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錯落の青、幻想の青 8

 地球への道は開かれるかもしれないし、開かれないかもしれない。それでも、自分自身が体験することによって導き出された結果なら、憂いなく受け入れられるだろう。


 おそらく道は開かれないのだ……。心の中で大地はここにいることを望んでいる。大地が軍事防衛に関わる重要なキーを、地球へ届けなくてはならない義務と認識している限り、それがどんなに時を逸脱しようと未遂に終わろうと、行動に移すという事実が不可欠なのだ。


 そうでなければここにいる間中大地の心は座りの悪さ、もどかしさに占領されてしまうような気がした。大地にとっては心の在り方は重要な意味を持つ。だからこそ、旅立ちたいのだ。


 スビニフェニスと地球が次元層の違う宇宙に存在しているなら、万に一つ、億……に一つ、地球に到達できたとしても、もう一度こちら側に大地がやってくることが果たしてできるのかという部分も当然ながら検証されてはいないのだ。


 グランも痛いくらいにそれを分かっていて、あえて引き留めることはしないのだろう。


「ああ、そうしたいと思っている」

 それきり、大地とグランは幾度かグラスを満たし静かなひと時を過ごした。


「そろそろ寝るよ」

 グラスを空けたタイミングで大地は言った。


「分かりました」

 そう言ってグランはすっと手を伸ばし空間からワクチンを取り出した。外装を破り、半透明の先端の尖ったとても細長い円錐状のそれを、大地の上腕の肩に近い部分に刺し込んだ。ゆっくりと腕の中に押し込まれてくるそれは、最初のチクッとした痛みの他に不快感はなかった。体内に取り込まれた先からじわりじわりと溶けて広がるものに、大地の細胞が反応している感じがする。


「どうです?」

 面側の端まで全て押し込んでグランは違和感がないか尋ねた。


「大丈夫だと思う」

 大地は、腕の内部から新しい活動が始まり広がっていくのを曖昧ながらも知覚していた。グランはロボットに後片付けをコマンドして、甲斐がいしいそれの作業が終わるまで大地に異変が起こらないか見守っていた。


「今のところ大丈夫のようですね。何かあったら呼んでください」

「分かった。朝は遅くまで眠っていたら起こしてくれないか」

「ええ。ではおやすみなさい」

 グランの出ていった青い部屋に一人、大地は背もたれを倒した大きなソファの上で大の字になり空を見上げながら眠りが自然に訪れるのを待った。



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