プロローグ 『にゅうがくしき』
作者「あー、けもフレ終わっちゃったー。新作映像待ちきれないよー。とりあえずもう一度一話を見よう・・。おや?友人からラインが来てるぞ?」
友人「けもフレ12.1話来てる!」
作者「ふぁ!?ま、まさかそんなことは・・。」
アライさん「本当なのだー!」
作者「うわーー!!マジでか!?たつき監督本当にありがとうございます!」ずさー(五体投地)
アライさん「ピッカピカのを見つけてくるのだ!」←これマジ可愛い。
ナナは、頬に感じる固い感触で目が覚めた。どうやら、机のようなものにうつぶせに寝ていたようだ。まだ眠気がとれなくて、大きく欠伸をしながら背伸びをする。と、ここにきてナナは当たり前の疑問に気づいた。ここはいったいどこなのだろうか?自分は、昨日家のベッドで寝たはずなのに、起きたら椅子に座ったまま机にうつぶせになっていた。
ナナが自分の身に何が起きたかを理解するよりも早く、目の前にある緑色っぽい大きなボードに、突然仮面をかぶった人物の映像が映し出された。
『皆さん、おはようございます!ようこそ、この「神遊学園」へ!』
ナナは、無駄に明るい声でこちらを歓迎したその人物の声によって初めて、後ろに自分以外にも机から今起きたばかりというような少女たちが六人いることに気がついた。その少女たちは、見た目や髪の色は自分も含めてそれぞれ異なっていたが、唯一共通していたのは、皆同じように独特な大きな襟が特徴的で、胸元に赤いリボンを巻いたやたら爽やかな服を身にまとっていたことだ。
『あ、その服気に入ってくれた?可愛いでしょー!それね、「セーラー服」って言って、君たちがここの生徒であることを示す制服なんだよー。』
仮面の人物は、ナナの心を読んだかのようなタイミングでそう説明してくれた。確かに、このセーラー服とやらは可愛いが、ナナが気になっていることはそこではない。
「あの・・先程から『学園』だの『生徒』だのと言っている意味が分からないのですが。こんな服は着なくていいので早く家に帰していただけませんか?」
そう、それだ。ナナがまさしく言いたかったことを、黒髪で前髪ぱっつんが特徴的な、眼鏡をかけたどこか真面目そうな女の子が、その眼鏡をくいっと上げながら仮面の人に聞いてくれた。すると、仮面の人物はわざわざ仮面を困り顔の物に変えてからこんなことを言った。
『えーっとねー。君たちが家に帰るのは無理なの。だって、君たちは私が「保護する」ためにこの学園に連れてきたんだから。帰られたら困っちゃうな。』
「『保護』・・?それはどういうことですか?」
仮面の人の口から出た若干不穏な言葉に顔をしかめながら再び尋ねる眼鏡っ娘。そして仮面の人はその問いに対しこう答えた。
『それはね・・君たちが全員、「ギフト」持ちだからだよ。君たちの中で、最近ギフト持ちの少女たちが突然行方不明になっている事件が多発しているのを聞いたことがある子はいない?』
そう尋ねられ、一人の少女が「・・あっ!」と声を漏らした。ナナを含めた六人の視線が集まる中、その女の子・・黒髪おさげで鼻のあたりにそばかすが目立つ、少々野暮ったい感じの女の子が、注目されるのに慣れていないのか少々頬を赤く染めながらこう言った。
「あ、あの・・おら、その話聞いたことあるだよ。なんか、おらのかあちゃんのいとこの姉ちゃんが突然いなくなったよぉって。そん姉ちゃんも、おらと一緒で『ギフト』持ちだっつうからちょっくら怖くなったのを覚えてるだぁ。」
ちょっぴり訛りの入ったその言葉に、仮面の人は我が意を得たように大きく頷いた。
『そう!それ!実はね・・その犯人、実はもう分かってるの。「ギフト」持ちの子を誘拐しているのは、“首狩り”のシャーリーっていうそれはそれは生意気で傲慢で残虐で礼儀知らずでほんと糞野郎でロキから言われなきゃ何度殺してやろうかとも思ったくらい・・おっと失礼。兎に角最低な殺人鬼なんだよ!そんなヤバい奴から君たちを保護するため、私はこの学園を作って君たちをここに連れてきたってわけ。理解できた?』
