五日目 part1
ソニア「今回はpart1とpart2に分かれるそうだぞ!」
シャルン「ちなみに、part1ではシャーリーたちの出番はないで。あの二人のファンは堪忍な。」
オクター「そして、五日目にして衝撃展開だよー。刮目せよ!」
《ポポ軍団side》(ルル&スター&キャンディ&ディアナ&ポポ)
「嗚呼、私はなんということをしてしまったのでしょう!こうなったら、死んでお詫びを・・。」
五日目の朝、目を覚ましたばかりのルルはディアナのその嘆き声を聞き一瞬で眠気が吹き飛んだ。
ルルたちは昨夜、自分達でポポ将軍に命じて掘らされた穴の中で就寝していた。地面は固く、ルルを含めたポポ将軍以外の四人が寝るスペースを確保するには非常に骨が折れる作業だった。
しかし、キャンディ・キャンディが全員に配った"パワーアップキャンディ"を舐めたことにより作業効率は上がり、途中で怪我をすることがあってもルルがすぐ治療をしたため何とか日が暮れる前に穴を堀り終わり、疲れはてた四人はそのまま倒れるように眠りについたのだった。
さて、話を現在に戻そう。何故だか知らないが、ディアナが悪い癖を再発し叫んでいるようだ。とりあえずその原因を探る前に、ディアナの顔面に拳を叩き込み強制的に再び眠りにつけておく。もちろん、致命傷にはならない程度に治療済みだ。
何故ディアナが嘆いていたのか、その理由は、すぐに分かった。それを見たルルは思わず息を呑む。
「うー・・なんかうるさくて起きちゃいました~。って、ええ!?スターちゃんなんで石になってるんですか!?」
先程のディアナの声を聞いて起きたらしいキャンディ・キャンディが、ルルの視線の先にあるそれを見て、いつものおっとり口調を忘れ目を見開く。
キャンディ・キャンディの言う通り、そこには石になったスターの姿があった。だが、なんとも言えないことに、涎を垂らして股を大きく広げるという乙女としてそれはどうなのだという姿勢のままで石になってしまっている。そして、その足先には、どこか見覚えのある布の切れ端がかかっていた。
石になったスターの足先にかかっている布の切れ端。そして、先程のディアナの嘆きから、寝ている間に二人の間に何があったのかをだいたい察することができる。
「・・恐らく、スターが寝ている間に寝相が悪すぎてディアナの目を隠していた布を剥ぎ取ってしまい、それに驚いたディアナが思わずスターを見てしまったとか、そんな流れではないでしょうか。」
「マジですか~。」
ルルが下したその結論に、キャンディ・キャンディが苦笑いを浮かべる。あまりにも原因が馬鹿らしくて、このような状況なのに悲しむより先に戸惑いの方が勝ってしまうのだろう。
ルルにもその気持ちは分かる。アホな奴だとは思っていたが、まさかこのような形であっけなく死んでしまうとは思わなかった。次起きたらこのことをネタにして散々からかってやろう。そう思い、ルルはスターに右手をかざした。
「私の目の前で死ぬなんて許しませんからね!医者として、スター、貴女を必ず助けてみせます!」
「で、本音は~?」
「寝相の悪さが原因で石になる患者とか前代未聞じゃわボケぇ!アホ過ぎるにも程があるだろ!」
ルルとしても、石になったスターを元に戻せるかは賭けだった。ルルの能力は、どんな怪我や病気でも治せるが、死んだ人を蘇らせることはできない。スターが石になった時点で死んでしまっていたらもうそこでお仕舞いだった。
しかし、ルルは何としてもスターを助けると決意する。たとえどんなアホな理由でも、そんな理由で死なれたらたまったもんじゃない。スターはアホだが、既に何日も共に過ごしてきたのだ。認めたくないが、かなり愛着が湧いてきているし、なによりルルの医者としてのモットーが彼女をこのまま見捨てることを許さない。
