五日目 part2
ソニア「えー、今回内容八千文字。しかも鬱展開注意ですので苦手な方は注意してください!」
シャルン「あらすじ村のかけあいは今日はなしで。かんにんな。」
《ポポ軍団side》(ルル&スター&キャンディ&ディアナ&ポポ)
「なんてことをするんですか!?早く治療を・・。」
そう言って、崩れ落ちるディアナの元に駆け寄ろうとしたルルの前に、ポポ数体が立ちふさがる。ポポ将軍は嫌らしく口角を上げてルルの方を見ると、倒れたディアナの背中にナイフを突き刺しとどめを刺した。ディアナは、「ぐふっ!?」とうめき声をあげしばらく痙攣していたが、やがて動かなくなった。
「治療などさせてはこいつを殺せないではないか。安心しておけドクター。貴様は使えるから最後まで生かしておいてやる。」
ルルは、ぎっとポポ将軍を睨みつける。その手は強く握りしめられ、爪が掌に食い込み血が流れていた。ルルは悔しかった。目の前に居ながらディアナを救うことができなかった自分の弱さを憎らしく感じた。いや、少し前の自分なら自分の命も顧みずディアナを助けに行っていたであろう。しかし、今のルルには生きなければならない理由がある。愛しい我が子のことを思うと、どうしても動くことが出来なかった。ポポ将軍は、ルルが何もできないことを知ってか相変わらずにやにやと笑みを浮かべて愉悦に浸っている。
「ふん!自分の子分を殺してまで生き残ろうとするなんて、そんなんじゃ誰も貴女にはついていきませんよ!」
その時、ディアナが殺され重苦しくなった場の空気を切り裂くように、力強いスターの声がポポを言及した。まさかそのようなことを言われるとは思っていなかったのか、ポポ将軍は額に青筋を浮かばせて、「何か言ったか、貴様・・。」とスターの方に視線を向けた。そんなポポ将軍に対して、スターは挑発するように中指を立ててみせた。
「何度でも言ってやりますよ!お前なんかに誰がこれ以上従うかバーカ!このおちびちゃーん!」
そして、スターはサングラスの奥からルルにウインクする。ルルははっとして、慌ててポケットに入れていたキャンディを舐めた。
先ほどの目くばせは、ルルが考えたポポたちから逃げ出すための作戦開始の合図だ。スターは、このタイミングで作戦を決行しようとしているのだ。ルルは、キャンディ・キャンディに素早く合図を送り、これから起こることに備え目を瞑った。
「・・!!ぶち殺す!!」
おちびちゃんと馬鹿にされ激高したポポ将軍は、怒りのままにポポ百体全てをスターへと走らせた。しかし、スターは迫り来るポポたちを見ても恐怖することもせずに、堂々と仁王立ちをしていた。スターがここまで堂々としていられるのは、ルルの考えた作戦に絶大な信頼を置いているからだ。
スターは、煌めく瞳でポポたちを見据えると、ポポの持つナイフがあと少しでスターに届くというところで、着ていたトレンチコートとマスクに手をかけ、高々と叫んだ。
「くらえ!必殺のぉー・・『完全脱衣』!からのぉー・・『超光形態』!!」
その瞬間、物凄い光の洪水がポポ軍団に襲い掛かり、それをもろに喰らったポポたちは目を抑え苦悶の叫び声を上げた。その光の眩しさは、あらかじめ目を瞑っていたルルたちでさえ眩しさを感じめまいがする程だからよほどのモノであろう。
「さあ、今のうちに逃げますよ!」
スターらしき声がそう言うと同時にルルの手を掴んで走り出す。ルル同様にキャンディ・キャンディから貰った“スピードアップキャンディ”(サイダー味)を舐めたであろうその足は速い。
次第に瞼の裏に感じる眩しさが消え、ルルが目を開くと、スターは走りながらルルと繋いでいない方の手で先ほど脱いだトレンチコートの前を閉めていた。
