VSカロン その2
シャルン「うん!! 戦闘シーンムズイわ~。しかも全員に出番それとなく与えなあかんし、作者さんも大変やな!! 頑張りいや!!」
カロンが自分から攻撃しないのは先ほどの一戦で把握している。そのため、フローラは今回は真っ先に突っ込むことはせず、仲間と協力してカロン撃破を狙うことにした。
「ロロ、守りはお願いします!」
「承知しました。」
ロボットであるロロは、防御面ならこの中で一番だ。フローラは、ロロの後ろにぴったりと引っ付きながら、カロンへと二人で向かって行く。
「我々も援護をするぞ!」
フローラとロロが接近戦に持ち込む中、シャーロットたちはピストルによる援護射撃で二人をサポートする。
「ふん! 無駄無駄無駄ぁ!!」
カロンは、自身に襲いかかる銃弾の雨を、十手の先で的確に弾いていく。そんな中で、銃弾に紛れ、一つだけ謎の丸い物体が飛んできた。カロンは、一瞬だけその物体に違和感を感じたものの、とりあえず銃弾と同じように弾くことにした。
その瞬間、丸い物体はパァン! と音を立ててはじけ飛び、中から飛び出してきた紫色の液体がカロンの顔にかかる。
「目つぶしか!? 小癪な真似を⋯⋯。」
そう吐き捨てるように呟き、袖で目を擦ったカロンであったが、何故か一向に視界が晴れない。ぼやけた視界の中、ロロがカロンに殴りかかる。条件反射でその攻撃は防いだカロンであったが、続くフローラの剣はかわすことが出来ず、肩をざっくりと切られてしまう。
「くふふふ、どうよ!! 私特製の毒の味は!! 思いっきり顔面にぶっかけてやったわ!!」
「⋯⋯リリィ。その発言はちょいアウトだから。」
興奮気味に笑い声を上げるリリィに、ラモーネが冷静なツッコミを入れる。そう、先程の物体は、リリィ特製の毒液を丸めたものであった。リリィの体内で作る毒は、その毒性を自在に変化させることが出来るが、今回の毒はかなり強めに設定してある。そのため、その毒が目に入ったカロンは、既に視力をほとんど奪われていた。
「⋯⋯ならば、視力にはもう頼らない、それだけの話よ!!」
その言葉通り、カロンは最早目を閉じて、音と風の気配だけでフローラたちの攻撃を防ぎ続ける。だが、視力を奪われたカロンに遅れを取るほど、フローラ達もやわではない。
カロンが、十手の先で素早くロロの額を突き、ロロを後方へと吹き飛ばす。しかし、その際にフローラから十手を持っていた右腕を切り落とされてしまった。痛みを感じないカロンは、すぐ落ちた十手を拾おうと左腕を伸ばすが、十手はシャーロットの射撃によりカロンの手元から離れてしまう。そこへ、フローラの膝蹴りがカロンの顎を襲う。宙へと舞うカロン。そこへさらにフローラの剣が横薙ぎで迫ってくるが、カロンは胸の谷間に挟んで隠し持っていたナイフでそれを受け止める。
「く⋯⋯っ!! こやつ、隠れ巨乳だったか!!」
フローラの悔しそうな声。カロンは、受け身を取って着地。直後、風切り音が聞こえたので慌てて後方へと回転。先程までカロンがいた場所に銃弾による穴が空く。
「そーれっと!! 特大プリン、召し上がれ☆⋯⋯ってな!!」
ラモーネが久々の決めポーズと共に、そう言って掌をカロンの方へと向ける。そこから放たれるは、小屋一つ分はあろうかというかなり巨大なプリン。
流石のカロンも、この巨大なプリンは避けきれず、プリンの中に閉じ込められてしまう。未知の物体に閉じ込められてしまったカロンは、一瞬動揺したものの、すぐさま的確な行動を選択した。すなわち⋯⋯。
「モグモグモグ!! これはなかなかに美味⋯⋯! しかし、エンキ様の尊きお言葉に比べれば、こんな菓子など何の魅力も感じない⋯⋯!!」
そう、カロンは猛スピードでプリンにかぶりつき、数秒足らずで脱出してみせたのだ。ただ、かなりの量を一気に食べたので、お腹がちょっとぽっこり出てしまっているが⋯⋯。
「はぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
だが、そのぽっこりお腹も、カロンが気合いを入れることで一瞬で引っ込み、元の均整のとれた身体へと戻ってしまった。しかも、若干胸のサイズが大きくなったような気がする。何という生命の神秘だろうか。
「⋯⋯あれが、幻の生き物、『食べた分だけ胸にいく女子』って奴ですか⋯⋯!?」
「うう⋯⋯、なんて羨ま⋯⋯じゃなくって!! 畜生!! ボクはもう怒ったぞ!!」
その光景に、フローラとナナの貧乳二人組が殺意を滾らせる。ラモーネの制止も振り切り、「おりゃあああ!!」と雄たけびを上げて前に飛び出すナナ。
「ボクだって、シャーリーさんに鍛えられて少しは強くなったんだから!!」
カロンが放った鋭い蹴りを寸前でかわし、ナナはお返しとばかりに飛び蹴りを放つ。しかし、その攻撃はカロンの左腕によって阻まれ、ナナは後方へとぶん投げられてしまう。
「あーれー!?」
悲鳴と共に宙を舞うナナ。あまりにもあっさりと返り討ちにあったナナであったが、しかしながらナナのその行為は無駄ではなかった。
「⋯⋯さすがに、片腕では満足に防御もできないようですね?」
フローラは、そう呟くと同時に、カロンの右肩から腰にかけてその刀を一閃。ナナを投げる隙を付かれた形になったカロンは、ろくに防御もできずにバッサリとその身体を断ち切られたのであった。
次回、タイトルは⋯⋯内緒です!! お楽しみに!!
あ、ちなみにまだカロンは死んでいませんよ。




