part1
ソニア「神遊豆知識コーナー!!どんどんぱふぱふ~!!」
シャルン「えー、このコーナーは、前書きネタを思いつくのが面倒になった作者が考えた新しい前書き枠やで~。」
オクター「早速紹介します!!今回の豆知識はー・・4th stage登場、『ピーチ・パティ』についての豆知識だそうですー。」
ソニア「ん?パティ先生はそんな名前だったか?というか、4th stgeはパティとベティの区別が個人的にはつかなかった記憶があるな。」
シャルン「それうちもやで!!なんで作者はあの二人をあんな似た名前にしたんや?」
オクター「えーっと、それが今回の豆知識に関係するそうです。何でも、この二人の名前は、ピティーに似た名前を、ということで考えた名前だそうです。この二人が“魔女”sideであることを、ピティーと名前を似せることでもしかして?と思わせたかったんだとか。」
ソニア「は!?言われると確かに、『ピーチ・パティ』という名前・・。真ん中を削り取ったら『ピティ』になるぞ!!」
シャルン「ほんまや!!気づかんかったで!!」
オクター「こんな感じで、活動報告とかでは載せなかった豆知識をこれから紹介していきまーす。」
《レイニー・ブルーside》
ネガティブな雨女、レイニー・ブルーは、自分の周囲を雨で濡らしながら、遊園地ゾーンをのそのそと進んでいた。ピティーも自ら濡れるのは好まないのか、レイニーを遠巻きに眺めるだけであまり近づいてこないので、レイニーはたいした妨害もなく目的地へと向かうことが出来た。
「あれ・・?これって・・。もしかして、ここが次のエリアにつながるゲート?」
ずっと下を見て歩いていたレイニーは、至近距離まで近づいてやっとそのことに気がついた。思いがけず目的地にたどり着いたことで、レイニーのテンションが若干上がり、天気が良くなる。
「やった・・♪やった・・♪ふふふふふ・・♪」
レイニーはそのテンションのまま、自分のギフト、『感情により天候が変わる』により出来た水たまりを、長靴を履いた足でぴちゃぴちゃ跳ねながらゲートをくぐる。その頃には、雨は完全に上がり、空には虹が架かっていた。こいつ、ネガティブかと思いきや意外と単純である。
レイニーがゲートをくぐった瞬間、一瞬で周りの雰囲気が変わる。先程までは観覧車やメリーゴーランドがありファンシーな雰囲気だったのに対し、この新しいゾーンは何となく和風な雰囲気を感じる。しかも、何故かいきなり室内であった。その時、レイニーの脳内にロキのアナウンスが響く。
『よく第一の試練をクリアしたな!!まずはよくやったなと褒めてやるぜ!!そして、そんなお前には今から第二の試練を与える!!ここは『忍者屋敷ゾーン』!!さまざまなカラクリがお前の行く手を阻む!!お前は、この屋敷に隠された四つの巻物のうち一つを見つけてここから脱出するんだ!!もし脱出できるルートを見つけたとしても、巻物がなければ脱出出来ねえぞ!!・・そしてもちろん、巻物は誰かから奪ってもいいぜ?ははは!!そんじゃまあ、頑張って第二の試練も乗り越えてくれ!!』
ロキの声は、何となく事前に録音しておいたような機械的なものにレイニーには聞こえた。おそらく、あのゲートをくぐった者全員に聞こえるアナウンスなのだろう。そして、レイニーはそのアナウンスが告げたある事実に、先程までのテンションはどこへやら、地面に膝をつき全力でネガティブモードに入った。
「『屋敷』・・?屋敷って言ったよね・・。それじゃあ、私の『ギフト』、ただのお飾り・・。」
そう、天候を変える能力も、室内では何の意味もなさない。レイニーは、瓦に雨が激しく当たる音を頭上に聞きつつ、がくっとうなだれる。
その時、落ち込むレイニーの耳に、不思議な歌声が聞こえてきた。
「雨の中傘を差さずにたたずむと~♪身体が震える~♪何故だろう~♪」
よく聞いてみれば歌詞は当たり前のことを歌っているだけだ。しかし、その歌を聞くと何故かレイニーはわけもなく楽しい気分になってきた。
「やあ、名前も知らないお嬢さーん♪落ち込んでるのはよくないよ~♪私の歌を聴いて、元気になろーう♪」
