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神様の遊戯盤の上で  作者: 赤葉忍
3rd stage  その笑みは神をも恐れぬ
32/110

七日目&エピローグ

ソニア「また七日目&エピローグか・・嫌な予感がするな。」

シャルン「セカンドステージも生き残り二人とか言っておきながら最後でロロ殺しとったしな。」

オクター「やはり作者は人でなし!この外道が!私にも出番よこせや!」

《サラ&シャーリーside》


 光に包まれた二人が目を開けると、そこは何とも奇妙な真っ白い空間だった。そして、二人の正面には、これまで映像でしか姿を見せていなかったあの仮面の神がいる。もっとも、サラにとっては神にこうして直接会うのは初めてのことではないが・・。

 神は、サラとシャーリーの姿を見ると、何とも大げさな仕草で両手を広げて、祝福の言葉を述べた。


『これは驚いた!まさか、サラ、君が生き残りの二人のうち一人に入るなんてね!とりあえずは、ここまで生き残ったことを祝福しようじゃないか!パチパチパチー!』


 しかし、シャーリーは神の全く心のこもっていない祝福には一切反応せず、愛用の鎌を向けた。


「うるせえよバーカ。てめえにそんなこと言われてもちっとも嬉しくねえわ。まずは、サラの首輪を外せ。その後、てめえの首をはねてやるよ。」


 神は、そんなシャーリーの脅しに一瞬固まったが、すぐカラカラと笑い声をあげた。


『・・いや、この私にそんなことを言う奴は初めてだよ。"首狩り"シャーリー。私の首をはねるだって?冗談も休み休み言いな!お前ら脆弱な人間風情が、神を殺せるわけないだろ?』


 神はそう言って宙に浮き、シャーリーたちをおちょくるように二人の頭上で優雅に一回転すると、逆さまの状態でサラの首輪を指差し、こう言った。


『その首輪も外さないよ!第一、まだ七日目は終わってないんだ。そう!お前らをここに連れてきたのは、別に生き残ったことを祝福するためではない!散々仲良くしていたお前らが殺し合うのを間近で見るためにここまで連れてきたのさ!さあ、どうするサラ!シャーリーを殺さなきゃ、お前の首輪は外れねえぞ!』


 神は、完全にこちらを見下した目で見下ろすと、愉悦に浸り高笑いをあげる。サラは、そんな神の様子を見て思わず恐怖が込み上げ、自らの身体をぎゅっと抱きしめたが、シャーリーがポンとサラの頭の上に手を置き、「大丈夫だ。」と囁くと、その恐怖は一瞬で消えた。

 そう、大丈夫。シャーリーがいれば、たとえどんなに絶望的な状況でも、サラは笑っていられる。だから、サラは神にあんな言葉を投げかけられても絶望することはなかった。

 いまいちサラたちの反応が悪かったことが気にくわないのか、神は笑い声を止め、サラたちを仮面の奥から見つめる。シャーリーは、その視線からサラを守るようにして前に立ち、不敵な笑みを浮かべて神にこう提案した。


「なあ、神。お前、オレたちをこんなことに巻き込むくらいだ。ゲームは好きなんだろ?じゃあ、今からオレとゲームをしようぜ?」


『人間風情が、神である私に案を持ちかけるとはね。いいよ、話だけでも聞いてやろう。どうせ、お前らの死は確定だ。最期くらい付き合ってやるよ。私は器が大きいからね!』


 神は、全く警戒心を抱くことなくシャーリーの提案に乗ってきた。それは、神がシャーリーたちのことを見下しているが故の余裕であった。そんな神に、シャーリーがゲームの内容を語る。


「ゲームのルールは簡単だ。まず、サラの首輪とオレの首輪を交換しろ。オレの首輪は石になっちまってるから、そうなれば実質オレだけが首輪をつけ、七日目終了時に爆死することになる。それで、もしオレが死んだらお前の勝ち。オレが死ななかったら、オレたちの勝ちだ。どうだ?簡単だろ?」


 そのゲームの内容を聞いた神は、シャーリーを馬鹿にするように笑いだした。


『ハハハ!なんだそのゲームの内容は!そんなの私が勝つに決まってるじゃあないか!それともなんだ?お前がサラを殺してくれるのか?どっちみち、私に損はない。いいよ、そのゲーム、受けてあげよう。』


