表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の遊戯盤の上で  作者: 赤葉忍
3rd stage  その笑みは神をも恐れぬ
31/110

六日目

ソニア「Welcome to ようこそジャパリパーク!今日もドッタンバッタン大騒ぎ!」

シャルン「はいはい!」

ソニア「姿形も十人十色!だ・か・ら、惹かれあうの!」

オクター「夕暮れ空に指をそっとかさーねたらー!」

ソニア「はじーめましてー!」

シャルン「はじーめましてー!」

オクター「君をもっと知りたいな!」

三人「「「うー、がおー!!」」」

ソニア「けもフレ最終回最高だったぞー!」

シャルン「しかも二期もあるとかヤバイぞー!」

オクター「サーバルちゃんさいこー!!!たーのしー!!」

《ルルside》


 スターは死んだ。彼女は、ルルに自分を殺させることでルルの命を救ってくれた。ルルに、貴女は生きるべきだと言い残し、笑顔で死んでいった。

 キャンディ・キャンディも死んだ。彼女は、ルルを殺せば自分が生き残ることが出来たのに、それをしなかった。誰かの死を背負って生きる程強くないと涙ながらに語った彼女は、ルルにキャンディを残して爆発した。

 そして、結局ルルだけが生き残り、六日目の朝を迎えようとしている。昨日は到底眠れなかったが、今眠ると悪夢しか見ないだろうから眠りなくない。そもそも、頭から二人の死の光景が離れず、眠気など全く感じなかった。

 ルルは、ポケットから写真を取り出す。そこには、自分と愛する娘の姿が写っている。昨日までは、この写真を見て、必ず生きて帰らなければと思えたが、今はそんな気持ちすら起こらない。

 むしろ、写真を持つ手に血がついているように幻視して、ルルは「うわぁ!?」と悲鳴を上げて写真を落とした。そして、息を荒らげながらその手を目の前に持ってくる。スターを刺した時に手についた血は、洗い流したはずだ。それなのに、ルルには血塗れの手が見えている。


「こんな血で汚れた手じゃ、あの子を抱くことなんてできない・・。」


 ルルは、絶望の表情と共に、顔を覆って蹲る。ルルは、もう何もしたくなかった。もはや、あれほど強く抱いていた生きたいという思いすらない。ルルの頭の中は、死んだ二人に対する懺悔でいっはいだった。

 もう限界だ。これ以上苦しみながら生きるのには耐えられない。ルルは、自分から死のうとスターが持っていたナイフを自分の胸に突き立てようとして、ふと、自分以外の参加者のことを思い出した。

 もし、自分がここで死んでしまったら、他の参加者は生きたくても殺せる人がいなくてキャンディ・キャンディのように死んでしまうのではないか。それなら、その参加者のためにも、自分はまだ死ねない。どうせ死ぬなら、最期は医者として他人の命を救ってから死のう。

 そう決意したルルは、キャンディ・キャンディが残したキャンディを舐め、立ち上がり歩きだした。何の効果があるか分からなかったが、そのキャンディは甘いミルクの味がした。




《サラside》


 サラが今日生き残るためには、他の参加者の誰かを殺さなければならない。そのことは分かっているのだが、サラは石になったシャーリーの元から離れられずにいた。

 その理由は、石になったシャーリーから、まだ心を読むことが出来たからだ。

 とはいえ、頭まで石になっているからか、何も考えていないが、それでも心を読むことができるということは、シャーリーがまだ生きているということに他ならない。シャーリーがまだ生きている以上、サラは彼女の元から離れるわけにはいかなかった。

 サラは、何とかシャーリーを元に戻せないかと、背中を叩いてみたり水をかけてみたりしたが、一向に元に戻る気配がない。

 シャーリーの首輪も彼女と同様石になっているので、首輪が爆発して死ぬ心配はないと思うが、それでも、石のままではそのうち死んでしまうだろう。実際、先程から徐々に心を読みにくくなっている。

 シャーリーを石に変えたと思わしき首は、サラがとっさに踏み潰してしまったが、今はそのことを少しばかり後悔している。もしかしたら、あの首があれば石化を解くことができたかもしれない。

 あと、シャーリーを救う可能性があるとすれば、他のゲーム参加者の中にシャーリーを元に戻せる能力を持つ者がいるかもしれないが、仮にそんな能力を持っている人がいたとしても、今も生きている保証はないし、第一シャーリーを助けようとしてくれるかは分からない。

