ジャム・マン
何の変わり無い朝。朝だ。今日は始業式で間に合うためには、あと30分ちょいで朝のご飯を食べ、着替え、歯を磨き、制服に着替えて、鞄に要るものを突っ込んで、いってきますしなければならない。いってきますって言うとだいたい 「いってらっしゃ〜い。」て呑気な返事が帰ってくる。休みの母親は上機嫌で返す。それ以外は俺が呑気に返す。
まず、寒さに負けぬよう靴下に足を滑り込ませる。下をスパッツに代え、上をヒートてなテックにしてその上に戦闘服を着る。ここ最近、制服に白いシミが見られるようになったのは、歯磨きが飛び散っているのだと知った。いつも通り口から唾液と歯磨き粉を出そうとしたら、つまった。つまったのだ。
「オォェェェ〜〜〜 〜〜〜カッッ 」何とか吐き出して口をゆすぐ。何も気にせず次の行動に移ろうとする。棚の戸を開けて、閉める。?
「なにしようとしたっけ」顔を洗えばいいのに俺はタオルを取り出して、何か別のことをしようとしていた。
「できたよ〜。」 ここで母親のご飯の出来上がりのチャイム。
洗面台での俺の役割を思いだし顔を洗い始めた。
リビングにいき、箸を用意し目の前に出された品に目を向ける。
目玉焼き、サラダ油、味噌汁。特に普通の品。
「頂きます。」
口に入れて噛んで噛んで噛んで飲む。飲む?飲む!!
つまった。つまりやがった!乾いたキャベツが俺の喉を攻撃する。グサグサと。これはまずい。対処しなければ。まずは体を落ち着かせる。次に唾液で喉を潤す。痛みが少し引いた。このままやり続ければ、後は簡単。そのままゴックンすればいい。
そんな感じ朝のご飯を終え、また洗面台に行き、歯を磨く。今度はつまらなかった。次は、次に、次へと。指で確認しながらやることを探す。 何か忘れてはいないか。そこで顔のベタつきが気になった。あっそうだ、顔だ。洗顔を忘れていた。あぁよかった。
忘れていたら、1日中嫌な気分で過ごさなければならないところだった。
鞄に今日要るものを突っ込んでいれようとし、課題プリント、ノートを左手に持ち文字どおり突っ込む。だが、そいつらは頭がはみ出していた。中を確認すると終業式に持ち帰ったものが入っていた。左手で要るものをキープし、右手で要らないものを引っ張り出す。が、鞄の口に引っ掛かり、右手の勢いが強かったせいか、要らないものは床へ落ちていった。
面倒くさいので放置して要るものを鞄に突っ込み、チャックをしめ、しめ、閉めれない。つまっている。一旦引かなければ。引くのはスムーズに行く。ここからゆっくりと進む。うまくいったようだ。ジジジ何て音を立てチャックは閉まる。完全に閉まりきると、俺は鞄を背負い靴を履く。扉に手をかける。そのまま出た。
玄関を出て少し右斜め前にある階段を降りて、自転車置き場へ向かう。そこへ行くまでにちょっとしたミニゲームがあり、中身が混沌と化したポケットの中から自転車の鍵を見つけなければならない。素手なら簡単だかこの寒さの中(俺は耐えられない。)、てが凍りつくため手袋しているので、その厚みで鍵の感触が他のものと、正解の区別がつかない。
残念ながらゲームオーバになった。
ガキッ 何て音なのか解らないがこんな感じの音が鳴る。
「あ〜〜〜」うまくいかない。鍵がうまく刺さらないのだ。抜こうとしても引っ掛かって抜けない。
「俺の人生みたい。」
その時、背後に気配がした。何かいるような。鳥かな?
振り向いたら鳥返しつかない。鳥?
0.何秒の覚悟をキメて自然に、あなた何て見てませんと訴える雰囲気で・・・
胸の高鳴りを感じながら坂道を下る。
何か期待していた17歳は剥がれやすい仮面をかぶって人生の交差点へ へ へ ムム向かった。
やけに渋滞していた。こんな朝なのに。