一日目
レッドリーフ「わーい!プク様さいこー!すごーい!」
シャルン「おい村長!あいついったいどうなっとるんや?」
ソニア「むむっ!どうやら奴はまほいくqueenを読んでプク様に洗脳されてしまったようだな!」
シャルン「しかし、あの感じどこかで見たことあるような・・。」
謎のカワウソ「わーい!たーのしー!」
シャルン&ソニア(あ、これフレンズの反応と一緒だ。)
「ちょっと!そこのお医者さん!起きてくださいよー!」
どこからか可愛らしい声が自分を呼んでいる。ルルは、ゆっくりと目を開いた。すると、そこには先程聞こえた声からは予想していなかった、トレンチコートで全身をすっぽり覆い、顔はサングラスとマスクで隠したどこからどう見ても不審者がいた。
「だ、誰ですかあなたは!?警察呼びますよ!?」
ルルは、とっさにズボンのポケットに手を伸ばす。ここには確か、緊急時の連絡器を入れていたはずだ。しかし、そこにあるはずの連絡器はない。動揺を隠せないルルであったが、彼女以上に、何故か目の前の不審者が慌てていた。
「え、ちょっ!?やめてくださいよ!こう見えて私は不審者じゃありませんから!スーパー可愛いスターちゃんですから!警察を呼ぶのだけはやめてください!刑務所のご飯はもう食べ飽きたんですー!」
そこから少し落ち着いて話を聞けば、彼女はどうやら不審者ではないらしかった。
「えーっと、つまり、貴女の『ギフト』のせいでそんな格好をしてるというわけですか。」
「はい!私のギフトは、『全身が光る』というものなので・・。しかもこれ、常時発動タイプなんで普段はこんな格好で光を抑え込んでるんです。まあ、私の輝きは超魅力的ですから、これくらいのハンデは仕方ないですね!そうじゃないと全世界の皆が私の虜になってしまいます!」
そう言って無い胸を張るスターであったが、生憎格好のせいでどうも滑稽に見えてしまう。ルルは、ついつい出かかった笑いを抑えつつ、スターに質問した。
「それにしても・・ここは一体どこなのですか?私は先程まで職場に居たはずなのですが・・。」
「さあ、私も分からないです。私はさっきまで不審者と間違えられて刑務所にいたはずなんですが・・ここはどっかの島みたいに見えますね?最近の刑務所ってこんな自然豊かなんですか?」
刑務所に入ったことのないルルは、スターの問いかけに苦笑いして返答を控える。
だが、第三者の声が、そのスターの問いかけに答えを返した。
『おっハロー♪お前ら、目は覚めたかーい?ようこそ、この私が作った、特設ステージへ!』
ルルの頭に直接響くように聞こえてきたその声と共に、空中にスクリーンが投影され、そこに仮面をつけた謎の人物の姿が浮かび上がった。突然の事態に、スターは「ふぎゃあ!?」と悲鳴をあげ、ルルは強張った顔でスクリーンを見上げる。
『うーん、なんか皆バラハラの場所に転移させちゃったなー。次やるとしたら最初は違う場所にまとめて転移させた方がいいかもね。うん、そうしよう!』
スクリーンに映る仮面の人物は、何やら一人で呟いて勝手に一人で納得している。こちらの視線など気にする様子もない。
『えー、ごほん。それでは、私により選ばれた十人のゲーム参加者諸君?今からお前らには、七日間の殺しあいゲームをしてもらうからな?』
そして、唐突に告げられるとんでもない言葉。スターは「はえっ?」と呆けたような声を出し、ルルはより一層表情をしかめる。
『あ、でも参加者分かんないと誰を殺すか判断できないよねー。ってなわけでー・・ほいっと!』
仮面の人物が手を振ると、スクリーンが分割され、いくつかの映像が浮かびあがる。そしてその中には、ルルとスターの姿があった。スターが目立つ上に、ルルも白衣なので分かりやすい。スターは、「やっぱり私が一番魅力的ですね!」などとほざいているが、ルルは無視して他の参加者の姿を確認した。
右上に映るのは、シスター風の女性と青いバブルドレスを纏った美少女だ。シスター風の女性は、何故か目に包帯を巻いている。
左上に映っているのは、小さい癖にやたら偉そうに仁王立ちしている軍服の女の子と、身体のラインがくっきりと出るマーメイドドレスを着た妙齢の女性。それと、確か東の方の国の人たちが着るという白い袴と思わしき衣装に身を包んだポニーテールの少女だ。その腰には、立派な刀も見える。
右下に映っているのが、ルルたち二人。そして、左下に映っていたのは、なぜか赤いスクール水着を着ている女の子に、全身包帯ぐるぐる巻きの性別不明の人物が一人。胸の膨らみが見えるから女であろうか?彼女は、大きい鎌を肩に背負っていた。
そして、最後に、全身真っ白な女の子も水着の少女と包帯人間と一緒に映っている。
ルルが全員の姿を確認した時、タイミング良くまた仮面の人物が話しかけてきた。