レイニーの前に現れたのは、やたら大きな帽子をかぶった少女だった。首にはスカーフを巻き、古びたコートをまとっている。その腕には、小さなウクレレを持っていた。
「あ、貴女は誰なの・・?」
「私の名前はウク・レレだよ~♪さすらいの吟遊詩人さ~♪普段は、『感情を音で伝える』ギフトで、皆に私の元気を届けているんだよ~♪」
自己紹介の時も、ウク・レレは独特の韻に乗せて歌うようにしてしゃべる。普段なら初対面の相手には人見知りが発動してしまい上手く話すことが出来ないレイニーだったが、ウク・レレの奏でる音色のおかげか、自分から話すことが出来た。
「あ、私の名前はレイニーだよ・・。私も『感情により天候が変わる』ってギフト持ちなの。・・お、おそろいだね!!」
レイニーはそう言ってにこっと笑みを浮かべる。自分と同じ『ギフト』を持つ仲間に出会えたことで、レイニーは嬉しくなり、いつの間にか雨の音もやんでいる。その間もずっとウクレレを弾いていたウク・レレ(ややこしいので以降はレレとだけ表記)だったが、その音色を聞いていたレイニーに突然レレを『可愛い』と思う感情が芽生えた。
「あれ・・?なんだか急にレレさんのことが可愛く見えてきた・・。どどど、どうして!?」
突然の感情に戸惑うレイニー。しかし、彼女以上に動揺しているのはレレの方であった。表情はあまり変わらないが、ウクレレの音色が乱れ、額から汗を流している。
「そ、それは気のせい、森の精~♪おおお落ち着け私、落ち着いて素数を数えるのだ~♪1,2,3、4、5・・。」
「レレさん、もう最初っから間違ってるよ!!」
なぜだか知らないがかなり動揺している様子のレレを見て、レイニーは何とかレレを落ち着かせる方法はないかと考えた。そこで、レレがそうしていたように歌ってみたらいいのではないかという考えに行き当たり、レイニーは恥ずかしさで耳を赤く染めつつも、レレの真似をして歌い出した。
「あ、雨が降ってるのに傘を差さなかったら濡れちゃうよー♪な、なんでだろぉ・・。」
レイニーが恥ずかしさを押し殺して頑張って歌った歌。その歌詞を聞いたレレは、急に真顔になりこう言った。
「え?そんなの当たり前じゃないか。何言ってるの?」
一瞬の静寂。レイニーは、ぷつんと何かが頭の中で切れる音を聞いた。その直後、屋敷ゾーンには雷鳴が鳴り響いたという・・。
《ニトナ&イレイザside》
転がる観覧車のゴンドラの中に居たニトナは、気持ち悪くなって吐きだしてしまった。そんなニトナの背中をイレイザが心配そうにさすり続けること数分、ニトナはいくらかましになった顔色で、自分を介抱してくれた名前も知らない誰かに礼を言うため顔を上げた。
「いやー、誰か知らないけれどニトナを助けてくれてありがとね・・って、ギャー!?こ、殺されるぅぅ!?」
しかし、その直後こちらを射殺さんばかりの鋭い目つきで睨み付けるイレイザを見て悲鳴を上げてしまう。それに対しイレイザはひどくショックを受けた様子で目に涙をため声を上げた。
「ひ、ひどいよ!!殺されるだなんて・・折角助けてあげたのに!!」
その声は怖い見た目とは裏腹に非常に可愛らしいものであった。ニトナはそのことに驚きつつ、慌てて頭を下げて謝った。
「ご、ごめんごめん!!いきなりあんたの顔が近くにあったから驚いてつい・・。てか、いきなり睨み付けるそっちもどうかとは思うけれどさ・・。」
後半はちょっぴり唇を突き出して不満げにそう言ったニトナに、今度はイレイザの方が慌てた様子で謝る。
「ご、ごめんなさい!!わたし、うまれつき目つきが悪くて・・そのせいでよく今みたいに誤解されちゃうの。」
そう言うと、イレイザははあ・・とため息をつく。
「ほんと、この目つきのせいですぐ周りからは怖がられちゃうし、友達も出来たことないし・・本当はもっと気軽におしゃべりとかしたいんだけれどなあ・・。」
イレイザは再びはあ・・と深いため息をつき、そしてゆっくりと顔を上げる。そこでイレイザが見たのは、いそいそと再びゴンドラの中に入ろうとするニトナの姿であった。
