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青き星、悠遠の星 17

 自らを守ることは、他を知ることによって可能になる。外宇宙を観察することも重要な案件だった。斬新な科学的処置によって、現在のような環境に落ち着いたタレスターフは、ようやく安寧の日々を得たのだった。


 グランが淡々と伝えるスビニフェニスの史実を聞いて、大地は何か他人事ではないような感覚に陥った。現実問題として空間の狭間をすり抜けてきたとしか考えられない大地の現況を考えると、「あり得ない」とされるリスクこそ想定するに値するのだろうと思えた。


 人口を増やすためにとった措置により、結果的にタレスターフの人々の特徴である性質はさらに固く強くなった。初めにグランから聞いた、「食べて寝るだけ」の性質はそもそも存在しないのだ。情報としての記述はあっても、それは表面に出てくることのほとんどないものだった。


 競争のないことで、どんな分野においても人は一瞬前の自分を超えることを目標とする。だから他人と比べることもなく、常に自分という絶対的な比較対象の下で行われる活動は、さらなる高みを目指す上で何の障壁にもならないのだ。


「何かもっと知りたいことはないですか?」

 ひとしきり、そうやって時間を過ごした後、グランが大地に尋ねた。

 ──重すぎる。

「また次の機会に頼むよ。そろそろ休んだ方がよさそうだ」

 大地は横に首を振ってそう言った。


 夜も深い時間だ。きっとグラン、あるいはマルベレクは大地の心の動きや、身体の状態や、時間経過など全てを読み取っているのだろう。素直に生理的欲求に従うことにする。


「分かりました。それではまた明日」

 グランは客室へ通じるムイジセブの扉を開き、大地に示した。


 ふと、グランが何かをする時に、大地に分かりやすくするために動作を意識的に付けているのではないかと思った。時折見せるグランの行動は、彼が本当は指先を動かすことも手をかざすこともせずに、モタルドクであったりムイジセブであったりを操作できるのではないかという気がした。


 ──そうだ、グランはいつだってテレパスのように話す。

 タリアの所へ行くと言った時も、何かを直接グランが感じ取ったことへの反応に見えた。タレスターフの中でもグランが特別な存在であるというのは薄々感じてはいたが、それが何故なのか、次第に大地の興味を引いていた。


 部屋に戻り、アルスパクで心身ともにリフレッシュした後、大地はベッドに仰向けに倒れ込んだ。


 ──あの映像……

 自分の横を通り過ぎる人や、車の騒音や、大地の身体を通り抜けていったような爆風などがプレイバックしている。リアルにその場にいたような感覚だった。まるで地上での日常に戻ったような生々しい感覚だった。


 しかし、大地は眠ろうと意識を故意に遮断した。眠れない夜を幾度となく過ごした日々が嘘のように、大地はスッと眠りに落ちた。



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