二日目 『どっじぼぉる』
ソニア「待たせたな!」
シャルン「ちょっと色々忙しくて投稿遅れてもうたで。堪忍なー。」
オクター「実際作者眠たくて寝落ち連発してただけでは・・?」
作者「それは言わない約束。」
ソニア「誰だ貴様はー!?」
『皆さんおはようございます。二日目の朝になりました。今日も一日元気に過ごしましょう!』
エンキ学園長の無駄に明るいボイスで起こされたナナは、まだ眠い目を擦りながら、ふあぁと大きな欠伸をした。隣のベッドを見ると、クララも先程のボイスで起きたようで、ナナの方を見て笑みを浮かべ「おはようだべ。」と挨拶してきたので、ナナも笑顔で「おはよう」と返した。
そして、ナナとクララはパジャマからセーラー服に着替えようとベッドから立ち上がったが、そのタイミングを見計らったかのようにピティーが部屋に入ってきて、ナナとクララの二人に服のようなものを差し出しこう言った。
「今日は体育の授業がありますので、お二人にはこの体操服を着ていただきます。」
ナナは、とりあえず貰った服を手にとって広げてみた。その服は、上は真っ白でよく伸びる素材の服で、胸元には「なな」と平仮名で名前が書かれてあった。それはまだいいのだが、問題は下だ。それを見たナナは、そのあまりの丈の短さに赤面しピティーに抗議した。
「な、なんですかこれ!?ほとんどパンツみたいなもんじゃないですか!こんなの履けませんよ!」
「それは、『ブルマ』と言って、体育には必要な装備なのです。文句を言うのでしたら、下着一丁で授業を受けることになりますが、よろしいのですか?」
そう言われてしまえば、従うしかない。ナナは、「うう・・。」とうなりつつ体操服に着替えた。普段からショートパンツをはくことが多いナナだが、このブルマとやらをはくのは何となく抵抗があった。
クララも自分と同じ思いをしているのかと思い横を見てみると、クララはナナとは別の意味で赤面している最中だった。
「うう・・。こ、この服、ちょっと胸のあたりがきついだよ・・。」
身長がほとんど同じナナとクララに与えられた服は、同じサイズの体操服。しかし、ナナは問題なく着れたのに、クララは胸に書かれた「くらら」の文字が服の下の豊かな双丘に押されて歪んでしまっている。
ナナは、思わず自分の体操服の胸に視線を落とした。そこには、綺麗に「なな」の文字が読み取ることが出来る。
「くっ・・!!」
「ど、どうしたんだべナナちゃん。何か顔が怖いべ!?」
ブルマの恥ずかしさなど最早消えた。ナナは、ただただこの世の不条理を嘆き、心の中でそっと涙を流したのだった。
ナナとクララの二人は、朝ご飯を食べるため食堂に向かう。他の生徒たちもだいぶ集まっていたが、勿論全員体操服なので、なかなか面白い光景が広がっていた。ナナから見る限り、少なくともトットとベティは我が同士であるらしいようだ。
「みんな~。おはようございまーす。」
「あ、パティ先生おはようござ・・ぐはっ!?」
挨拶をしようと振り返ったナナは、そこに現れた暴力の化身にノックアウトされた。そこに立つのは、体操服姿のパティ先生。しかし、その胸元の名前は最早解読不能であり、特大ミサイルにより持ち上げられた服のせいでおへそがチラ見えしてしまっていた。
「きゃー!セクシーダイナマイトよー!!」
「おっぱいの核ミサイルやー!!」
「グラマー賞受賞待ったなしー!!」
三つ子もそんなパティ先生を見て興奮しわけの分からないことをまくし立てている。そんな三つ子は、クララやパティ先生ほど大きくはないが全員バランスのとれたナイスバディであった。
そんな三つ子の隣で、トットが自分の胸元に手をやり、そのタイミングでナナと目が合った。二人は、何も言わず近づき、無言の握手を交わす。
「あー・・この服露出少なすぎて暑い・・。早く授業終わらせて毒飲みたい・・。」
その時、パティ先生の後ろからどんよりとした様子のリリィ先生が現れる。リリィ先生の胸元に書かれた全く伸ばされた様子のない文字を見て、ナナは思わずこう呼びかけていた。