後ろを振り向くと、キャンディ・キャンディも眩しそうに眼を細めながらもルルたちに必死でついてきていた。さらにその後ろを見ると、ポポたちは未だ目を押さえて蹲っている。どうやら作戦は上手くいったようだ。
ポポたちは、百人という軍勢でありながら、その全員が互いに感覚を共有している個でもある。それは、集団戦において大きな強みであるが、同時にそれゆえの弱点がある。それは、全員が感覚を共有しているために、先ほどのように五感に強い衝撃を受けると、それもまた全員に伝わってしまうことだ。それに加え、先ほどはポポ全員があの凄まじい光を正面から受けたのだ。そのダメージはかなりのものであろう。
「どうですかルルさん!このスターちゃんの唯一無二な煌めきは!ふふーん、見直してくれましたよね?」
確かに、スターの能力は想像以上だった。しかし、ドヤ顔でこちらを見上げるスターにそれを素直に認めてしまうのは悔しくて、ルルはこう答えた。
「ええ、見直しました。スター、貴女は変態でも不審者でもない。立派な痴女です。」
「ええ!?そこは素直に褒めるところじゃないんですか!?あと、確かに私のこのコートの下は全裸ですが、決して痴女ではないです!その方が能力が強く発動するからですから!」
一方、残されたポポは、ようやくスターから受けたダメージから立ち直っていた。しかし、まだ目はくらくらするし足元は覚束ない。だが、激しい怒りがポポ将軍の頭を支配し、それらの障害をなかったことにした。すぐあの無礼者共を追おうと思ったが、よほど急いで逃げたのか、既にどこにも姿が見えなかった。
ポポ将軍は、八つ当たり気味に地面に転がるディアナの死体を蹴飛ばした。その拍子に、ディアナの目を覆っていた布が外れる。すると、ディアナの視線の先に居たポポ一体が石に変わった。それを見たポポ将軍がはっと目を見開き、視線の先に入らないようディアナの死体のそばに近づいた。
そして、その首をナイフで切断し、持ち上げてみる。またしてもポポ数体が石に変わった。石になる瞬間は感覚を共有しているポポ将軍にも背筋にぞくっと寒気が走るが、意識を失うような衝撃だったり、殺された場合はその感覚まで共有しないように強制的につながりがカットされるようになっているため自分も石になる心配はない。それよりも・・ポポ将軍は、ディアナの首を掲げ高笑いを上げた。
「はははは!この首さえあれば、吾輩の他の子分などいらぬ!待っていろシャーリー!貴様を石にしてやる!そしてその後は・・吾輩を侮辱したスター!!貴様の四肢を八つ裂きにしてはく製にしてくれるわ!」
《サラ&シャーリーside》
ルルたちが神の映像を見ていたのと同時刻、当然のことながらサラとシャーリーも空中に映る神の映像を見、あの首輪をつけられていた。
しかし、シャーリーは首輪をつけられても全く動揺を見せなかった。
「まあ、オレはそもそも既に何人か殺ってるしなー。今更って感じだ。」
対するサラの方は、人を殺さなければ自分が死ぬという事実より、神に首輪をつけられたことに恐怖していた。決して外れない首輪は、まるで神が自分にお前は一生私の奴隷だと言っているように思えたからだ。
しかし、恐怖で震えるサラの頭を、シャーリーがいつものようにわしゃわしゃっと掻き混ぜた。
「心配すんなサラ!確かにお前にとっちゃ人を殺すのはこえぇかもしれねえが、あの何か同じ顔がいっぱいいる奴の一人くらいならそこまで罪悪感もなく殺れるだろう。それに・・オレがついててやるんだ。必ず何とかなる!」
