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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

宇宙作家シリーズ

何でも見れる箱を手に入れた男の子のお話

作者: 宇宙作家

8月28日

魔法の箱を手に入れた。一見ただの丸い箱だけど、勿論普通の箱じゃあない。これは魔法の箱なんだ。僕だけに与えられた魔法の箱さ。何が魔法かって?箱の中を覗くと景色が見えるんだ!しかも僕が見たいと思ったものが見えるんだ!

山が見たいと思えば山が見える。しかももっと近くで見たいと思えば望み通りにズームしたり、逆に離れて見たいと思えば離れてくれる。しかもただ景色が見えるだけじゃないんだぜ。人とか動物とかまで見えるんだ!まるで本当に生きてるみたいに!!こいつはすごいや!!夏休みの終わり際に良い物を拾った!!


8月29日

今日は海を見た!!海って言っても東京湾とか熱海とかなんかじゃない、太平洋だ!!しかも深海の景色を!見た事もない魚がいっぱいいた!!本当にこれはすごい!!何だって見れちゃうんだ!これがあれば学者にだってなれるかも。ノーベル賞とか取れるかも!!


8月30日

今日はユミちゃんの家を見た!ユミちゃんっていうのは僕の友達の女の子だ。ユミちゃんが宿題終わってなかったりしたら手伝ってあげよっかなーなんて思ってみてたけど、ちゃんと終わらせてたみたいだった。それからしばらくするとどっかに出かけて行った。ずっと見てても良かったんだけど何だか恥ずかしくなってやめた。


8月31日

とんでもないことをしちゃった。気になっただけなんだ。ただ、僕は、箱の中に手を入れたらどうなるのかと思って、山の中の木を一本つまんだんだ。そしたら、木は軽く持ち上がって、そのまま箱の外に出したら消えた。それがなんか面白くって、今度はたくさん引っこ抜いてみたんだ。そしたら、そのはずみで色々おかしくなって、山が崩れたんだ。近くにいた人とか、車とか、皆潰されて。でも、箱の中の事だからと思って、でも、夜ごはんの時にTV見てたら、○×県で土砂災害って…どうしようどうしよう。捕まるかもしれない。犯罪者になっちゃったかも。


9月1日

昨日の事が気になって学校は全然楽しくなかった。宿題も忘れて先生に怒られちゃった。僕の様子がおかしいから皆その事を聞いてきた。僕のしたことばれてないよな?ばれるわけないよな?


9月2日

あれから2日たった。ニュースは事故だって言ってるし、誰も僕の事を疑ってなんていない。そうだ、バレるわけないんだ。だってあれは魔法の箱なんだもの。でもあの箱を使うのはもうやめておこう…







10月15日

なんだか最近、ユミちゃんがきれいになった気がする。大人になった感じ、がちょっとする。目が合うとドキッとするし、なんかいい匂いもする気がする。僕はどうしても気になったから、ユミちゃんを魔法の箱で覗いてみた。そしたら、最近お化粧を覚えたって言ってた。匂いはリンス?かなんかにこだわってるらしい。










11月7日

ユミちゃんが、同じクラスのヨシノリと一緒に下校してるのを見つけた。最近あの二人は仲が良いみたい。僕はなぜかあんまりいい気分じゃなかった。どうしてもどうしても気になって、押し入れの奥にしまったあの箱を使ってユミちゃんを見てみた。二人はスーパーのゲームコーナーにいた。二人とも楽しそうだった。


11月8日

今日ヨシノリに昨日スーパーでユミちゃんと一緒にいた事について聞いてみた。箱の事は言わなかった。そしたらヨシノリのやつ、ユミちゃんと付き合ってるって言いだした。信じられなかった。だって、僕達はまだ子供じゃないか。でもヨシノリの奴は、おたがいに好きなんだから大丈夫って言って。なんだかすごくすごくむかついた。


11月9日

学校に行く前と帰った後、箱でユミちゃんを見続けた。朝はヨシノリと一緒に登校して、学校が終わるとヨシノリと一緒に帰ってった。そのままヨシノリとユミちゃんはユミちゃんの家で楽しそうに二人で過ごしてた。すごくすごくすごくムカついた。


11月10日

僕の方がずっと前からユミちゃんを知ってる。なんなら僕の方がお前なんかよりユミちゃんに詳しい。ユミちゃんは大体朝の7時に起きる。お父さんはもう出かけてるから、お母さんと一緒にご飯を食べて、そこからお化粧をする。本当は8時には家を出れるんだけど、ヨシノリの奴を待って8時30分に家を出るんだ。お風呂に入るのは夜の8時頃。寝るのは11時。好きな食べ物はケーキといちご、嫌いなのはナスだ。お前なんかより僕の方がユミちゃんの喜ぶことがわかるんだ。だってずっと見てたんだから。


11月11日

今日、ヨシノリとユミちゃんに会った。楽しそうな二人を見てるとムカついた。だから、ヨシノリの恥ずかしいヒミツをいっぱい言ってやった。アサコちゃんをこの前泣かしたのに謝ってないこととか、最近すごいダダこねてお母さんと喧嘩した事とか。あいつの事も箱で見て僕は知ってるんだ。そしたらユミちゃんに叩かれた。最低って、言われた。僕とはもう絶交だって。


