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神様の遊戯盤の上で  作者: 赤葉忍
5th stage  『主人公』たちの物語
45/110

プロローグ

ソニア「5th stageが!!」

シャルン「はっじまっるでー!!」

オクター「皆、ファイトだぞー!!」

 目の前に広がるのは、きらびやかな謎の建造物。音を立てながら回る馬の模型や、ゴンドラが円上に並べられた巨大なオブジェなどが、独特な雰囲気を醸し出している。

 ジミナはそれらの物体を少し離れた丘の上から眺めていた。あの建造物群もそうだが、自分が今立つこの丘も人の手で作られた感じがする。周りには誰も人の気配がない。そもそも、自分は自宅のベッドで眠っていたはずではなかっただろうか?

 とりあえず、あの建造物に向かって行けば何か分かるかもしれない。そう思い足を動かしたジミナの頭に、女の声が響いてきた。


『あー、聞こえるか?私はお前たちをここに連れてきたロキっていう神だ。突然で悪いが、お前たちには今からオレからの「試練」を受けてもらう。』


 ロキと名乗ったその女性?は本当に唐突にそんなことを口にした。ジミナは思わず顔をしかめる。何だこいつは。勝手に頭の中に話しかけてきたりして。私は今あの面白そうな建物に向かう途中なんだ。邪魔しないでくれ。


『まあ「試練」っていっても人死にがでるような奴じゃない。ただ、エンキを倒すにはまだあいつらだけじゃあ心許ないから、ここらでオレが助太刀的な感じで役に立ちそうな奴を選出しようかと思って・・って、ちょ、お前ら話聞けよ!!十人中三人しかオレの話聞いてないってどういうことだオラ!!いやまあ、このステージに興味を持つのは分かるぜ?これはオレが一週間かけて手作りした「ロキランド」だからな!!オレ奪う神だから作るのは苦手で苦労したぜ・・。』


 なるほど。ここは「ロキランド」なのかー。そうなのかー。・・で、どうやったら帰れるんです?あ、帰る前にあのゴンドラだけ乗っていっていい?


『ふふふ・・!!お前らのうち約八割から帰らせろって声が聞こえてくるぜぇ。しかぁし!!ただで帰すわけにはいかねえ!!オレは性格が悪いからな!!ここから帰りたければ、この「ロキランド」を探検してゴールにたどり着け!!誰か一人がゴールの玉座に座った時点で、そいつはオレの宮殿に招待し、残りは強制的に元いた場所に返してやる!!』


 このロキの言葉を聞いたジミナが第一に抱いた感想は面倒くせえ・・であった。そんな試練即脱落でいいので早く帰らせてほしい。あ、でもやっぱりあのゴンドラには乗ってみたい。


「・・とりあえず、あそこに向かおうかな。あそこに行ったらその後は・・適当でいいや。」


 ジミナは、一旦試練のことは忘れて、あのゴンドラへと向かうことにしたのであった。


 しばらく歩き続け、ようやくゴンドラへとたどり着いたジミナ。早速乗ってみようと思ったジミナであったが、驚くべきことにそこには既に先客がいた。ジミナを合わせて合計四人の少女たちがいる。


「ふふふ・・!!このゴンドラは私が占拠した!!もう私は一生ここで暮らすぞ!!引きこもるぅぅ!!」


「ずるいにゃあ!!“わたし”ちゃんにも乗らせろにゃー!!」


「そうだよ!独り占めはよくないぞー!!」


 ゴンドラに堂々とした態度で寝そべっているのはパジャマ姿の女の子。そんな女の子をゴンドラから引きずり下ろそうとしているのは猫耳にしっぽというコスプレのような格好の女の子に、白いロリータ風の服を着た女の子。しかし、何故か二人の少女はパジャマの女の子に近づけないでいる。そんな二人を見て、パジャマの女の子は寝転んだ姿勢のままドヤ顔を浮かべた。


「ふははは!!私が引きこもると宣言したからにはこのゴンドラは既にこの私の聖地!!私のギフト、『ひきこもる』能力は、私が動かない限り誰も私が引きこもった空間には入ることはできないのだー!!ドヤッ!!」