『さて、そろそろ全員の姿を確認し終えた頃かなー?あ、言っとくけどこいつらはお前たちの仲間でもなんでもないからね?今隣にいるやつも、容赦なく殺してOK!さあ、殺っちゃっていいよー!』
そんなことを言って、誰が見ず知らずの他人を殺すというのだ?画面に映る参加者たちも、誰も動こうとしない。スターは後ろで「ひぃっ!?お、お医者さん、私のこと可愛いからって殺さないでくださいよ!?」とか勝手にビビってたが、なぜ医者が人を殺すと思うのか、ちょっと問い詰めたい。
『うーん、やっぱり誰も動かないかー。てか、お前は動けよ!"首狩り"シャーリー!お前は殺人鬼だろ?私が殺人の大義名分与えてやってんだから喜んで真っ先に殺せよ!』
シャーリーという名前に、あの全身包帯の女性が何やら反応して叫んでいる。映像だけなので声は聞こえないが、どうやらあの女性がシャーリーらしい。その後、仮面の人物も何やら口を動かしていたが、こちらには聞こえてこない。シャーリーと呼ばれた彼女だけに直接話しているのか?仮面の人物はしばらくシャーリーと押し問答してる様子だったが、唐突に再びルルたちにも話しかけてきた。
『えー、どうやらこのバカも動かないようなので、お前らが殺す動機を作ってやるよ。この中には薄々気づいている奴もいるかもしれないけれど、私は神なんだ!』
そんなことを急に言われても、信じる気にはなれない。スターは後ろで「ぎょ、ぎょええええ!?かかか、神様ー!?」とか叫んでるがこいつは例外だ。
『うん、約一名を除いて、皆信じてないみたいだね。まあ、信じる信じないは勝手だよ?ただ、これだけは言っとくね。・・・七日間の殺しあいゲーム終了時、生き残れるのは二人だけだから。もしゲーム終了時に二人以上いたら、ロキに頼んで皆殺しにしてもらうよ。』
ルルの額から冷や汗が流れる。こんなの、ただの神を騙る人物の狂言だ。そう思おうとするのに、何故かあの仮面の奥の瞳を見ると、その言葉が真実だと思わざるを得なかった。そのくらいの迫力を、ルルは仮面の人物から感じたのだ。
『まだ私の言葉を信じていない人のために、少しショーを見せてあげよう。・・右下の映像を見てごらん?』
自称神のその言葉と共に、右下の映像が拡大される。
『そこに、全身白い女の子がいるでしょ?これ、私が作った人形なんだ。ただ、ちょっと失敗作でね・・。君たちに処分してもらおうと思ってるんだけど、その前に一度だけ、これにスターターの役割をプレゼントしてやろう。』
神はそう言って、画面の中で手をくいっと動かす。すると、その動きにつられるように 白い少女が動き、地面に落ちていた岩を拾い上げた。そしてそのまま駆け出すと、スクール水着の少女の頭部めがけその岩を振り下ろした。
突然のことに反応出来なかった水着の少女は、ぐしゃりという嫌な効果音と共に地面に倒れた。それと同時に神の声が聞こえてくる。
『さあ、今のを見てくれたかな?こんな感じで、私もこれを通して人を殺すこともできるってわけ。まあ、これ以上の干渉はゲームをつまらなくするからもうしないけれどねー。あ、シャーリーそれ殺しといていいよ?じゃあ、皆、ゲームを楽しんでねー!』
そう言って、映像は突如切れた。ルルは、先程見た映像に全身が震えるのを感じた。恐怖からではない。怒りによる震えだ。
ルルは、見た目からもわかるように医者である。医者である彼女にとって、いたずらに他人の命を奪うあの行為は許せるものではなかった。
「あ、あの、お医者さん・・私たち、これからどうなるんですか?」
サングラスの下から不安そうな顔でおずおずと問いかけてくるスター。彼女に対し、ルルは力強くこう答えた。
「あんな奴の思い通りになんてさせません!私は、ドクター・ルル。医者として、貴女の命も、そして他の人の命も絶対に救ってみせます!」
そのためにも、まずはあの水着の少女の元へ行かなければ。流石に死んでいたら治療は無理だが、もし虫の息でも生きていれば、ルルのギフト、『神の手でどんな怪我や病気も治す』能力なら助けることができる。走り出したルルの後ろを、スターが慌てて追いかけてきた。
少女は、神によって作り出された人形だ。人形である以上、神の言うことに逆らうことはできない。
さっきもそうだ。少女は、神の命令に従い、水着の少女に岩をぶつけた。
しかし、本当は、少女はそんなことをしたくなかった。誰かを殺すことなど怖くてしょうがなかった。
少女には感情があった。それ故に、神からは人形として欠陥品と呼ばれ、このゲームに廃棄目的で参加させられた。先程の命令を最後に、神との繋がりは完全に切れた。少女は、そのことにほっとすると同時に、やはり神が自分を捨てる気など悟り絶望した。
「ごほっ!がはっ!」
