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それはまだ、始まりに過ぎない
一話 それはまだ、始まりに過ぎない
僕はまた、同じ夢を見る。昔から、見ている夢だ。どこか田舎の村で少女と走る夢だ。しかし、夢はとても現実のような感覚がするのだ。手を掴まれている感覚、喋る感覚とても夢とは思わなかった。
僕は富山県に電車で向かっていた。夢が見なくなったのは、高校を卒業してからだ。その最後の夢の終わりは、洞窟の中でネジを巻く鳥が鳴いた瞬間世界が回転するような感じで、溶けるように、消えていった。その時少女が涙を流しているのが見えた気がした。そして、最後に富山県のとある村の名前が見えたのだ。夢から、覚めたら、僕も泣いていた。頭の中には、富山県の村の名前が頭の中をグルグルしていた。