「にゃ、にゃんだってー!?」


 パジャマの女の子のドヤ顔に、猫耳の少女が驚きの声を上げる。その様子を後ろから見ていたジミナは、また面倒くさそうな奴らに会ったな~・・と思いつつ、三人の少女の横を通り過ぎパジャマの女の子の隣のゴンドラに乗ろうとした。しかし、そんなジミナに、ロリータ少女が声をかけてきた。


「あれ?貴女、いつからそこに居たの?全然気づかなかった!」


 少女のその言葉に、ジミナを含めた他三人が一斉に目を丸くする。


「え?あんた何言ってるの?誰も居ないじゃん。」


「なんだにゃあ!?幽霊かにゃ!?怖いにゃー!!」


「え・・貴女、私のこと認識できるの?」


 しかし、驚いた理由はジミナだけは違った。ジミナは、少女に自分が認識されたことに驚いていた。


 ジミナのギフトは、『影が薄い』というものだ。その影の薄さは尋常ではなく、しかも常時発動されるタイプのギフトなので、ジミナから相手に話しかけたりしない限り、ほとんどの人はジミナの存在を認識することすらできない。

 ただ・・ジミナと波長が合う相手の場合に限り、ジミナを認識することは可能となる。ジミナにとって幸いだったのは、両親はジミナの存在を認識できたことであろう。もし認識されていなければ、今頃どこかでのたれ死にしている可能性すらある。


「何言ってんのさー!!そこにいるなら見えるし認識出来るに決まってるじゃなーい!!貴女、面白いわね!!」


 ジミナとしては冗談を言ったわけではなかったのだが、何故かその少女には笑われてしまった。そして、ジミナが声を発したことによって、他の少女二人もジミナを認識し、「うわあ!!本当にいた!?」「にゃんと!?びっくり仰天だにゃ!?」と驚きの声を上げて飛び上がる。猫耳の少女は顔ににゅっとヒゲまで生え、さらに猫感が増した。


「・・いや、私、『影が薄い』ってギフト持ちだから、人に認識されることってめったにないのよ。正直驚いたわ。あ、私の名前はジミナよ。」


「えへへ!!私の名前はムーンだよ!!しくよろよろー!!」


 ムーンはジミナの名乗りに合わせ、元気いっぱいに自己紹介をする。見た目だけならロリータ衣装に金髪碧眼とフランス人形を思わせる可憐さなのに、その見た目とのギャップがかなり激しい。


「うー!!何か二人だけ盛り上がっていてずるいにゃー!!“わたし”ちゃんも混ぜろにゃー!!」


 猫耳の少女がその耳をぴょこぴょこ動かしながら割り込んでくる。


「私の名前は“わたし”ちゃんだにゃー!!世界一頭が良い天才にゃんことはこの“わたし”ちゃんのことだにゃ!!“わたし”ちゃんもジミにゃんと同じくギフト持ち、『人間になれる』ギフトだにゃー!!」


「ええ!?それなら“わたし”ちゃん、本当は人間じゃないの!?一体どんな動物だろー?」


「いや、どう考えても猫でしょ。」


「にゃにゃ!?にゃんで分かったにゃ!!?ジミにゃんは天才かにゃ!?」


「ジミナちゃんすっごーい!!」


 ムーンと“わたし”ちゃんの二人は目を輝かせてジミナを見つめるが、あまり嬉しくはない。こんなの誰だって分かるだろうに。そう思いパジャマ姿の少女に目を向けると、彼女はゴンドラの中で寝息を立てていた。


「いや、この状況で寝ます?普通。」


「zzzzz・・・・。zzzzz・・・・。」


「すっごいにゃ!!寝息でゼットって言ってるにゃ!!」


「うん。どう考えても狸寝入りですね。起きなさいよ。」


 ジミナがそうツッコむと、パジャマ姿の少女は面倒くさそうにゆっくりと目を開けた。


「えー。だってこの流れだと私まで自己紹介しないといけないみたいじゃん。そんなのめんでぃーよ。私はここでダラダラするのだー!!」


 少女は寝転んだまま天に向かい高々と手を突き上げる。何がこの少女をそこまで突き動かすというのか。彼女のだらけることへの熱意は最早尊敬に値する。


「あ、パジャマにニトナって名前書いてある!!貴女ニトナっていうんだね!!」


「しまった!!思わぬところに伏兵がいたかー!!」


 しかし、彼女の名前はムーンによりあっさり明かされてしまった。・・てか、こいつら皆阿呆だな。先程から会話のIQが全体的に低い気がする。この空間に居ては自分のIQまで下がりそうである。