シャーリーとかいう人のことを語っていた時、一瞬仮面の奥の瞳が黄色く光り恐怖を感じたが、それもすぐに消え、仮面の人はナナたちにそう聞いてきた。ナナたち七人は、一瞬顔を見合わせたが、眼鏡っ娘がくいっと眼鏡をあげたのを合図に再び彼女が仮面の人に質問した。
「貴方が私たちをここに連れてきた理由は一応理解できました。しかし、何も知らせず攫うような形で無理矢理この場所に連れてくるのは、いささか強引ではないでしょうか?私、祖母が家で食事が出るのを待っているので帰らなくてはならないんですが。」
すると、その言葉に同意するように、髪の色は赤、青、黄とカラフルだが、顔はほとんど同じに見えることから、おそらく三つ子と思われる三人の女の子が、便乗して騒ぎ出した。
「そうだぞー!家に帰せー!」
「無理矢理さらうなんてひどいぞー!」
「この変態仮面ー!」
仮面の人は、変態と言われてまた目が光りかけたが、少し間を開けてから落ち着いた口調でナナたちを諭しにかかった。
『・・そんなことを言っても、連れてきてしまったものはしょうがないじゃない。わざわざこんな学園まで作ったんだよ?まあ、確かにいきなり連れてきたのは申し訳ないと思っているから、一週間ここで過ごして、もし家に帰りたいと思うなら帰してあげる。それでいい?』
「・・まあ、確かに私たちのことを思ってしたことには間違いないようですし、了承も得ず無理矢理連れてこられたことはまだ納得していませんが、これだけの施設を作ってもらった以上、一週間なら我慢できないことはないでしょう。勿論、家に連絡はいれてくれるのですよね?」
『勿論!そこら辺は心配しなくていいよ!他の子たちも、納得してくれたかな?』
仮面の人の問いかけに、三つ子はそれぞれ「まあ、一週間なら・・」「セーラー服も可愛いし・・」「殺人鬼も怖いし・・」と答え、おさげの子も「お、おらも皆がええって言うなら・・。」と答え、紫色の髪で両目が隠れた少し暗めな子も無言で頷いたため、ナナも慌てて「わ、私も大丈夫だよ!」と答えた。
そんな七人の反応を見た仮面の人は、満足そうに大きく何度も頷いた。
『うんうん!皆納得してくれたみたいでよかったよ!君たち以外にも、三人の先生もいるから、授業の時間になればその三人にも会えるよ!それまで自己紹介でもしといたらどう?あ、ちなみに私はこの学園の長、エンキだよ!呼ぶときは、エンキ学園長って呼んでね!それじゃあ、学園生活を楽しんで!次に会うのは・・多分二日後の夜かな?それまで元気でね~。』
こちらに向かい手を振るエンキ学園長の姿を最後に、映像は突然終わった。少々の沈黙の後、眼鏡っ娘が眼鏡をきりっと上げ、場を仕切り始めた。
「・・それでは、特にすることもありませんし、あのエンキ学園長が言っていたように自己紹介でもしますか?」
その提案を受け、皆バラバラのタイミングではあったが頷く。それを見た眼鏡っ娘はこほんと一つ咳払いをした後、早速自己紹介を始めた。
「えー、それでは私から自己紹介をしたいと思います。どうやら私を含め皆さん『ギフト』持ちのようなので、ギフトも合わせて紹介しますね?私の名前はトットと言います。ギフトは、『無機物に命を宿す』というものです。無機物なら触れば何にでも命を宿すことができます。命が宿った無機物とは会話もできますが、あまり知性は高くないので同じ言葉を繰り返したりすることが多いですね。・・以上です。それでは、順番は私から時計回りにしましょう。」
トットの提案により、次に自己紹介をすることになったのは、三つ子の髪が赤い子だ。
