青き星、悠遠の星 10
これらの星々を巡り、もしもそのどれもが大地のいた地球ではなかったとしたら、その後は一体どうすればいいのか。グランならスビニフェニスへ戻って来ることを勧めるのだろうか。次元層が異なるとはっきり言っている以上、地球への帰還はさっさと諦めた方が得策なのだろうか。
「そう、だな。ありがとう」
検索結果を大地のオグヌイに落とし込む。それによって、マルベレクとの接続がなくても閲覧できるようになるというのだが、タレスターフにいる限りはオグヌイは常にマルベレクに接続されているはずで、そうでない状況というのはこの星を後にしてからのことだろうか。
ふと、大地がオグヌイを外すことになるのは一体どんな時なのだろうか、と思う。
「午後は大地の体力測定を予定しているのですが」
マークが退室した後、そう言って、グランはあのシームレス衣服の作製アプリを表示させた。スキャンした型を登録しておくことによって、オグヌイのアプリからも店舗の機械にデータを送ることができるのだという。
「体力測定?」
「ええ、なので昼食はそれに合わせた専用のメニューにしました。まだ少し時間があるので、いろいろデザインしておきましょう」
作成したデータがカイにもリンクされるように設定されていた。
グランからリクエストされた民族衣装等は、「イメージならまあまあ思い浮かべられるけれど」と大地が言ったことで、本人から取りあえず保留にしようという申し出があったためそれに従う。
グランが、まるで大地の心を読んでいるかのような言動をすることと、何か関係があるのかもしれなかった。
大地の画力で描ける普段着や、サンプルを見ながらタレスターフ流のアレンジを試したものや、測定時に使用する運動用の着衣など、当面の「衣」を充足させる。データを転送し次第あの店舗兼工場で出力されることになっている。完成したものは、個別に送り先を設定することができるということで、測定用のものはそちらの施設に転送されるようにしておく。
一連の作業が終わると、予約をしていた昼食を取る。
グランが選んでいたのは、身体を動かすことに影響を及ぼさない食事だったようだ。それでもしっかりと時間をおいてから測定に臨んだのではあるが、食べてすぐでも、軽快に動くことができそうだった。
そこは、スポーツのための施設ではなく、医療や研究のために調査、測定をする施設なのだとグランが言った。
施設内では、目に付くような測定機材はなかった。表示のある場所それぞれに、埋め込み式なのか、空間の変異を何等かの装置で読み取るのか、あるいはその他の何か、かは分からなかったが、計測器が備わっているようだった。
大地の運動神経は、おそらく平均より多少いいくらいだろう。何か一つに突出しているわけではなく、全体的に平均値を少し上回っている。
──数日、間を置くだけで身体を動かすのが随分久しぶりな気がするな。
そういえば、背骨に沿った右側の筋が引っ張られる感じはかなり弱まっている。最初に靴を替えた時の違和感は、本当に気が付かないうちに消えていた。歩いていて、両足に同じくらい体重が乗っているのが分かる。
ソールが歩くことによって削られていったりはしないのだろうか、と余計な心配をする。センサーが働いているとしたら、仮に削れたとしてそれも計算ずくだということなのだろうか。
先ほど作った運動用の着衣は、実に着心地がいい。汗を吸ってもベタつかず、肌に貼り付くこともない。まるで汗が生地を素通りしていくかのようだ。そしてこれにも酸素供給の生物が混ぜ込まれているのだろうな、と思う。
「普段から運動をしているのですね」
肺活量や握力から始めて、跳躍や瞬発力などの蓄積されていく計測結果を見ながらグランが言った。
「毎日少しはやってたからな」
タレスターフにはどういった運動機器があるのだろう、と思う。想像するに、器具のそれぞれがオグヌイと連動して、鍛えるべき筋肉はどこなのかとか、疲労が見受けられるから運動量を抑えるとか、こと細かなメニューが組まれていくのではないだろうか。
何につけ、興味が尽きない。