11月12日

風邪ひいたっていって学校を休んだ。学校だとユミちゃんとヨシノリが楽しそうに過ごしてる。僕をこんな目にあわせてるのに、楽しそうにしやがって。許せない。


11月13日

やった。やった。ヨシノリの奴消えちゃった。死んじゃった。木の時みたいにあいつをつまんだらあいつが浮いて、箱の外に出したら消えちゃった。みーんなびっくりしてた。ざまあみろ、バーーーカ。


11月14日

ヨシノリが消えた後、クラスの皆とか先生とかを観察してる。すごく面白い。みーんな僕がやったなんてわかりっこない。僕は魔法の箱を持ってるんだ。僕はすごいんだ。僕は神様だぞ。


11月15日

お母さんがうるさい。学校になんで行かないの?風邪なんじゃないの?ってずっと聞いてくる。めんどくさいから苛められて行きたくないって言っておいた。


11月16日

ユミちゃんがうちに来た。お見舞いって言ってたけど、ヨシノリの事を聞いてきた。知らないけど、絶交取り消して、僕と付き合ってくれるならいいって言ったら叩かれた。ふざけるな、僕は神様なんだぞ。腹が立ったからユミちゃんも消してやった。


11月17日

なんだかおかしい。頭がくらくらする。なんだか、見られてる、気がする。見てるのは、僕の、はずなのに。


11月18日

夢にヨシノリとユミちゃんが出てきた。僕に酷い事ばかり言ってきた。消してやろうと思ったけど、夢だから、消せなくて。でもおかしいな。目が覚めたら、僕は。学校にいて。あれ?家で寝てたのに?なんで・


11月19日

警察が来た。行方不明事件の聞き込みだって。ばれるわけないから、堂々と話をした。僕は子供だから絶対に疑われないし、魔法だから絶対にバレない。でも、目が怖いんだ。警察は嫌いだ。あの目が怖い。


11月20日

やっぱり見られてる。視線を感じる。どこだ?どこから見てる??


11月21日

見るな!


11月22日

お母さんを消した。まだ見られてる。お父さんも消した。もっと見られてる。ご近所さんも消した。更に見られてる。


11月23日

笑ってる。みんな消した筈なのにだれかが笑ってる。全部消してやった。この町、僕以外の全部。でもまだ笑ってる。


11月24日

壁が見てる。消す。床が笑う。消す。空が見てる。消す。地面が笑う。消す。それでも見られてる。それでも笑われる。何もないのに。何もないのに。


11月25日?

なにもなくなった。まっしろ。うえもしたもみぎもひだりもしろい。あるのはぼくとはこだけだ。はこをのぞいてみたらぼくがみえた。


11月26日?

はこがなくなった!!ぼくのだ!!!ぼくのはこ!!!かえせよ!!かえせ!!かえせええええええええええええええええええええええええええええええ


11月27日?

しってるぞおまえのことずっとみてるんだろそうやってぼくがあわてるのをみてよろこんでるんだなじぶんのしかけたいたずらでぼくがどうなるかをながめてるんだなほかのやつがわかんなくてもぼくはわかるだってぼくはかみさまなんだまほうのはこがあるんだおまえのことだってわかるおまえなんかのおもいどおりになんてなるもんかおまえなんてなおまえなんておまえなんておまえなんて


11月28日?

おまえがみてるのか?


11月29日?

みるんじゃない

ぼくをみるな


11月30日?

例えるならそう蟻を観察キットに入れてみているようなものでそこにちょっとした好奇心で水を流し入れるような事天は人の上に人を作らず人の下に人を作らずと言えども人の下には有象無象のナマモノが蔓延っており命と認識することすら困難な有機物共の群れそれらが在ることをヒトという種族は知っているならばそれと逆が存在するというのも正確無比なロゴスであると言えこの個体が魔法と認識したこの箱はヒトがエジソンをはじめとする賢人達により電気というメカニズムを獲得したその知を下位の塵芥共に理解せよと言うその行為そのものがドン・キホーテの如く愚の骨頂でありそれとイコールであるだろう上位種族共の遊び道具つまるところそれはまさしくヒトが獣共を捕え観察し見世物として楽しむことと同じくヒトの巣を除き込み管理する玩具であるしかし諸君ならばどうであろうか万物の霊長たる自らが上位種族の箱庭にて放置され時に愉悦の道具として管理されるそれだけの存在であると知るその事実に触れる晴天の霹靂


12がつ

みるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなたすけてゆみちゃんみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなたすけてよしのりみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなたすけておかあさんおとうさんみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるなみるな

                                           たすけて

その人はある日、落とし物をしてしまいました。何処に落としたのかと思って、庭の方へ行くとびっくり!小さなアリが自分の落とし物を使っていました。まさかアリが人の道具を使うなんて思いもしませんから面白くってずっと眺めていました。道具を使う内に賢くなったアリは、色々な事に気付き始めてどんどん面白い行動を起こします。おかしくってその人は何度も何度も笑います。

でも途中で飽きちゃったその人は、アリから道具を取り上げるとどこかへ行きました。いつまでもアリなんて気にしていられませんから。

自分の仲間も巣も消してしまったアリがどうなるのか、それは誰にもわかりません。



宇宙作家シリーズの他作品はこちらから!

https://ncode.syosetu.com/s2473f/

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