「えーっと、あたしの名前はグラーフ!まあ皆気づいているとは思うけれど、隣の二人とは三つ子で、あたしは長女なんだー!ギフトは、『重さを操る』能力だよ。自分の重さを変えたり、触ったモノの重さを変えたりできるんだー!じゃあ、次いってみよー!」
そして、次は三つ子の髪が黄色い子。
「はいはーい!あたしの名前はファラ!三つ子の真ん中でーっす!ギフトは、『温度を操る』能力ー。部屋の温度を上げたり下げたり、エアコンいらずなのだー!それじゃあ三つ子の大トリ、頼んだよ!」
最後に、三つ子の髪が青い子。
「ちょ、ファラ姉ハードル上げないでよ・・。えー、あたしの名前は、マグナ。『磁力を操る』ギフト持ちだよ。お姉たちと違って、普段はあまり使いどころないんだよねー。まあ、そんな感じで三つ子皆よろしくー。」
なかなかにキャラが濃い三つ子の次に自己紹介することになったのは、かわいそうなことにあのおさげの子だった。おどおどしてなかなか話し出せずにいる。順番が次だったこともあり、ナナはおさげの子に「大丈夫だよ、落ち着いて!」と声をかけた。すると、おさげの子は少し目を見開いた後、笑顔を浮かべ、「あんがとぅ。」と礼を言ってくれた。
そして、どうやらそのやりとりで少し落ち着いたらしく、おどおどしながらも自己紹介を始めた。
「え、えっとぉ、おらはクララって名前ですだ。ギフトは・・えっとぉ、『演技がうまい』って奴で、簡単に言うと演技して役になりきることができる能力なんだけども、おら、こんな訛りだから演技とかできねぇで・・正直、全然ギフトをうまく使えねえだ。」
クララと名乗ったおさげの子・・彼女のギフトは若干クララの説明が足りていない感じがしてよく分からなかったが、ナナにそのことを気にしている暇はない。なぜなら、次は自分が自己紹介する番だからだ。ナナは、緊張をほぐすため一度大きく息を吸ってから話し始めた。
「えー、ボクの名前はナナって言います。ギフトは、『運がいい』ってやつなんだけれど・・。くじでいっつも大当たりが出るとかそんなことはなくて、何か「こんなことがあったら嫌だなぁ・・」って思うことが起こらないような、そんな能力です。」
ナナのギフトの説明を聞いた一同が、そろって微妙な顔をする。そんな顔をされなくても、自分のギフトがかなりショボいものであることは、十六年間このギフトと付き合ってきた自分が一番よく知っている。
ただ、先程能力をうまく使えないと言ったクララだけが、仲間を見つけたように瞳を輝かせていたので、軽く会釈しておく。
さて、自己紹介の大トリを務めるのは、これまで一言も発していない暗めの女の子だ。ナナは、その子がちゃんと自己紹介してくれるか不安だったが、かなり小さい声ではあるものの自己紹介してくれた。
「ふ、フヒ・・。わ、私は、ベティ・・。ギフトは、『色を変化させる』ってやつなんだ・・。いろいろな奴の色を変えられるよ・・。色だけに・・。フヒッ!フヒヒヒヒ!」
最初は小さな声で話し始めたベティだったが、最終的にはかなり大きな声で不気味な笑い声をあげていた。その異様さに、ナナを含めた数人が若干引き気味になる。
トットもまた、少し眉をひそめていたが、眼鏡を上げるとすぐに切り替えたようで、再び皆を仕切りだした。
「・・ひとまず、これで自己紹介は終了ですね。そして、あのエンキ学園長が言うには、私たち以外にも三人の先生という存在がいるようです。なるべくその三人にも今日中に会いたいですね・・。兎に角、この面子で一週間共に生活することになるのです。争いごとなど起こらぬよう、仲良くやっていきましょう!」
トットの呼びかけに、今度は皆そろって大きく頷いた。
ーこうして、『神遊学園』での学園生活がスタートしたのだった。
あ、ここでサードステージで書き忘れた裏設定を一つ。
実は、ソニアの幼少期、ソニアの両親を殺した全身包帯の殺人鬼はシャーリーです。
新連載の神遊学園、次回は先生三人が登場!お楽しみに!