「リリィ先生・・!!ボク、先生のこと大好きです!!」
「・・は?」
その後、若干頬を引きつらせたラモーネ先生に、「あの、とっくに朝ご飯出来てるんだけど。早く食べろ☆」と促され、ナナたちは朝ご飯を食べることになった。昨晩と同じく、朝ご飯もかなりの絶品であった。皆それぞれ舌鼓を打ち、少し休憩を挟んでから、体育の授業を受けるため、ピティーに誘導され、『体育館』と呼ばれる場所に移動することとなった。
《ドッジボール大会》
「はーい。体育を教えるのは、この私。ピーチ・パティですー。今日は、皆でドッジボールと呼ばれる球技をしようと思います。」
大きな胸を揺らしながら、パティ先生はそのドッジボールとやらのルールを皆に説明してくれた。
ドッジボールとは、簡単に言えば二つのチームに分かれ、敵チームめがけボールをぶつけるゲームである。ボールをぶつけられたらその人は外野に行き、最終的にそれをどちらかのチームの内野がいなくなるまで行う。なお、外野にいる人物が相手チームにボールをぶつけたら内野に戻ることもできるらしい。
「そしてー、ここからは一般のドッジボールにはない特殊ルールです~。このドッジボールにおいて、皆さんはギフトを使用してもかまいませんー。むしろ積極的にばんばん使っちゃってください~。」
パティ先生がそう言った瞬間、明らかに目を輝かせたのは三つ子だ。三人ともふっふっふ・・。と不敵な笑みを浮かべて臨戦態勢をとっている。
「ついに来ちゃったね・・!このあたしの秘められしパワーを発揮する時!」
「うう・・!右手がうずくぜい!」
「あ、あたしは左目が・・しょぼしょぼする。まだ若干眠い!」
・・なんだか一人だけ若干違ったようだ。そんな三つ子に対して、あまりテンションの変化がないのは、ナナとクララだ。特に、クララは不安そうな表情を浮かべていた。
「うう・・おら、運動とか苦手だしギフトも上手く使えねえし、憂鬱だべ・・。」
憂鬱なのはナナも同じだ。ナナも運動はあまり得意ではない。もし、自分も運動神経がよければ・・と考え、それによりある考えが閃いた。その思いつきをクララに提案してみる。
「ねえ、思ったんだけどさ・・。クララちゃん、自分が『ドッジボールが上手い人』だって思い込んで演技してみたらいいんじゃない?そしたら、ギフトの効果で少しドッジボールが上手くなるかも・・!」
しかし、クララはその提案を受けてもまだ不安そうだった。
「で、でも、おらにそんな演技力ねえだべよ・・。」
「大丈夫!台詞とか言わなくても思い込むだけでも十分演技になるよ!私も自信ないけれど頑張ってみるから、クララちゃんも一緒に頑張ろう!」
ナナがやや力強い口調でそう言うと、クララはまだ若干不安そうな表情をしていたが、ナナの目を真っ直ぐみてしっかり頷いてくれた。
ドッジボールのチーム分けは、部屋番号の偶数奇数で分けられた。しかし、そう分けると奇数チームが多くなるので、グラーフとファラの強い要望により、マグナが偶数チームに加わることとなった。
「ふははー!これで三つ子全員そろったぞー!」
「三人になったあたしたちに勝てる奴など誰もおらぬわー!」
「ぼっこぼこにしてやんぜー!」
三つ子はグラーフを先頭に縦に並んで身体をくるくる回す謎のムーブを始めた。その動きは理解不能だが何となく楽しそうである。
奇数チームのメンバーは、ナナ、クララ、トット、ベティ、そしてパティ先生。偶数チームのメンバーは、グラーフ、ファラ、マグナ、そしてリリィ先生とラモーネ先生だ。
先生同士のじゃんけんの結果、最初のボールは奇数チームが投げることになった。
「それじゃー、私からいきますよ~。やるからにはしっかりやるので、覚悟しといてくださいね~。」
パティ先生はそう言ってボールを持つ手に力を込める。その瞬間、パァン!という乾いた音と共に、ボールがはじけ飛んだ。
「・・あら~。ちょっと力加減を間違えてしまったみたいです~。もう少し丈夫なボールを持ってきますねー。」