「ええ!?そこはもうちょっと、ほら、『それならわたしが友達になってあげるよ!』とか言う場面じゃないんですか!?私、ちょっと期待してたんですよ!?」
「やだよそんなの面倒くさい。それより、ニトナまたここに引きこもるから。おやすみなさーい・・。」
そう言うなり、ニトナは本当に寝息を立てて寝始めてしまった。何という寝付きの良さであろうか・・。ついつい感心してしまったイレイザであったが、すぐはっと本来の目的を思い出し、涙目でニトナに呼びかけ始めた。
「ちょちょ、ちょっと!?寝ないでくださいよ!!ほら!!私貴女助けてあげたじゃないですか!!友達になってくださいよぉ・・。お願いですぅぅぅ・・・・。」
後半はほとんど泣き落としのようになってしまっている。狸寝入りをしていたニトナは、若干気の毒に思いつつも、やっぱり面倒くさそうなのでそのまま寝たふりを決め込む。
「え、ええっと、確か、自分でニトナって言っていたはず・・。に、ニトナさん!!こうなったら最終手段です!!無理矢理起こして友達に・・ってむぎゅう!?」
ニトナを起こそうとゴンドラに近づいたイレイザは、目に見えない障壁に阻まれて変な悲鳴を上げる。これは、ニトナのギフト、『ひきこもる』能力により作られた完全引き籠もり結界の仕業である。
その結界に勢いよく突っ込んでしまったイレイザは痛そうに頭に出来たコブをさすりながら、う゛う゛ぅぅ~・・。とうなり声を上げた。
「こ、これはニトナさんの能力かなんかですか~?痛いです!!痛すぎます!!こうまでして私と友達になりたくないっていうんですかぁぁぁ・・?・・もういいです!!そっちがその気なら、こっちにも考えがあります!!」
イレイザはそう言うと、突如その瞳を赤く光らせた。狸寝入りをしていたニトナは、そのことに気がつかなかったが、その瞬間、ニトナの中の何かがなくなったかのような妙な感覚に襲われた。
「よし!!ようやく触れました!!起きてください、ニトナさん!!」
イレイザの言葉通り、イレイザは何故か引きこもっているはずのニトナの元まで近づき、身体を揺すり始めた。その事実に、ニトナは目を丸くして飛び起きる。
「ちょ、ええええ!?何であんたニトナに触れるわけ!?一体どゆこと!?」
「ふっふっふ・・。それを知りたくば、私の友達になってください!!友達になるって言うまで、こしょこしょし続けますよー!!」
「ふひゃ、ふひゃひゃひゃひゃ!!ちょ、やめ・・!分かった!!分かったから、友達になるからそれやめろーー!!」
イレイザのこしょぐり攻撃を受け、ニトナはようやくイレイザの友達になることを了承した。再びぐったりとしてしまったニトナとは対照的に、イレイザはぱあっと顔を輝かせた。・・それでも目つきだけは悪いが。
「やった・・!!やったーーーー!!!私、ようやく友達が出来ましたーーー!!ね、ねえ、友達って呼び捨てで呼び合うんですよね!?私、ニトナさんのことニトナって呼んでもいいですかーー!?」
「う、うん。いいよ・・。」
「ままま、マジですかーー!?じゃ、じゃあ、呼んじゃいますよ・・?・・ニトナ。きゃーーー!!?恥ずかしーーー!!!」
「・・あんた、頭大丈夫?てか、いい加減ニトナに触れた種明かししてほしいんだけれど・・。」
一人で飛び跳ねたり叫んだりと大変賑やかなイレイザに若干引きつつ、ニトナは気になっていたことを尋ねる。
「もちろん教えてあげます!!私たちは友達!!大親友ですから!!」
「いつのまに大親友まで昇格したし。」
「実は、私のギフトは『ギフトの能力を消す』能力なんです!!この能力を発動させている間、私の視界に入る『ギフト』所持者は全員ギフトが使えなくなります。これまではギフト持ちの方に会えなかったのでこんなギフトいらないなーっとか思っていたんですけれど・・こうしてニトナと友達になれたから、このギフトを持っていて本当に良かったです!!」
イレイザはさらっと自分のギフトを明かしたが、ニトナはその能力の特異さに目を見張った。
(なんじゃそのギフトは!?確かに使いどころは限られるかもしれないけれど、ニトナみたいなギフト持ちには超ぶっささるじゃん!!)