シャーリーが心配してくれたことは若干的外れではあったが、そう言ってにっと笑ってみせたシャーリーの顔を見ると、自然と恐怖は吹き飛んでいた。サラは、シャーリーの顔を見上げて頷き、シャーリーの足を引っ張ることがないようきりっと表情を引き締めた。
「お?噂をすれば早速あいつらだぜ!おいこら待て!どこに逃げやがる!」
その時タイミング良くポポ数体が現れ、シャーリーがその姿をとらえ鎌を向けるや否や、一目散に逃げだして行った。そんなポポたちの後ろ姿に罵声を浴びせながらその背中を追いかけるシャーリー。サラも慌ててシャーリーの後ろについて行く。
シャーリーがポポたちに追い付いてその首をはねたその時、後ろから追い付いたサラは、目の前の坂から無数のポポ軍団が一斉にシャーリー目掛け襲い掛かるのを見た。しかし、シャーリーは一切慌てる様子は見せず、むしろ嬉しそうに襲い来るポポたちの首を一瞬ではねてみせた。
だが、その中で辛うじてシャーリーの攻撃から逃れたらしい一体がシャーリーの背後を狙い襲い掛かる。気付いた時にはサラの身体は動き、その一体の首を蹴り飛ばしていた。
ごきっという鈍い音と共に、ポポが地面に倒れ、動けなくなる。だが、サラは初めて人を殺した恐怖よりも、シャーリーを助けることができた嬉しさの方が勝っていた。
シャーリーは、サラににっと笑いかけると、「上出来だぁ。サンキュな、サラ。」と呟き、再び坂の上から大量発生したポポ相手に、シャーリーとサラの二人は背中合わせで立ち向かい合った。
「そんじゃ、お前のその心意気を見込んで背中は任せらぁ。」
『まかせて』
サラは、後ろ手にシャーリーにそう返事を返すと、迫り来るポポに蹴りを放った。ほとんどのポポ軍団はシャーリーが処理してしまうため、サラが相手にするポポたちはほんの少数だ。それでも、シャーリーの役に立てることが嬉しくてサラはひたすらに手足を振るう。
しかし、いくら倒しても全く終わりが見えない。次第にサラの息は切れていき、シャーリーの額からも汗が流れ始めた。シャーリーは五人一斉に飛びかかってきたポポたちの首をまとめて切断してその身体を後方にいたポポ軍団に投げつけ、叫ぶようにしてサラにこう聞いてきた。
「なあ!確かこいつらを操っている親玉がいるんだろう?」
それに対し、サラはナイフを構えて突進してきたポポの頭上に飛び上がると、その脳天にかかと落としを決め、後方に宙返りしながら右手で『うん!』とシャーリーに答えた。
それを見たシャーリーは、鎌の一振りでポポ三体の身体を両断しつつ、ぶつぶつと何やら呟き出す。
「親玉がいるとすりゃあ、あの坂の上か。しっかし、この人間弾幕の中坂を昇るのは流石にきちぃか・・。よし、いっちょ賭けに出るか?」
そして、シャーリーはすっかり血に濡れた鎌を肩に担ぎなおし、サラにそっと目くばせした。その顔は珍しく眉尻が下がり、どこか不安そうだ。
「ちょっと試してえことがある。その間、お前の負担が少し増えちまうかもしれねえが何とか耐えてくれ。」
シャーリーは、サラが死なないかを心配で思いついた賭けを実行するのが不安なのだ。心を読んだサラはそのことをすぐに悟り、シャーリーの笑みを真似て、心配はいらない、思いっきりやってくれと笑顔で頷いてみせた。
ポポ将軍は、自らの勝利を確信し始めていた。シャーリーは、百人のポポ相手に坂の上にいるポポ将軍の元にすら近づけずにいる。一方、こちらは無限にポポ軍団を産みだせる上に、もし坂の上に来たとしても、ディアナの首があればシャーリーを石にすることが可能だ。今は万が一ポポ将軍がディアナの目を見て石になってしまわぬよう目に布をかけてあるが、坂の上に来た時点で外してしまえば全く問題はない。