 それに、サラがここから動けない以上、声による連絡手段がないサラには待つしか選択肢がない。そんな状況でシャーリーを救える人物が助けに来てくれる確率などほとんどゼロに近いと言えよう。

 

 サラがシャーリーのそばで途方に暮れているうちに、六日目の太陽は真上を通り越し、もうすぐ夕暮れ時を迎えようとしていた。

 このまま、シャーリーと二人で死ぬのも悪くないかもしれない。サラが半分諦めてそんなことを思い始めたその時だった。


「やっと見つけた・・!」


 息を切らしながらサラの前に表れた白衣の女性は、サラを見てそう言ったのだった。



《ルルside》


 ポポから逃げ出したあの坂に行ってみようと思い付いたのは、昼頃のことだった。あそこなら、まだポポが生きているかもしれない。ポポから逃げ出したというのに、また自分から彼女の元に戻るのは皮肉ではあったが、今のルルは誰でもいいからとにかく人に会いたかった。

 そして、目的地にたどり着いた時、そこにはポポはいなかったが、その代わりに、神が人形だと言っていたあの白い少女がいた。彼女はてっきりシャーリーとかいう殺人鬼に殺されているかと思っていたのでここで彼女に会うのは正直びっくりしたが、とにかく人に会えて良かった。これで、ようやく安心して死ぬことができる。

 そう思いその白い少女にナイフを渡そうとしたが、その少女はナイフを受け取ろうとはせず、切羽詰まった表情で自分の後ろの石像を指差していた。

 ルルには最初少女が何を伝えたいのか分からなかったが、やがてその石像があの時映像で見たシャーリーの姿であることが分かると、少女が伝えたいことが何となく分かった。


「分かったわ。彼女のことなら、私なら何とか出来るから安心して。」


 ルルが少女にそう声をかけると、少女は一瞬びっくりしたように目を見開いたあと、明らかにほっとした表情を浮かべルルに頭を下げた。

 その様子を見て、もし娘が成長したらこのような姿になるだろうかと思い、一瞬胸が締め付けられたが、すぐその思いを振り払うように、石となったシャーリーに向かい合い、両手をかざす。

 スターの時よりも石化していた時間が長いからか、なかなか元に戻らなかったが、諦めず手をかざし続けていると、次第に石化が解けていき、やがて完全に石化が解けたところで、シャーリーが大きな欠伸と共に声を出した。


「ふわぁあ!よく寝たぜ。って、おい、サラ!どうしていきなり飛び付いてくるんだ!?」


 石化が解けたシャーリーに、サラが目を潤ませながら飛び付く。何が起きたのか理解していないシャーリーは、突然の事態に困惑した表情を浮かべていたが、自分の胸に涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら頬を擦りよせるサラを見て、ふっと優しげな笑みを浮かべ、サラの頭をくしゃっと掻き撫でた。


「あー・・なんか分からねえが、心配かけたみたいだな。ゴメンな。もう大丈夫だ。オレはここにいるぜ。」


 ルルはそんな二人の様子をじっと見つめていた。医者と殺人鬼。ルルとシャーリーの立場は全く異なるはずなのに、サラを撫でるシャーリーを見ると、そこに娘のララの頭を撫でる自分の姿が重なった。

 ルルのその視線に気付いたのか、ここでようやくシャーリーがルルの方を向いた。シャーリーはサラを守るように左腕で抱き抱えると、右腕で鎌を持ち、それをルルに向けた。


「お前はどこの誰だ?オレたちを殺しに来たっていうなら、容赦はしねえぜ?」


 しかし、そんなシャーリーに、サラがルルの目では追えない速度で右手を動かしてみせた。それを見たシャーリーは、「マジか、こいつが?」と声に出し、ルルに向けていた鎌を下ろした。


「サラが言うには、お前、どうやらオレを助けてくれたみてえだな。一応礼は言っておくぜ。あんがとな。」


 そして、驚いたことにルルに対して軽く頭を下げてみせた。その目は相変わらずこちらの真意を伺うかのように鋭く細められているが・・。しかし、思った以上に話が出来そうな相手でほっとした。そう思い、ルルはシャーリーに返事を返す。


「いえ、医者として当然のことをしたまでです。それと・・私は、貴女たちを殺すつもりはありません。むしろ、その逆です。どうか、私を殺してくれませんか?」


 ルルのその願いがよほど予想外だったのだろうか。シャーリーは、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になった後、胸に抱き抱えたサラの顔を見下ろし、そのサラの右手の動きを見ると、途端に苦虫を噛み潰したような顔になりルルを見つめた。

