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閃光の白、揺らぎの白 2

「モタルドクは、情報を示す領域です」

 ──モタルドク? 聞いたことがない。俺はいったいどこにいるんだ?

 そんな大地の思いに反応したかのように、ゆらゆらと揺らめく透明な奥行きのある領域、モタルドクで映像再生が開始される。天井や壁にプロジェクターで投影をしたような平面的な映像ではなく、まさに、縮小された実体がその中で動いているように見える。



 カメラがある場所はおそらく宇宙船の内部なのだろう。そこが指令室であることを容易に想像させる幾つものモタルドクが、多くの情報を表示させている。窓の外に見える宇宙空間は、視界にあったはずのドックや宇宙ステーションが見当たらないことから、少なくとも記憶の中の、大地が最後にいた場所とは違っていることを示している。


《小型艇確認。所属不明、照会中》

 自分がこの言語を覚えてしまったと勘違いしそうな確かなイメージと共に耳慣れない言語も聞こえてくる。


 モタルドクの中でレーダーと思しき装置が二時の方向に船影を捉えた。映像は船外に放出されたドローン側に切り換えられ、そちらのカメラが捉えた小型艇は、紛れもなく大地の操縦していたPA-002だった。外観にはわずかに損傷が認められるが、航行を不可能にするほどの影響があるとは考えにくい。


 操縦席の大地がズームアップされた。映像では、ヘルメットの紫外線フィルターによって表情までは読み取れず、気を失っているのかどうか判断できないが動かない。


《登録データなし。ムーヴォと断定》

《非戦闘タイプ、救援体制に移行する》

 PA-002がエンジンの停止した状態で惰性で航行しているところを確保、艇内に収容されていく様子を、カメラは移動しながら様々な視点から逐一記録していた。



 ──ここは、地球じゃないのか……?

 宇宙船内の構造はもちろん、スクリーンやモニターの役割を果たしているらしいモタルドク、それからオグヌイなどというデバイス? 見るもの全て大地にとって初めての物だった。自分が今どこにいるのか、最大の関心事である。


 そこまで再生させると、グランは小さく指をかざし、映像を一時停止させた。

「これが事の次第というわけです。ここは、スビニフェニス星のタレスターフです」


 ──スビニフェニス星だって? 初めて聞く名だ。

「Am I in the Milky Way?(ここは天の川銀河に属しているのか?)」

 そして言ってからふと、ここが地球でなければ「天の川」という固有名詞が通用するわけもないことに気付く。名称などというものは場所が変われば言葉と物が紐付くまではまったく意味を成さなくなる。


 大地は、にわかには信じられないまるで奇妙な話を聞かされて、それでも自分がこんなふうに取り乱さずにいることができているのは、事の成り行きを事実としての映像で見せられたことによるのだろうか、と思った。断片的ではあるが捏造されたものでなければ、である。それとも自分はまだ夢の中にいるのだろうか。


 グランは自分のモタルドクを手元に出現させ、少しの間何かを探すように見た後で言った。


「ミルキーウェイ? 宇宙連合のリストにはその固有名詞は記録されていませんね。スビニフェニス星はウトゥーク銀河に属しています」

 ──宇宙連合だって? 地球人が宇宙における唯一無二の人類だと信じている者がまだいるというのに、なんてことだ。ドッキリでもなく夢を見てるんでもなければここは異世界か、異次元か知らないが、とにかく俺は時空の迷子になったってわけだ。


 まずは情報を集めなくてはならない。何から質問すればいいのか思いを巡らす。


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