結局、ディアナの能力による石化は病気の一種と判断されたようで、何とかスターを元に戻すことができた。
石化が解けたスターは、しばらくぼけーっと口を開けて何が起こったか理解していないようであったが、キャンディ・キャンディからスターが石化していてそれをルルが治療したことを知らされると、感激した様子でルルに抱き着いた。
「うおーっ!!ありがとうございますルルさん!貴女はこのスターちゃんの命の恩人ですよ!」
「あ、うっとおしいから離れてください。あと、早く顔マスクで隠して下さい。眩しくて目が開けられないので。」
「術後の患者へのケアも大事ですよ!?雑すぎません!?」
一先ずこれにて『スター石化事件』は解決したが、あまりにも騒ぎすぎたため、不機嫌そうなポポ将軍が現れ、ルルたちはポポ将軍から仕置きを食らうことになってしまった。
だが、この仕置き、ルルはあまり痛め付け過ぎて能力が使えなくなったら困ると軽いものだった上に、キャンディ・キャンディは仕置きを受ける前に"がまんキャンディ"(コーヒー味)を舐めて耐久力を上げていたため大した怪我はせずに済み、ルルの治療という名の調教でドMと化したディアナには御褒美だったため、実質スターだけが被害を受けることになった。
まあ、この騒動の原因はスターだから自業自得だ。ルルは、泣きながら助けを求めてきたスターにそっと右手をかざしてあげた。
その後、ルルたちはポポ将軍の誘導に従い、森の中を移動し始めた。どうやらポポ将軍は、昨夜シャーリーたちを殺すために有効な作戦をとれる地形をポポ軍団に探させていたらしく、その地形を見つけたことを道中自慢気にルルたちに語っていた。
「我輩の武器は、百もの軍勢をまるで一人のように動かせる統率力の高さと、一体でも生き残れば何度でも再生する不死身さにある。その武器を活かすため、奴との戦闘では、我輩は常に奴の上に立つ。我輩自身は坂の上に陣取り、奴のスピードでも一瞬では手の届かぬ位置で待機することにより、我輩は奴に皆殺しにされることなく不死身の軍隊をぶつけることができるというわけだ。お前がいるなら怪我は心配ないし、これで我が軍の勝利は確定であるな!」
自信満々に自分の作戦を語る様はやられるフラグにしか見えないのだが、それをつっこんだら恐らく激怒したポポ将軍に殺されることになるので、賢いルルはそんなことを口にしたりしない。
「ポポちゃん、なんかやられるフラグたって・・ムグムグ!?」
だが、このアホは言うであろうことは容易に想像できたので、ルルはスターがそれを口にする前に彼女の口を抑えておいた。
しばらく歩いたところで、ポポ将軍が見つけたという場所にたどり着いたルルたち。
打倒シャーリーを掲げ、シャーリーたちを誘導する役にポポ数体、残りほとんどが坂の下で待ち伏せる。そして、ポポ将軍と彼女の護衛のポポ数体、そしてルルたちが坂の上で待機だ。
ちなみに、この坂は両脇に岩石で出来た壁があるタイプで、ポポ将軍の元に行くにはこの坂を登るしかないことは告げておく。
作戦のポジション確認をしている間、ポポ将軍は指示に忙しくこちらへの注意は薄くなっている。その隙に、ルルはスターとキャンディ・キャンディを集め作戦会議をすることにした。
「このままでは、あのポポの私怨たっぷりの復讐に付き合わされてしまいます。今は坂の上で待機させられていますが、いざ戦いとなればいつ身代わりにされてもおかしくありません。その前に、彼女から逃げてしまいましょう。」
「しかし、どうやって逃げるんですか~?百人いるポポさんから逃げるのはかなり難しいかとー。」
「それについては、私に考えがあります。」