その時、足元で少女が先程殺したはずの女の子の声が聞こえた。どうやら殺し損ねてしまったらしい。そのことに気付き殺さなくて良かったとほっとすると同時に、女の子に足を掴まれていた。
少女は、慌てて逃げようとするが、足が動かない。どうやら、女の子の腕にある吸盤が少女の足にくっつき、動きを止めているらしい。女の子は、血塗れになりながらも、こちらを怒りのこもった目で睨み付けて少女の足を離さない。
「おうおう、駄目じゃねえか、お前よ。」
その時、ふいに後ろから声が聞こえてきた。この声は知ってる。先程、恐ろしくも神に対し物凄い勢いで罵倒の言葉を並べていた女性だ。少女は、神がこの女性に自分を殺すよう告げていたことを思いだし青ざめる。
しかし、その女性は少女が思ってもいない行動に出た。
「殺すんなら、一発で仕留めねえと可愛そうだろ。」
シャーリーと呼ばれていた女性はそう言うと、手に持った鎌で水着の女の子の首をはねたのだった。至近距離から血を浴びて、少女の白い身体が赤く染まる。
シャーリーは、血で汚れることを気にする様子もなく、女の子の手から少女を無理やりひき離す。吸盤の力がよほど強かったのか、少女の皮膚が少し持っていかれた。
「うわ!べりってなったぞこれ。おい、お前大丈夫か?」
シャーリーにそう声をかけられた少女は、何故自分を助けてくれたのかという疑問を込めてシャーリーを見上げた。
シャーリーはしばらく不可解そうな顔で少女を見ていたが、ふと思い付いたようにこう尋ねた。
「おい、まさかとは思うが・・お前、喋れねえのか?」
シャーリーの問いかけに、少女は頷く。神は、少女に言語機能を与えなかった。
しかし、こういうときのコミュニケーション方法は持っている。少女は、地面に文字を書き、『貴女はなぜ私を助けたの?』と尋ねた。
「あー、すまねえ。オレ、文字読めねえんだわ。これ、何て書いてあるんだ。」
それは予想外だった。少女には他に打つ手段はない。困り果てた少女に、シャーリーが尋ねる。
「あー、お前、こっちの声は聞こえてるんだよな?」
その問いにはイエスだ。少女は頷く。シャーリーは再び少女に問いかける。
「お前は、オレを殺すか?」
その問いには、少女は少し迷って首を横に振った。少女としては、もう誰も殺したくない。シャーリーは少女の顔をじっと見ると、さらに問いかける。
「お前が言いたいことは何となくだが分かる。なぜ自分を助けたのか聞きたい。そんな顔をしてるぜ。合ってるなら首を縦に振れ。」
そう言われ、少女は自分の心を読まれたことを驚きつつ、首を縦に振る。そして、不意に少女は忘れていた自分の能力のことを思いだした。神と一緒にいる間は使う機会がなかったので忘れていたが、少女も一応神にギフトを与えられていたのだ。
「オレはなあ・・人を人とも思わねえ偉ぶった貴族、自分の子供を痛め付けるような屑な親、そういった自分勝手な馬鹿野郎どもが大っ嫌いなんだよ。そういう奴を見てるとなぁ、この鎌で首をはねたくなっちまう。それで出来た渾名が"首狩り"だぁ。」
少女の能力は、『他人の心を読む』能力だ。この能力は、目で見た相手の心を読むことができる。シャーリーの心を読んだ少女は、その言葉が嘘ではないことを知った。
しかし、直後少女は首の後ろに鎌の刃を突き立てられ、シャーリーに顔面を近づけられる。突然のことに混乱する少女に、シャーリーはにいっと不気味な笑みを見せた。
「そしてよぉ、あの神とか言う奴も、オレのキライな人種だ。お前のことを、道具かなにかと思ってやがる。お前、悔しくねえのか?ただの人形で終わっちまっていいのか?」
シャーリーのその言葉に、少女は震えながらも首を横に振った。悔しくないわけがない。なぜ、勝手に産み出されて勝手な都合で捨てられなければならないのか。少女は名前もなければ言葉も持たない。それでも、このまま終わりたくはなかった。
そんな少女に、シャーリーは「上出来だぁ。」と口角を上げ、そして少女に手を差し出した。
「そらなら、このオレの手を取れ。生憎、オレはまだここで死ぬ訳にはいかねえんでな。一緒に他の奴等ぶっ殺して、あの神の首をはねにいこうぜ。」
神を殺せる訳がない・・少女はそう思ったが、なぜか手は自然とシャーリーへと伸びていた。
「お前、名前なんていうんだ?うーん、喋れねえなら、髪の毛サラサラだし適当にサラって呼ぶぞ?いいか?」
少女はシャーリーの言葉に頷き、サラとなった。そして、歩き出したシャーリーの後ろを、テクテクと追いかけていった。
オクター
身体能力 3
知性 3
社会性 4
運 1
能力の強さ 1
ギフトの能力・・『手と足に吸盤がある。』
本編でギフトをほとんど使えず、台詞もほぼゼロの作者も不憫だと思うキャラ。彼女には、あらすじ村で喋ってもらいます。