 神は、そう言ってパチンと指を鳴らす。すると、次の瞬間、サラの首輪とシャーリーの石になった首輪が入れ替わった。


『さあ、シャーリー。お前はどうするつもりだ?このまま何もせず死を待つか?それとも、サラを殺して生き残るか?どちらにしろ、面白いショーが見れそうだよ!ワハハハ!!』


 そう言って再び高笑いする神に、シャーリーが呆れたような視線を向けた。


「おい、そこの自称神。お前何言ってんだ?一つ選択肢を忘れてるぞ?馬鹿なのか?」


 シャーリーの言葉に、神の笑い声がピタリと止まる。仮面の奥の瞳は、確実に怒気を帯びていた。


『は?お前、今何て言った?』


「何度でも言ってやるよ。馬鹿だろ、お前。だってよお・・」


 シャーリーはニヤリと口角を上げ、鎌を神の首めがけ振り下ろしながら叫ぶ。


「ここにもう一人、殺せる奴がいるだろうがぁぁぁ!!!!」


 目視できない速さで振り下ろされた鎌。しかしその鎌は神の首に届く前に、見えない障壁により阻まれてしまう。神は、怒りから一転、呆れたような口調でシャーリーを馬鹿にした。


『なんだ、何を言うかと思ったら・・無駄無駄。お前らじゃ私には指一本触れることもできないって。』


 シャーリーは、そんな神の言葉も無視し、ひたすらに鎌を振り下ろし続ける。神は、余裕の態度でシャーリーが鎌を振り下ろすのを見ていたが、その回数が百回を越え、千回を越えてもなおシャーリーの勢いが止まらないのを見ると、理解しがたいものを見る目でシャーリーを見始めた。


『・・おい、やめろよ。無駄だって言ってるだろ?いつまでそんなことを続ける気だ?』


 その時、狂ったように鎌を振り下ろし続けていたシャーリーが、神の方にその顔を向ける。そのシャーリーの顔を見た神は、思わずぎょっとして一歩退いてしまった。

 

「いつまでって・・。そりゃあもちろん、お前のその首に鎌が届くまでだよ。幸い、まだ一日も(・・・)あるんだ。一日ありゃあ、オレなら十分・・てめえを殺せる!!!」


 そう叫ぶシャーリーの顔は、絶望など全く感じさせない満面の笑みだった。ふと神が横を見ると、サラもまた、神を正面から見つめ、笑みを浮かべていた。その顔は、シャーリーが神を殺すと信じ全く疑っていない。

 

 ・・違うだろ。なんで絶望してねえんだよお前ら。なんで笑ってられるんだよ!お前らはただの道具だろ?道具が何で、主人に牙を向けてんだよ!!道具は道具らしく、私の思い通りになれよ!!!


 シャーリーの手からは、既に大量の血が流れ始めていた。それでも、シャーリーは休むことなく神めがけ鎌を振り下ろし続ける。神は、思わず障壁に力を込めた。その直後、シャーリーの鎌の刃がボキッと音を立てて折れる。

 ほっと息を漏らす神。しかし、シャーリーは鎌が使えなくなると、今度はその両手で障壁を殴り始めた。その表情は、相変わらず笑顔のままだ。


「アハハハハハハハハハハハハ!!!!!!もう少しだ!!もう少しでてめえに届く!!!!」


 シャーリーのその言葉通りに、その時、今までびくともしていなかった障壁に、ピシリと小さなヒビが入った。それを見た神に、これまで感じたことのない感情が産まれる。


『やめろ・・やめろ!!こっちに来るなぁぁぁ!!!!』


 それは、"死"への恐怖。神は、この時、産まれて初めて何かに対し恐怖したのだ。

 シャーリーが障壁に拳を叩き込み、またピシリとヒビが入る。それを見た瞬間、神は思わずサラとシャーリーの二人を転移させていた。



▼▼▼▼▼


 

 サラとシャーリーがいなくなり、息を荒げる神だけが残された白い空間。そこに、黒い渦と共にやたら露出の多い女性・・"奪う神"、ロキが姿を現した。ロキの顔は、何やら面白いものを見たようにニヤニヤと緩められている。


『おうおう!こっぴどくやられたようじゃねえか、エンキ!いやあ、びっくりしたぜ。まさか、神の障壁にヒビを入れさせる人間がいるたあよ。ま、お前もこれに懲りたらこんなこと二度とやらねえことだな。』