だが、このままだとディアナの首を使う前に終わりそうだ。坂の下では何故かシャーリーが動きを止め、サラだけでポポ軍団を相手している。それまで疲れた様子を見せていなかったのに急に動かなくなったのは不気味ではあったが、あれだけの力を持っているのだ。時間制限などがあるのだろうと納得して余裕の笑みを浮かべていた。
しかし、その笑みが続くのは長くなかった。それまでに比べると格段に遅い、視認できる速度でポポ軍団の一人に振り下ろされたシャーリーの鎌。その鎌がポポの首をはねたその時、これまでは一瞬しか感じなかった痛みが、何十倍にも引き伸ばされた痛みになってポポ将軍に伝えられた。あまりの痛みに悶絶し、ディアナの首を落とすポポ将軍。その後も、シャーリーがポポ軍団の首を切り落とす度に凄まじい痛みがポポ将軍を襲い、その数が五十を過ぎた時、ポポ将軍の意識は完全に闇の中に呑まれていた。
シャーリーがポポを倒すため行った賭けは実に単純なモノだ。シャーリーのギフト、『時間を引き延ばす』能力。シャーリーは、ポポの首をはね、ポポが死ぬ、その一瞬の時間を引き延ばし、死の苦痛を何倍にも増幅させたのだ。
これは、サラにポポ軍団全員がリーダーと意識を共有していることを読み取ったことを教えてもらったことで思いついた賭けだった。肉体的に殺すのが難しいなら、精神的に殺してしまおうと考えたのだ。
五十体ほどのポポ軍団をその方法で殺したあたりから、ポポ軍団の増援が来なくなったことから、シャーリーは賭けに勝ったことを悟りにいっと笑みを浮かべた。
「どうやらうまくいったようだなぁ。そんじゃまあ、とりあえず残りの奴らを片付けるとするか。」
シャーリーはサラに目くばせし、ポポ軍団の首をはねながら坂の上へと登っていく。ポポ軍団は、リーダーからの指示がなくなったせいか、全く抵抗する素振りも見せずにシャーリーたちにやられていく。シャーリーとしては無抵抗のやつらを殺すのは面白くなくて好きではなかったが、また無限に再生されてはたまらないので、確実に一体一体殺していく。
そして、ようやく坂の上に到着したシャーリーは、ポポ軍団全ての死の痛みを引き受けたショックで髪が真っ白になり、茫然自失といった様子で地面の上に倒れるポポ将軍の姿を見つけた。
「あばよ。お前との戦い、結構楽しかったぜ?」
そう言って、シャーリーは鎌でポポ将軍の首をはねる。サラに「これでこいつらは全部殺せたか?」と尋ねると、サラからは『うん。』と返事が返ってくる。しかし、その時シャーリーはこれまで見てきたポポたちとは明らかに異なる首が地面に転がっていることに気付き、「ん?」と首をかしげその首を持ち上げた。
その拍子に、その首・・ディアナの首、その目にかかっていた布がひらりと地面に落ちる。
「あ、もしかしてこれマズったか?」
そう呟くシャーリーの身体が、足から徐々に石に変わっていく。シャーリーは、完全に石になってしまうその寸前に、こちらに向かって必死に手を伸ばすサラの姿を見た。
《ルル&スター&キャンディside》
ポポ将軍の元から逃げ出すことには成功したルルたち。最初は作戦成功を喜んでいたが、日暮れが近づくにつれ、三人の間の空気は重苦しいものに変わっていた。
誰かを殺さなければ首輪が爆発して自分が死んでしまう、その事実が三人の精神を追い詰めている。特に、ルルは医者としての信条と子供に対する愛情に板挟みにされ悩んでいた。
(私は、あの子のためにも生き延びなければならない・・!しかし、そのためには誰かを殺さないといけないなんて、そんなこと・・!)
ルルは、スターとキャンディ・キャンディの方を向き、一瞬浮かんだ最悪な考えを振り払うかのように激しく頭を左右に振った。
(私は今何を考えた!?私を何度も助けてくれた彼女たちを・・!!)
