼なのに血が飲めないと死んでしまいます。
執事やメイドはいろいろな方法で血を飲ませようとしました。
野菜嫌いのガキンチョに食べさせるため、好物のハンバーグに
細かく刻んだニンジンやタマネギを混ぜたりするよね。
ならば、お姫様も好きなモノの血だったら飲めるかも!
そこで白羽の矢が立ったのが、kawaiiパンダさん!
ちょっちょっチョット待てよ!ボクの血はマズイぞ!
「マズイ?生きるための手段に贅沢は言ってられません」
そっそれじゃ、血液型は?合うかどーか分らんだろ!
「血液型?何ですかな、それは?」
AB型とかO型とかだよっ!主食にしてるクセに知らんのか!
血液型ってのはなあ、合わないと拒絶反応をこすんだ。
例えば、A型は几帳面だから、マイペースなB型に合わない。
だから違う型を輸血すると拒絶反応で死んじゃうんだ!
「そっそれは由々しき事態ですな。では、我々も?」
そうだよ、よく今まで無事でいられたなっ!
何ということでしょう。
彼らはずっと知らずに血をチャンポンで飲んでた!
「うわあああああーっ!」
執事もメイドもみるみるうちに青ざめ苦悶の表情。
泡吹き胸かきむしり、バタバタ倒れる阿鼻叫喚!
みんなみんな、拒絶反応を起こして死んじゃった。
モンスター界の名門、吸血鬼一族はかくて滅びた。
パンダさんの血塗られた紋章!
知らない方が幸せというけど、ボクは満足しないハズ!
・・・・・・・・・・To Be Continued