『・・さない。』


『あ?何か言ったか?』


 蹲るエンキに近づいて耳を傾けたロキに対し、エンキは仮面を投げ捨て、その下の憎しみに満ち溢れた表情を露にして叫んだ。


『許さないぞシャーリー!!こんな屈辱初めてだ・・!!もう一度ゲームを開き、貴様を思い付く限りの残虐な方法で八つ裂きにしてやる!!!』


 しかし、そう言って下界に伸ばそうとしたエンキの手を、ロキが途中で止めた。ロキの眼は、赤く光りエンキを睨み付けている。


『おい、やめろエンキ。神が特定の人間の命に手にかけようとしたら、それは遊びの域を越えてしまう。もしお前がそれをするつもりなら、オレが全力で止めてやるぜ?』


 ロキのその瞳を、エンキも黄色に輝く瞳でしばらく睨み付けていたが、ふっとその光を納め、はあ・・とため息をついた。


『・・分かったよ。流石に、君と本気で闘ってまで奴を殺そうとは思わない。』


 エンキのその答えを聞き、ロキもほっとした様子で目の光を納め、エンキから手を放した。しかしその直後、再びエンキが目を光らせ、ロキに詰め寄った。


『たださぁ!その代わりこのイライラを解消する手伝いくらいはしてくれるよねぇ!?それと、奴に対して嫌がらせするくらいは許されるでしょう!?』


 エンキの勢いに負け、ロキは思わず『あ、ああ。』と返事を返してしまった。その返事を聞いたエンキは、満面の笑みを浮かべ、自らのイライラ解消とシャーリーに対する嫌がらせを同時にできる方法を考え出した。


『まず、このゲームをまたやることは確定事項でしょー?これ、メチャクチャ面白いし。そうだ!ゲームの様子を、奴の夢に見せるってのはどうだろう!流石の奴でも、人が無惨に死ぬ様子を延々と見せられたら参ってくるはずだ!』


 こうなったエンキは、もう止めることはできない。ロキは、これからの自分の仕事が増えることを想像し、はぁ・・と深いため息をついた。

 



《フローラ&シャーロット&クリスタside》


 フローラたち三人は、クリスタが作成した本を元に、九年前の最古のゲームの生き残り・・シャーリーとサラの住んでいる屋敷を訪れていた。

 その屋敷は見るからにおどろおどろしく、幽霊でも出そうな雰囲気を醸し出している。フローラは、今からこの屋敷に入るのかと思うとつい尻込みしてしまい、思わず「本当にここにその二人が住んでいるのですか?」とクリスタに尋ねていた。


「はい。本によれば、三年前からこの屋敷を住みかにしているようです。この屋敷は、昔娘が両親を殺してその死体を縫い合わせたと有名の屋敷で、その事件があったせいか誰も引き取り手が現れず、また死んだ両親の幽霊が出るという噂もあったことから誰も近づこうとしなかったため、殺人鬼として指名手配されていたシャーリーにはちょうど良かったようです。」


「フローラ、いい加減に覚悟を決めたまえ。こんなところで怖じ気づいていては神を殺すことなどできないぞ?」


「わ、分かってますよ!」


 シャーロットに尻を叩かれ、フローラは覚悟を決めて屋敷のドアをノックした。その直後、音もなくドアが開かれ、そこには全身が白い少女が立っていた。

 その姿を見たフローラは、思わずピティーかと身構えてしまったが、よく見るとピティーよりも容姿は若干幼い。彼女が恐らくサラであろう。

 サラは、フローラたち三人についてこいと言うように手招きした。フローラたちは、素早く顔を見合わせた後、サラの後ろをついて屋敷の中に入る。

 サラは、ところどころ穴の空いた廊下を音も立てずに歩いていたが、突然ある部屋の前でその足を止め、その部屋のドアを開けた。


「おう、よく来たなてめえら。待ち過ぎてこんな身体になっちまったぜ。」


 そして、その部屋で笑いながらフローラたちを待ち構えていたのは、大きな鎌を肩に担ぎ、全身を包帯で包んだ老婆だった。

サラ

身体能力 4

知性 3

社会性 2

運 3

能力の強さ 2


ギフトの能力・・『心が読める』


"首狩り"のシャーリー

身体能力 5

知性 3

社会性 0

運 5

能力の強さ 5


ギフトの能力・・『時間を引き延ばす』


サードステージ後日談&キャラ裏話、そしてフォースステージキャラ紹介は明日の活動報告で!

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