「・・ルルさん、大丈夫ですか?」
そんなルルの心の声が聞えたかのように、スターが近づいて話しかけてきた。そんなスターに対し、ルルは弱弱しくその顔を向ける。
「スター・・。はい、大丈夫・・いえ、大丈夫ではありませんね。正直、もうどうしたらいいか・・。」
そんなルルに対し、スターはマスクの下でぐっと唇を噛みしめた後、真っ直ぐにルルを見つめた。
「ルルさん、私、バカなので皆が助かる方法を考えてみたけれど全然思いつかないんです。・・でも、そんな私でも一つ分かることがあります。それは・・!」
そう言うと、スターは突然ルルに襲い掛かった。その手には、逃げ出す時にポポから奪ったのかいつの間にかナイフが握られていた。ルルは、慌ててそれをかわし、信じられない思いでスターに叫んだ。
「スター、何故ですか!?何故いきなりこんなことを・・!!」
しかし、スターは止まらない。後ろからスターを止めようと近づいたキャンディ・キャンディを蹴り飛ばし、再びルルに襲い掛かる。ルルは、迫り来るナイフの切っ先を見て、心の底からこう叫んだ。
「嫌だ、死にたくない!私は・・生きなければいけないんだぁぁぁ!!」
ルルは、とっさにナイフをスターの手から奪い、「うわああああ!!」と叫び声を上げてそのナイフをスターの腹に突き刺した。
自分の手に滴る血を見て、「ああ・・!」と声を上げるルル。早くスターの治療をしなくてはと手を伸ばそうとしたルルが見たのは、どこか満足そうなスターの姿だった。スターのサングラスの奥の瞳を見たルルの口が、まさか・・!と開かれる。
「・・それは、ルルさん、貴女は生きるべきだということです。それじゃあ、さようなら二人とも!短い間だったけれど、楽しかったよ!・・『超光形態』!!」
スターがそう叫んだ瞬間、眩い光がルルを襲い、ルルはスターの姿を見失う。「待って!!」と叫び伸ばした手がスターに触れることはない。
早く治してあげなければ!!ポポに耳を切られたあの時みたいに、ディアナの目を見て石になったあの時みたいに!!スターはバカで怪我をしやすいんだから、私が治してあげないと!!
だが、そんなルルの心の叫びも空しく、その手はスターに届かない。やがて徐々に光が消えていき、ルルが目にしたのは、満足そうな笑みを浮かべて地面に倒れるスターの姿だった。初めて見るその顔は、これまで見てきたどんな顔よりも美しいものだった。
ルルは、急いでスターの元に駆け寄り、その身体に何度も何度も手をかざす。しかし、スターが再びその瞳を開くことはなかった。
「なんで・・なんで・・なんで!!どうして!?スター、何故貴女はこんなことを・・!!」
スターの亡骸を抱き寄せ、むせび泣くルル。その背中を、後ろからキャンディ・キャンディが優しく撫でてあげた。
もうすぐ五日目が終わろうとしている。スターの死体は、キャンディ・キャンディと協力して埋葬したが、ルルの心が晴れることはない。何をしようとしてもスターを刺した時の感触が蘇り、頭を抱えて蹲ってしまう。
そんなルルは、視界の端でキャンディ・キャンディが大量のキャンディを掌から出し、拾った木の枝で作った箱に収めているのを見た。なんだか嫌な予感がして、ルルは彼女に声をかける。
「・・キャンディ?貴女、さっきから何をしているのですか?」
そのルルの問いかけに対し、キャンディ・キャンディはルルの方を見ることなくこう答えた。
「身辺整理です~。・・このままだと、恐らく私ももうすぐ死んでしまうのでー。」
何気ない口調で返されたその言葉に、ルルが顔色をなくして立ち上がる。「いや・・いや・・!!」そう声を上げながらキャンディ・キャンディに近づくルルに、キャンディ・キャンディは目を伏せながらこう告げた。
「・・ごめんなさい。貴女を残してしまうことになって。でも、私も誰かの死を背負って生きていけるほど強くないんです。残酷なのは分かっています。赦してくれとはいいません。」
そして、ルルがあと数歩でキャンディ・キャンディに触れるというところで、彼女は初めて顔を上げ、その瞳に涙を溜めながらこう言った。
「私はここで死んじゃいますが~、キャンディはしっかり置いていきますからー。・・辛くなったら、これを舐めて元気になってください。」
キャンディ・キャンディがそう言い終わると同時に、太陽が完全に沈む。ルルの悲痛な叫び声は、首輪の爆発音に紛れて消えた。
ホントなら脱落者のデータを書くはずなんですけれど・・ちょっと疲れたので、六日目にまとめてあげます。ご了承ください。