ニトナは成り行きだが、このイレイザと敵対することなく友達になれて良かったと心底思った。そんなニトナの内心の安堵が顔に出ていたらしく、イレイザは目を輝かせて「ニトナも喜んでくれているんですね!!」と歓喜する。・・良い方に勘違いしてくれて良かった。
ニトナの手を取り激しく身体を跳ねさせるイレイザに身体を揺すられ、ニトナの口から「ああああ・・・。」と声が漏れる。その時、ニトナの視界にこちらへ向かってくる白い人影が見えた。
「や、やばいよイレイザ!!ちょ、手放して!!あの白い奴来てるからぁぁ!!」
「ええ!?ほ、ホントだ!!どどど、どうしよう・・!?」
そうこうしているうちにも、今にも白い人影・・ピティー軍団はこちらに迫ってきている。ニトナは、おろおろするイレイザを眺める間も思考を働かせる。ニトナ一人だけなら引きこもってしまえば何ともない。しかし、それだと試練をクリアすることは出来ない。さっきまでなら別に試練を突破することに興味はなかったが、予想外に使えそうなイレイザを仲間にすることが出来た。自分から動くのは嫌いだが・・それならイレイザに動いてもらえればいいのだ。
「・・イレイザ。ニトナに良い案があるよ。」
「友達の考えてくれた案なら喜んで乗るよ!!」
ニトナがそんなことを考えているとは露知らず、満面の笑みでそう答えるイレイザに、ニトナも笑みを返したのだった。
《チームスマイルside》
「・・貴女、先程私に手も足も出なかったのを覚えていないのですか?」
呆れたような口調でそう口にするオッドアイの少女、サキの目の前には何故か笑みを浮かべて立つスマイルの姿がある。
「もちろん覚えているさ!!でも、主人公があきらめるわけにはいかないからね!」
スマイルはそう言うと拳を構え、サキに向かって走り出した。その様子を、サキは冷めた目で眺める。
(この方は一体何がしたいのでしょうか・・。先程突然「僕の名前はスマイル!!君、僕の仲間にならないか?」と言ったかと思えば、私が断ると「それなら拳で語り合おう!」とか言って突然殴りかかってきましたし・・。腕自慢なのかと期待してみれば、あっさりやられる。それにさっきから主人公主人公と・・自分が物語の主役のつもりなのかしら?)
それならば、今回も完膚なきまでにたたきのめしてこの夢見がちな少年?少女?の幻想を壊してやろう。この世界はお前中心には回っていないのだと、現実を突きつけてやるのだ。
「・・分かりましたわ。かかってきなさい。今回もまた、ボコボコにぶちのめしてやります。」
そう宣言すると同時、サキはギフトを発動させる。サキのギフトは、『十秒先の未来が視える』というもの。その能力により未来が見えるのは、青い右目の方だけだ。サキは、戦闘時などは未来の光景と現在の光景を同時に視ることで、あらゆる攻撃に事前に対処する。
そして、今回もスマイルの攻撃を避け続け、その際出来た隙に腰に提げた鉄扇でスマイルの急所を打つ。しかし、心なしか先程よりもスマイルの隙が少ないようにも感じた。そのことに若干の違和感を覚えたものの、数分後には地面に横たわるスマイルと、それを見下ろすサキの姿があった。
「どうやらここまでのようですね。・・さて、あの神も人死には出ないと言っていましたし、ここで貴女には退場して貰いますよ。」
そう言うと、サキはとどめを刺すべくスマイルの首筋めがけ鉄扇を振り下ろす。しかし、その寸前サキの右目が視た十秒後の未来に、サキは慌てて後方へと避難した。
その直後、どこからか飛んできたミサイルが、サキがさっきまで居た場所・・つまりスマイルが横たわる地面ごと吹き飛ばした。
「・・いきなりミサイルをぶっぱするなんて、物騒な方ですわね。貴女。」
サキは、十秒前に既に視てこちらへやってくることを知っていた人物に向け、そう声をかけた。
「私なりの祝砲なりよー!!第一村人はっけーん!!・・てね☆」
そこに現れたのは、顔を白く塗った道化師風の格好をした女の子だ。その手には、先程発射したと思われるバズーカ砲が煙を上げている。
「あーあ、折角私が一瞬でおうちに帰してあげようとしていましたのに、あれじゃあたとえ死なないといってもトラウマが残るのでは?」