そう言って、ルルがここに来る道中で思い付いた作戦を述べると、キャンディ・キャンディは感心したように「おー。」と声に出し、スターはルルを褒め称えた。
「流石ルルさん!私たちに考え付かないことを思い付いてくれる!そこに痺れる憧れるぅ!!」
「スターに誉められても嬉しくないですね。」
「ぐはっ!?流石ドS・・的確にスターちゃんの心を抉ってきますね。ところで、ディアナさんはどうするんですか?」
「無理矢理担いで連れていきます。・・スターが。」
「よーし!私責任じゅうだーい!張り切っちゃうぞ~!」
作戦会議が終わったからには、早速決行しよう。そう思い動き出そうとしたところで、急に空にスクリーンが現れ、四日前にも目にした仮面をつけた自称神が姿を表した。
『ヤッホー☆皆、楽しく殺りあってるかーい?さて、これまでの皆の成果を見てみよー・・って、まだ三人しか死んでないのぉー!?ちょっとあり得ないよ君たち!だってもう五日目だよ?いつまでのんびりしてるわけ?そこで、お前らナマケモノのフレンズにも殺る気を出して貰うために、この神ちゃんから素敵なプレゼントをあげるね。』
神はそう言って、パチンと指を鳴らす。すると、その音と同時に、ルルの首に鈍色に怪しく光る首輪が取り付けられた。咄嗟に外そうとして首輪に指を突っ込むが、切れ目なども見当たらないし、よっぽど頑丈な造りで出来ているのかビクともしない。そして、周りを見るとルル以外の全員の首にも首輪が取り付けられていた。神からの突然のプレゼントに戸惑い、混乱を隠せない一同。唯一分かることは、これが恐らくろくでもないものであろうことだ。
しかし、神の口から語られたそのプレゼントの内容は、ろくでもないどころの代物ではなかった。
『どう?私からのプレゼント気に入ってくれたかな?その首輪はね、太陽が完全に沈むとドカーン!って爆発するようになってるんだよ!爆発の威力は、まあ、お前らくらいなら簡単に死んじゃうくらいかな☆』
あまりの内容に絶句するルルたちに、神はさらに絶望的な事実を叩きつける。
『でも安心して!この爆発を解除する方法が一つだけあるの!それはね・・人を殺すこと!どう?簡単でしょ?ちなみに、今日解除してもまた明日にはリセットされるから。まあ、そうなったらまた殺せばいいのさ!そしたら・・そうだね、七日目には、目標人数くらいになってるはずだよ。それじゃあ、皆、また最終日に会おうね!チャオ☆』
神の仮面の顔のドアップと共に、映像は途切れる。ルルは、今しがた神に告げられたばかりのその内容が理解したくなく、自然と身体が震えだしていた。
「殺さないと、自分が死ぬ・・?そんなの、一体どうすれば・・。」
震える手は、自然とポケットにある写真へと伸びていた。何度も繰り返し見たその写真を改めて広げ、そこに写る二人の姿を見る。
一人は、ベッドに腰かける自分。そしてもう一人は、そんな自分が抱き抱えている赤ちゃんだ。
「ララ・・貴女のためにも、私は死ぬわけには・・!」
そんなルルの様子を、スターは隣からじっと見つめていた。サングラスの下の目が、ルルの持つ写真を見てはっと見開かれる。スターは、おずおずと遠慮がちにルルに手を伸ばそうとして、しかしその途中で第三者の声により遮られてしまった。
「なんだ、簡単なことではないか。心配して損した。」
ポポ将軍は、そう言うなり、一番近くに立っていたディアナの首根っこを掴み、暴れるディアナを押さえ付けその頸動脈を掻き切ったのだった。
part2へ続く!
(次回更新は今日の12時頃もしくは明日の朝3時頃になるかと思われます。友人と夜飯食べに行って帰りが夜12時頃になると思われるので・・。しかし、いいところで切ってるのでなるべく更新できるよう頑張ります!)