パティ先生はおっとりとした口調でそう言うが、ベティ以外の参加者全員はそのあまりの怪力に冷や汗を流していた。ナナは、ピティーが持って行ったボールの残骸を見たが、その残骸はまるで鋭利な刃物に切り裂かれたようであり、いったいどんな怪力を持ってボールを握ったらこのようなことになるのだろうか。
ただ、パティ先生と同室のベティだけは、「せ、先生・・凄い・・!!」と髪の毛の奥の目を輝かせている。
ピティーが新しいボールを持ってきたところで、改めてドッジボールが開始された。パティ先生が「そ~れ!」という緩いかけ声からは想像つかない剛速球でボールを投げる。そのターゲットになったのは、ラモーネ先生だ。
「うげっ!?なんでプリンちゃんを狙うのかなー!?それに当たるのはいたそー☆だから・・。」
ラモーネ先生は、迫り来る剛速球に向かい手のひらを向ける。すると、そこからボールと同じくらいの大きさのプリンが生成され、プリンに当たったボールはポヨンと音を立てて地面にはじかれた。思いもよらぬ方法でボールが当たるのを回避したラモーネ先生に、皆一様に唖然とした表情を浮かべる。そんな皆の反応を見て、ラモーネ先生は得意げに胸を張った。
「どうよ!プリンちゃんお手製のスペシャルプリンの味は!プリンちゃんのギフトで作るプリンは、その大きさ、味、弾力すべてを自分の好きなようにカスタマイズできるんだから!」
それは・・凄いと言っていいのか、非常に微妙な気がする。あの剛速球を弾いても形を保っているくらいだからその弾力は相当なものであるだろうことは間違いないだろうが。
ラモーネ先生は、「ボール投げるのは生徒に任せるぞ☆」と言うとボールをグラーフに渡す。渡されたグラーフは一瞬「ひょ?」と間抜けな顔をしたものの、すぐ切り替えて「よーし!」と張り切りだした。
「くらえー!グラーフ必殺!『グラビティ・スロー』!!」
グラーフが投げたボールは、クララめがけ向かっていく。とっさに、ナナは目線で「来たよ!」と合図を送る。その合図を受け、クララはコクリと頷き、正面からボールを真っ直ぐに見つめた。
クララがボールをキャッチする。しかし、キャッチした瞬間、「ほえぇ!?」と悲鳴を上げクララはボールを地面に落としてしまった。その様子は、ナナにはまるでボールが急に重くなったかのように見えた。
案の定、あちらのコートでは三つ子が横に並んでふっふっふ・・!と笑みを浮かべていた。
「説明しよう!『グラビティ・スロー』とは、投げたボールが相手の手元で突然重たくなる伝説の魔球のことなのだぁ!」
「さっすがグラーフ姉!かっこいー!!」
「すっごーい!でも原理説明しちゃったから二度目は使えないねー!」
一方、当たってしまったクララは肩を落として外野に歩いて行く。ナナは、その背中に「クララちゃんの分も頑張るからね!」と声をかけた。
「うーん、私が投げてもラモーネ先生に防がれてしまいますし、あの三つ子は能力も有用ですから、なかなか厳しい状況になってしまいましたね~。」
パティ先生は、「困ったわ~。」と目を細め、頬に手を添える。そんなパティ先生の様子を見て、ベティが「だ、大丈夫なのか・・?」とうろたえている。ナナも、先程クララにはああ言ったものの、少し不安になってきた。
しかし、その時、外野から帰ってきたばかりのトットが眼鏡をくいっと上げチームメイトの注目を集めた。
「大丈夫です。私がなんとかします。任せてください!」
そう堂々と宣言したトットの眼鏡が、照明の光を反射してキラリと光り輝いた。
結果として、ドッジボールはナナたち奇数チームの圧倒的勝利に終わった。その要因としては、トットのギフト、『無機物に命を宿す』にあった。
トットのギフトによって命を宿されたボールは、トットの指示を受け、三つ子がボールをキャッチしようとすればその腕の中をすり抜け、慌ててよけようとしたリリィ先生の背中を追尾しては次々と当てていった。