「あ、あんなところに謎の物体が飛んでるぞー。(棒)」


「え、どこどこ!?」


「謎の物体!?それ発見して写真に撮れば一生働かずに暮らせるのでは!?」


「にゃんだって!?“わたし”ちゃんにも見せろにゃ!!」


 ジミナは適当なことを言って三人の視線を自分から反らす。その隙に、その場から立ち去ることにした。ジミナが去ってすぐ、不満そうな声が聞こえてくる。


「ちょっとー!!何も見えないじゃん!!・・ってあれ?さっきまでここにもう一人誰か居たような・・。」


「え!?幽霊でも居たのかにゃ!?こえーにゃ!!」


 後ろからはニトナと“わたし”ちゃんのそんな声が聞こえてくる。ジミナのギフト、『影が薄い』能力は、たとえ一度認識できたとしても、一度認識から外れてしまえば記憶からもその存在が薄れてしまう。そのため、ジミナはこのまま誰にも知られず居なくなろうとしたのだが・・。


「・・何で貴女はついてきているわけ?ムーン。」


「えへへー!!理由なんてなーいよ!!ついてきたかっただけ~。」


 そう言ってえへへ~ととろけるような笑顔を向けるムーンに、ジミナははあ・・とため息を返した。


「・・私についてきてもつまらないわよ?」


「それは~、わたしが決めることだよー♪」

 

 ジミナはやんわりとムーンの同行を拒否しようとしたが、ムーンは全く聞き入れようとはしなかった。むしろ何故か上機嫌になっているようにも見える。

 もう一度今度ははっきり同行を断ろうとしたその時、ジミナの頭にまたしてもロキの声が響いてきた。


『あ、そういや言い忘れていたことがあったな。「試練」の内容を伝えてなかったぜ!!最初の試練は、この「遊園地ゾーン」から脱出することだ。お前ら十人中、七人がゲートを出たところで自動的にゲートは閉まる。その時点でこのゾーンに残っていた奴は、おうちに帰って貰うぜ!!一つ助言をしておくと、試練には他の奴らを蹴落とそうとするより、協力する精神が大事だ!!それじゃあ、頑張れよー!!』


 ロキの通信は言いたいことだけを言ってぶつっと切れてしまった。ロキの声はムーンも聞いていたらしく、早速目を輝かせてジミナに迫ってきた。


「ねえねえ!!私とジミーの二人でゴール目指しちゃおうよ!!」


「いや、私別にゴール目指しては・・てか、ジミーちゃんってなによ。」


「あだ名だよー!!ジミーちゃんの方が可愛くない?」


 正直、あまり可愛いとは思えない。しかし、期待を込めた目でこちらを見つめるムーンを見ると、正直にそう言うことはできなかった。そもそも、ジミナは自分のことを認識出来る人にはめっぽう弱いのだ。


「ま、まあ、少しの間くらいなら貴女に付き合ってあげてもいいけれど・・。」


「ねえジミーちゃん!!あれ何だろうね!?」


 若干頬を赤らめつつ返した返事は見事にムーンにスルーされてしまった。そして、そのムーンはというと、目の上に右手で傘を作って何やら目をこらして遠くを見つめていた。ムーンにつられジミナもそちらに視線を向ける。すると、目をこらすまでもなく、それ(・・)はすぐそこまで迫ってきていた。


「何あれ・・?全身白い女の子が・・たくさんいる・・?こっちに向かってきてる!!」


 そこからは本当に一瞬だった。もの凄いスピードでこちらに入ってきた白い少女たちは、通り過ぎざまにムーンの腹をナイフで刺し、ムーンはうめき声を上げて地面に倒れる。そして、ジミナもまた、白い少女の軍勢の波に飲み込まれ、その姿はたちまち消えてしまったのであった。




