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パンダさんのパン屋さん  作者: 山田靖
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パンダさんのスマイル・フォー・ミー!

パンダは動物界きっての人気者です。

丸っこい体型にタレメ模様、笹くわえたシグサなんかもう可愛くて可愛くて!

パンダは王道アイドルとして長く君臨してきました。

当代のパンダさんも例外ではありません。

この偉業の継承と更なる発展にプライドをもって取り組んでおります。

ところがっ!

近年、動物アイドル界に異変が起こりました。

多種多様の動物たちが参入してきたのです。

これまで動物KAWAII枠といえば、

パンダ、コアラ、ネコといったところでした。

それぞれ属性別に住み分けでき、共栄共存の道を歩んできたのです。

平和だったテリトリーになだれ込んできたのが、

ネズミ、クマ、アヒル、イヌ、ウサギ、ペンギン、ミツバチ、トナカイ、

カエルにイカなんてのから、サーバルなんてマイナー種まで!

手あたり次第、見境なし!

そもそもアイドルとは万人に愛される存在でなくてはなりません。

しかし彼等の戦略はまるで違っていたのです。

アクの強いキャラクターを前面に押し出し、特定の層に絞ったアピール!

すべからくニッチ市場にはマニアが存在します。

マニアは少数ながら、いや数が少なければ少ない程、ディープに先鋭化する。

片や既存アイドル、浅薄なミーハー人気だけが頼り。

いくら数が多くとも、支持基盤が脆弱でいかにも分が悪い。

動物たちはそれぞれが勝手に活動を始めました。最早、無法地帯!


その発想はなかったっ!

パンダさんは危機感を抱きました。

第一人者として対抗策を練らねばなりません。

思えば、パンダは長期間アイドルの座にアグラをかいていました。

工夫や努力を怠ってきたのではないか?

パンダさんは苦悩しました。

どうしたら過去の栄光を取り戻せるのだろう。

ハッ!パンダさん、重大なコトに気が付いた。

新参者を観察してたところ、ヤツラに共通の行動パターンを発見!

それは特に海外組に顕著なのですが、

“笑う!”ことでした。

あるまじき行為!

そりゃそうでしょう!動物界は野生の王国、弱肉強食の厳しい世界なのです。

だから動物は基本無愛想、ヒヨコだって笑顔を見せない。

なのになのに、笑ってる!特にキツツキとクロネコがヤバい。

そこまで媚びるかっ!

パンダさんは激しい怒りを感じました。

が、一方で時代の流れも理解しました。

これからは猛獣といえど、愛嬌ふりまかねばならん!


悲壮な覚悟でパンダさんは“お笑い”をマスターすることにしました。

それには先ず、笑う稽古をせねばなりません。

パンダさんは、ワライカワセミに笑い方を教わりました。

「大きく口を開けて、深呼吸。そう、お腹を抱えてさあ!」

わはははははは!

「駄目駄目駄目!全然!全身つかって、はい!」

わはははははは!

「心がこもっていない!もう一度!」

わはははははは!

「どうもアナタには雑念がある。受けようと思ってはいけません。“無”になるのです」

わはははははは!

わはははははは!

わはははははは!


特訓の帰り道、パンダさんは泣いてる小猫ちゃんに出会いました。

どうやら迷子のようです。

名前を聞いてもワカンナイ。お家を聞いてもワカンナイ。

さあ、困った。

そうだ、こんなときこそ!

パンダさんは満面の笑みを小猫ちゃんに向けたのです。

しかし、パンダといえど猛獣です。

それが正面から屈みこんでオオグチ開けて奇声を発したもんだから!

にゃあああああーっ!

可哀そうに小猫ちゃん、ひきつったまま失神!

気の毒なのはパンダさんも。

通報され、犬のお巡りさんにこっぴどく叱られた。



パンダさんのスマイル・フォー・ミー!

笑う門には福来る!


・・・・・・・・・・To Be Continued


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