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青き星、悠遠の星 16

「核を積極的に使用しようとする国はもちろんなかったのです。しかし、誤操作、誤動作の可能性などということも含めて、リスク回避のためにタレスターフの研究者は超強力なシールドを開発していたのです。動作試験もないぶっつけ本番の運用となりましたが」

 グランが映像を停止させたのか、映像そのものがそこで終わりなのかは分からなかった。


 ──核兵器は保身のための切り札なのだろうが、それによって滅亡することになるとは。

 言葉にはできなかった。


 放射性物質のあふれだした地表で生物が絶えたのは想像に難くない。とっさの時にシールドを起動できたのは幸運だったのだろうか、それとも神の導きによるのだろうか。いずれにしろ、タレスターフの彼らは在るべくして今ここに在るのだ。


 あの隕石群の現れ方は、まさに大地の時と同じく特異点の開いた瞬間なのだろう、と思った。そうでなければ突如として現れた説明がつかなかった。


 ──シールドはどれほどのキャパシティを備えていたのだろう。

 どれだけの耐久力を保持していたのか、それともそれだけの技術があったというのだろうか。


「当時宇宙船を持っていなかったことで、宇宙ステーションに滞在していた人々に補給物資を送ることもできず、結局われわれの祖先以外は皆種を絶つ結果となりました」

 ──それを、淘汰と捉えてもいいものなのだろうか。


 大地は、闘わずにはいられない性を言葉や情感で抑制させることなど不可能だと思っていた。人がよりアクの強い方向へ影響されやすい性質から考えると、自らが体験し自発的に心底願うのでなければ平和への関心は一時的にしか持続しない。


 すでに打つ手はなかったのだろう。仮に自然の力が働かなくとも、人は自らの選択で破滅の道を進んでいたのだ。それが早いか遅いかの違いだけだったのだろう。


「大気の観測、主に放射性物質の残留を測定するためにドローンやロボットを送り出しました。そこでそれまで存在しなかったメタティリバスを確認したのです」

 つながった先はまったく予想もつかない未知の座標。そこから飛来した隕石の含有物質、あるいは構成物質がスビニフェニスに変異をもたらしたのだ。それが大気中の濃度として確定するまで、つまり大気が安定するまで人々はシールドの中という閉鎖社会で生きることを強いられた。


 また、長い時間をかけてシールド外の大気に順応するための対策も講じられた。メタティリバスの性質そのものを知る前は、いくらかの犠牲も生じたのだろう。大地の遺伝子に書き加えられた情報を得るための尊い人々の生が、とても重く感じられる。


 再び外気圏へ人を送れるようになって、緑なす陸地の割合が激減している様子を目の当たりにした人々は、星にもたらされた事実の大きさと、生命が引き継がれたことへの感謝と、そして消えていった生に対する深い哀悼との複雑に絡み合う感情の中で、新たに星の名前をスビニフェニスに、人々の共同体の名前をタレスターフに定めたのだった。


 新生タレスターフでは、初めから現在のようなシステムが構築された。もはや覇権や営利といった個を主体とした活動から脱したもの、他と我が共にあり支え合う社会だ。


 それから、スビニフェニスが孤立を選択することになった、争いを避けること以外に重大な理由として、隕石の衝突によってもたらされた幾つかの事実もあった。


 新たに生成された特別な性質を持つメタティリバス鉱石が、多くの星からの注目を浴びることを恐れたのだった。メタティリバス鉱石はあらゆる分野での使用に無限的な可能性を持つと同時に、扱いに繊細さと高度な技術を必要とする。悪意を持つ者、鉱石を理解しない者の手に渡った場合、宇宙規模での破壊や破滅を招く。鉱石が正しく利用されない可能性がある限り、タレスターフではこれをこの星に封印することに決めたのだった。略奪される可能性を考えると、タレスターフの当時の人口がたかだか五万を数えるならそれは当然の裁量だったと言える。


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