《ロキside》


 突如として現れた白い少女の大群。当然、ロキの仕業ではない。そして、あの少女たちの顔にはロキは見覚えがあった。額から冷や汗が流れるのを感じる中、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。


『やあロキ!!なんだか面白そうなことをしているじゃないか!!私にも協力させてよ!!』


『・・エンキ、どうしてここに?』


 ロキが振り向くと、そこには仮面を脱ぎ捨て、黄色く光る目をこちらへと向けるエンキの姿があった。エンキは、冷や汗を流すロキに対し、満面の笑みを浮かべてこう言った。


『いやー!!ロキが私の真似をしてこんなゲームを開いてくれるなんて友達冥利に尽きるよ!!勿論、死人はちゃんと出すよね!!はは!!そうしないと面白くないし!!・・それとも、人間を殺したくない理由でもあるのかな?』


『い、いや・・そんなことねえよ。お前が来てくれて助かるぜ!!』


 最悪だ。ここで自分の考えている計画に勘づかれるわけにはいかない。何とか、エンキに気づかれないように試練を最後まで行わなければ・・。

 眼下に映る十人の少女の映像を眺めるロキの瞳が、不安げに揺れた。



▼▼▼▼▼


 ピティー軍団の介入により、平和だったはずのロキの試練はたちまち波乱の様相を呈してきた。


「くらうにゃ!!猫パンチ!!猫アッパー!!猫キーック!!」


 “わたし”ちゃんは、突如襲いかかってきたピティーたち相手に猫ならではの身体能力で対処している。しかし、あまりに数が多い。


「き、きつすぎるにゃー!!これが試練なのかにゃー!?ちょっとニトにゃーも手伝ってほしいにゃ!!」


 そんな“わたし”ちゃんに対して、ニトナは相変わらずゴンドラの中でごろごろしているだけだ。ピティーたちの何人かは、そんなニトナに襲いかかろうとするが、ゴンドラに入る前に目に見えない障壁のようなもので阻まれてしまう。


「えー、やだよ。ニトナ、動かず引きこもっておけば無敵だしー。逆に動いたら死ぬから。マジで。」


 そう言うと、ニトナはピティーたちに向かって舌を出し、挑発し始めた。


「やーいやーい!!悔しかったらここまでおいでー!!おしりぺんぺーん!!」


 すると、ピティーのうちの一体が、観覧車の支柱に攻撃を開始した。その直後、支柱が崩れ、ニトナはゴンドラごと地面を転がり始めてしまう。


「ちょ、私が悪かった!!悪かったからこれ止めてぇぇぇぇぇ!!!!」


「わははは!!ざまあないにゃ!!」


 “わたし”ちゃんは遠ざかっていくニトナを見て笑い声を上げたが、ふと残りのピティーの目がすべて自分に向けられていることに気がつき、ぴん!としっぽを立てた。


「・・こういう時、確か人間の世界にはこんな言葉があったはずだにゃ。・・『逃げるんだよー!!』だにゃぁぁぁぁ!!」


 “わたし”ちゃんはそう叫ぶと、四足歩行で脱兎のごとく(この場合は脱猫のごとく?)駆けだしたのであった。




 もちろん、他の参加者も同じような状態である。参加者の一人、晴れているにもかかわらず合羽を着てうつむいている水色の髪の少女。その少女の周りにも、数人のピティーがいた。


「何でこんな目に遭うのかな・・。やっぱり私の運が悪いからだよね・・。ふふふ・・こんな雨女、やっぱり皆から嫌われちゃうんだ・・。」


 随分ネガティブな少女がそう呟くと同時に、彼女の頭上の空だけ突然曇り始めた。そして、突然激しい雨が降り始める。あまりにも激しい雨に、ピティーたちは「きゃー!!」と悲鳴を上げて逃げ出してしまった。そんな中、少女は雨の中まだぶつぶつと一人呟いていた・・。