 ルルは、この人、見かけによらず表情豊かだなぁなどと思いつつ、シャーリーの言葉を待つ。


「・・どうやら、本気みてえだな。だが、オレはおめえを殺すことはしねえよ。死にてえって奴を殺してやる程、オレはお人好しじゃあねえんでな。それに、首輪も石のまんまだし、お前を殺してもオレに得はねえ。その代わり・・死にてえってえんなら、サラに殺されてくれ。オレはこいつを死なせたくねえんでな。」


 サラに対する愛情が伺えるその言葉に、ルルは自然と笑顔になり、首を縦に振っていた。この二人のためなら、自分から殺されるのも悪くない。まだ出逢って数分しかたっていないにも関わらず、そう思えた。




《サラside》


 サラは、目の前のルルという人物の心を読み、彼女が死にたがっていることも理解していた。そして、彼女を殺した方が、彼女の救いになるであろうこともわかっていた。

 それでも、いざ彼女を殺すとなると、その覚悟ができない。昨日あの同じ顔の軍団を殺した時は、無我夢中だったので殺すことに対する忌避感はなかったが、目の前の女性は死を望んでいるとはいえ、先程シャーリーの命も救ってくれた恩人である。そんな彼女を殺すことには、躊躇いがあった。

 しかし、そんなサラの躊躇いが伝わったのか、シャーリーがいつもより少し厳しい声でサラを諭した。


「やれ、サラ。おめえには、オレと一緒にするべきことがあるだろう?お前とオレとの目的を果たすためなら、人の命を背負って生きる覚悟くらいは決めねえと駄目だ。こいつのためにも、お前のためにも、殺してやれ。」


 シャーリーとサラとの目的。それは神を殺すこと。確かに、神を殺すためなら、それくらいの覚悟は必要だ。それでも、なかなか手が出せないでいるサラに、ルルがそっとナイフを手渡し、優しく語りかけてきた。


「私のことは気にしないで。・・貴女たちが生きていてくれれば、私も心残りなく死ねるから。」


 心を読めるサラには、それがルルの本心であることが伝わってきた。サラは、ぎゅっと目を閉じる。そして、心の中でごめんなさいと囁いてから、ルルの胸に彼女から手渡されたナイフを突き刺した。

 ルルは、「ぐっ!」と呻き声をあげた後、ふっとサラとシャーリーに笑いかけ、そのまま息絶えた。堪えきれずに涙を流すサラの肩に、そっとシャーリーの手が置かれる。


「・・生きるってことは、難しいことだ。人を殺すよりも何倍もな。だが、オレはこれからも笑って生きてやる。お前も、こいつの死も背負って堂々と笑って生きてやれ。」


 シャーリーのその言葉に、サラは力強く頷いた。

 

 そして、次第に日は暮れていき、六日目の太陽が沈んだその時、サラとシャーリーの二人は眩しい光に包まれ、島からその姿を消した。






五日目の脱落者たち


ディアナ

身体能力 2

知性 3

社会性 2

運 2

能力の強さ 3


ギフトの能力・・『目で見た相手を石に変える。』目で見たものなら何でも石に変えられる。また、死んだ後も能力は残る。


ポポ

身体能力 3

知性 4

社会性 3

運 3

能力の強さ 5


ギフトの能力・・『増える』一体でも生き残れば何度でも復活可能。また、最大百体まで増えることができ、全員意識を共有している。


スター

身体能力 2

知性 1

社会性 3

運 4

能力の強さ 2


ギフトの能力・・『全身光る』常時発動タイプ。


キャンディ・キャンディ

身体能力 3

知性 4

社会性 4

運 3

能力の強さ 2


ギフトの能力・・『不思議なキャンディを出せる。』本編で登場したのは、おやすみキャンディ、がまんキャンディ、パワーアップキャンディ、リラックスキャンディ、スピードアップキャンディなどなど。それぞれ味がちゃんとある。

ルルが食べていたミルク味のキャンディは、"ラッキーキャンディ"少しだけ幸運に恵まれる。


六日目脱落者


ドクター・ルル

身体能力 2

知性 4

社会性 4

運 3

能力の強さ 4


ギフトの能力・・『神の手でどんな怪我や病気でも治療できる。』ただし、自分は治療できない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