「わはははー☆そうかもかもね~。でも、花火みたいできれーいとか、思ってるかもだぜ?」
そう言うと、道化師風の少女・・ビスケット・クラッカーはおもむろにポケットを叩く。すると、どういうわけかポケットから絶対入るはずのない大きさのロケットランチャーが飛び出してきた。これは、クラッカーの『ポケットの中に何でも収納できる』ギフトによるものである。
この能力は、クラッカーが持ち上げることが出来るものなら、無制限に何でもポケットに収納することが出来るのだ。
クラッカーは、「あは☆」と狂気じみた笑みを口に浮かべると、全く躊躇いなくロケットランチャーをサキめがけぶっ放す。しかし、その未来を既に視ていたサキは、身体を後ろに反らしてかわした。
「なんかー・・あんた、つまらないわー。普通そこは当たろうよ?ねえ。当たって私に真っ赤な花火を見せるとこぜよぜよ!!」
「貴女はどうやら頭のネジが何本か飛んでいるようですね・・。それとも、脳みそがプリンで出来ているのかしら?」
サキはクラッカーを挑発しつつ、立ち位置を右にずらす。先程あえて身体を反らしてロケットランチャーをかわしたのもこのためだ。サキには、こちらに向かってやってくる白い少女の大群と、それに追いかけられ四足歩行で走る少女がここに来ることを知っていた。だから、ロケットランチャーを使って後ろからやってくる彼女たちをまとめて倒そうと思ったのだ。
その読み通り、後方で激しい爆発音が聞こえ、そして、「にゃああああああ!!!?」という叫び声と共に、先程サキが立っていた場所に猫耳の少女が吹き飛ばされてきた。
猫耳少女は地面にたたきつけられる寸前で、空中で体勢を整え、両手足を使い見事に着地する。
「し、死ぬかと思ったにゃぁぁぁ!!!猫で良かったにゃああ・・。」
立ち上がってふう・・と額の汗を拭う“わたし”ちゃん。しかし、その直後自分に鉄扇とマシンガンの銃口が向けられていることに気づき、ぴんと尻尾を立てた。
「予定へんこー☆そっちのつまんない奴より、こっちの面白そうなニャンコから~♪」
「私、猫より犬派なんです。目障りなので消えていただけないかしら?」
「うにゃああああ!!?またまた大ピンチにゃーー!?」
突然のピンチに絶叫する“わたし”ちゃん。だが、そこに思わぬ妨害が入った。
「弱い者いじめは感心しないな・・。皆僕の仲間になるんだ。仲良くしようよ!!」
驚くべきことに、“わたし”ちゃんを守るようにして立ちふさがったのは、先程死んだはずのスマイルだった。しかも、その身体には傷一つ残っていない。しかし、サキはそのことよりも、自分がこの未来を視ていなかったことに驚いた。
「あれれ~?おっかしいぞ~?お前さっき粉々にどっかんしたはずじゃなかったぞよか?」
「“主人公三原則”その2・・『主人公は、死なない』!!僕は、あんな攻撃じゃ死んだりしないよ!!なぜなら、『主人公』、だからね!!」
そう言ってにっと笑みを浮かべるスマイルに、サキは底知れぬ恐怖を感じた。こいつは危険だと頭の中で警報が鳴り響き、サキは行動に移る。
サキは、早速ギフトを発動させる。これから自分はスマイルを殺しに動く。十秒後、スマイルがどう動くかを知っておくのだ。
しかし、サキが視たのは、無傷で立つスマイルと、その前で崩れ落ちる自分の姿だった。
「言っておくけれど、君の能力はもうだいたい把握したよ。もう僕が君に負けることはない。」
後ろから聞こえたその声にサキが振り向くより先に、サキは足払いを受け地面に崩れ落ちた。唖然とするサキを見下ろしながら、スマイルは再び満面の笑みを浮かべた。
「さあ、仲直りのスマイル100%!!拳で語り合って主人公に負けたライバルは、仲間になるのが常識だよ!!」
そう言ってサキへと差し出された手を、拒絶する考えはサキの頭に全く浮かんでこなかった。むしろ、スマイルの仲間として認められたことに誇りすら抱いていた。
‐ロキの第一の試練、突破者二名。
ちなみに、作者のお気に入りはレイニーです。
次回更新はなるべく早い内に!!でも明日はバイトあるので厳しそうです・・。