最後まで粘ったのはラモーネ先生だった。ラモーネ先生は、最終的には自分の身体ほど大きなプリンを作り、その中に入るという秘技、『プリン・アーマー』を使って籠城戦を計ろうとしたが、その結果、パティ先生の剛速球とついにはプリンを食べ出したボールの活躍により、見事全員を外野に送ることに成功したのだ。
「皆~、我がチームのエース、トットちゃんを胴上げよ~。」
パティ先生の合図と共に、外野に行っていたクララも加わり、皆でトットを胴上げする。途中から三つ子も胴上げに加わり、トットが涙目で「も、もうやめてくださーい!」と叫ぶまで皆で胴上げをしつづけたのだった。
《ナナ&クララの部屋》
「うう・・チームが勝てたのは嬉しかったけんど、おらは折角ナナちゃんが応援してくれたのに全然活躍出来なかったべ・・。」
授業が終わり、部屋に戻ったクララは、しょんぼりとした様子で肩を落とす。相変わらずネガティブなクララに、ナナは少し呆れつつも声をかける。
「もう、クララちゃんはネガティブすぎるよ。それを言うならボクだって全然活躍出来てなかったし、クララちゃんは最後の方パティ先生と一緒になってラモーネ先生のプリンを破壊するのに貢献してたじゃん!」
「ほ、本当にそう思うだべか・・?」
「勿論!それに、一日で演技が上手くなるはずもないしさ。まだあと五日もあるわけだし、ボクも手伝うから一緒に頑張ろうよ!」
ナナがそう言って笑いかけると、クララは「・・もう、ナナちゃんには敵わないべ。」と笑みを浮かべた。
その後、ナナとクララの二人は就寝時間までたわいもない話で盛り上がり、お互いに「ナナ」「クララ」と呼び捨てで呼び合うくらいに距離を縮めたのだった。
《グラーフ&ファラの部屋》
「・・はーい。今日のドッジボール大会の反省会をしまーす・・。」
「いえーい・・。」
「はあ・・折角活躍出来ると思ったのにな~。何が悪かったのかな・・。」
「はい!ずばり、相手が悪かったと名探偵ファラは推理します!」
「それね!てゆーかさ。あれ反則だよね!?スポーツに変な能力使ってんじゃねー!」
「お姉それはブーメランだよ!!」
《マグナ&トットの部屋》
「いや~、今日のトットちゃんは大活躍でしたね!さあ、お立ち台!今日のヒーローインタビューです!今の感想はいかがですか!?もこもこ羊パジャマのトットちゃん!」
「だ、だからパジャマのことはつっこまないでください!!」
「昨日とはパジャマを変えているところにこだわりを感じますね!今日も可愛いよ!」
「え!?嬉しい!!」(からかわないでください!!)
「・・え?」
「・・は!?」(ぎゃー!?心の声と表に出す声間違えたー!?)
《ベティ&ピーチ・パティの部屋》
「きょ、今日は先生大活躍だったね・・。さすが・・!!」
「え~、そうかしら~。」
「う、うん。凄かった・・!光ってたぞ・・。暗闇が似合う私には・・眩しすぎるくらいだ。ふひっ。」
「・・ねえ、ベティちゃん、その前髪切ってみない?」
「・・え。い、いきなり何を言い出すんだ・・?」
「ドッジボールしてる時にちらっと見えたんだけど~。その髪を切ったら、ベティちゃん凄く可愛い顔してると思うのよー。」
「フヒッ!?だ、駄目だ。この髪を切ったら眩しすぎて消滅してしまう・・。」
「はーい♡抵抗しても無駄ですよ~。」
「うう・・。やっぱり力が強い・・。に、逃げ切れないぃ・・。」
《リリィ&プリン・ア・ラモーネの部屋》
「こ、これは明日全身筋肉痛コースだわ・・。は、張り切りすぎた・・。」
「ラモーネあんた最後まで粘ってたもんね。私は早々に脱落しちゃったけれど。ねえ、何であんなに張り切ってたの?」
「だ、だって生徒には見栄張りたいじゃない・・。イテテテ!?がー!!湿布!!湿布持ってこーい!!腰がぁ・・腰がヤバいのぉ・・。」
「・・あんたのその見栄っ張りもそこまでいくと逆に尊敬するわ・・。後で腰痛に効く毒貸してやるわ。」
「サンキュー・・。って毒!?ちょ、おまそれ嫌な予感しかしねえぇぇぇぇぇ!!!!!」
久しぶりに昼頃の投稿。
ドッジボールたーのしー!今夜のMステ見ないと!
次回更新は未定です。