 ジェットコースターと呼ばれるアトラクションの近くにいた二人の少女にも、ピティーたちは襲いかかる。


「右一体ナイフを構えて突進・・。左二体こちらに回し蹴り・・。貴女たちの行動は、既に予測済み(・・・・)です。」


 右目が青、左目が黒のオッドアイの少女は、まるでピティーたちの動きが見えているかのように華麗に攻撃をかわし、的確なカウンターをいれていく。その動きには一切の無駄がなく、まるで舞を見ているかのようであった。


 一方、もう一人の少女は、迫り来るピティーたちから必死で逃げていた。元々の目つきの鋭さもあって、その顔はなかなかに迫力がある。


「も、もう駄目・・。体力の限界ぃぃ・・。」


 しかし、見た目とは裏腹に、少女から出た声は実にか弱いものであった。そんな少女に、ピティーの一体が襲いかかろうとして・・直後、そこを偶然通りかかった巨大な観覧車によりつぶされてしまう。


「や、やっと止まった・・。お、おええええ!!!」


 ふらふらとよろけながら観覧車から降りてきたのは、もちろんニトナだ。吐きだしたニトナを見て、少女は慌てて介抱のために駆け寄ったのであった。



 ゾーン内に設置されたステージ。その上では、大きな帽子をかぶった吟遊詩人風の少女が一人、ウクレレを抱えながら歌を歌っていた。


「るるる~♪君が遠くにいると小さく見えるのに~♪近くに来ると大きく見えるんだ~♪何故だろう~♪」


 少女が歌う当たり前の歌詞に、しかしながらツッコむものは誰も居なかった。


 一方、同じようなステージでも、こちらはお客がたくさんいる。とはいっても、全員ピティーなのだが・・。そして、ステージの上では、道化師の格好をした少女が、ピティーたちにマジックショーを披露していた。


「さあさあいくよ!ポケットを叩けばビスケットが一つ♪も一つ叩くとビスケットが二つ♪」


 しかし、ピティーたちは少女の見せるショーには全く関心を持たずステージ上に上がってくる。そんなピティーたちを見て、少女は頬をぷくーっと膨らませた。


「もー!!ショー中にステージに上がるのは御法度なんだから!!そんな君たちには・・罰ゲーム☆いえーい!!」


 少女はそう言うと、ぱんぱんと二回自分のポケットを叩いた。そして、迫り来るピティーたちを見てにいっと笑みを浮かべると、おもむろにポケットから機関銃を取り出した。


「・・ポケットを叩けば機関銃が一丁♪」


 そして、少女は笑い声を上げながら機関銃を乱射し始めたのであった。



 遊園地ゾーンの大広間。そこには、傷を負い倒れるショートパンツ姿の少女の姿があった。だが、その凜々しい顔立ちからして、もしかしたら少年かもしれない。どちらにしても顔が整っていることは間違いないようだ。ここでは、とりあえず少女と呼んでおこう。


「くそ・・!!こんな奴らにやられるなんて・・!!」


 少女は、悔しそうに顔をゆがめながらそう呟く。そんな少女に、ピティーたちは容赦なく近づきとどめを刺そうとした・・。


 その数分後。


 そこには、先程とは打って変わって無傷でたたずむ少女の姿と、力なく地面に倒れるピティーたちの姿があった。


「“主人公三原則”その1・・『主人公は、負ける度に強くなる』!!ありがとう、君たちは、主人公にやられる悪役としては良い味を出してくれたよ。」


 そして、少女は満面の笑みを浮かべ、両手でピースサインをする決めポーズをとった。


「勝利のスマイル!!ぶい!!」


ーロキの第一の試練、突破者ただいま零名・・。

現時点で判明している参加者の名前&ギフト(描写だけの人の正式なギフトもいくつか明かすよ~。)


ジミナ・・『影が薄い』

ムーン・・『???』

“わたし”ちゃん・・ 『人間になれる』

ニトナ・・『ひきこもる』

レイニー・ブルー・・『感情により天候が変わる』

サキ・・『十秒先の未来が視える』

イレイザ・・『???』

ウク・レレ・・『???』

ビスケット・クラッカー・・『ポケットに何でも収納できる』

スマイル・・『???』

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