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神様の遊戯盤の上で  作者: 赤葉忍
Final stage 『To be continued?』
103/110

復活コンサートのチケットは予約制です

今回は序盤に軽くシャーロットsideを挟んだ後、クロ達の視点に移行するよー。胸を刺されたエンキがどうなったか気になる気持ちは分かるけれど、しばし待たれい!!

《シャーロット&スターside》  


 見るからに怪しい扉を破壊し、中へと侵入したシャーロットとスターの二人。その瞬間目の前に広がる異様な光景に、二人揃って思わず「「うわぁ⋯⋯」」と声を漏らす。


「これは⋯⋯エンキの像が一体、二体⋯⋯全部で何体あるのだ? 到底数え切れない数あるぞ。ここまで自己顕示欲が強いとは流石神(笑)だな」


「スターちゃんも正直これにはどん引きなのね⋯⋯」


 そう、二人が目にしたのは、ざっと見ただけで百体は軽く超えるエンキの像の群れであった。しかも、それぞれが異なるポーズを決めているのが実に見る者を苛立たせる。もしこの空間にフローラが入っていたら怒りのゲージがぶっ壊れて発狂していたのではないかとシャーロットは思った。


「こんないっぱいある中からどうやって本物探すのさシャーロットちゃん!! あ、全部ぶっ壊しちゃう?」


「これだけの数の像を全て壊していてはキリが無い。既にこのシャーロット・ノックスのギフトで本物の像がある場所はある程度特定出来ている。その辺りの像を壊すだけでいいだろう。ただ⋯⋯」


 そう言って若干遠い目になったシャーロットに、スターはこてんと首をかしげて可愛らしく「ただ?」とシャーロットの言葉をオウム返しする。


「問題は、その本物の像があると思わしき場所が、この像の群れを掻き分けた最奥地点にありそうだということだね」


「よーし、やっぱり全部ぶっ壊そう☆」




《クロ&クリスタ&メアリ&ロロside》


 いつの間にか、フローラ達とエンキの姿が見えなくなっている。ムイムイから逃げていたクロはそのことに気が付き足を止めようとしたが、クリスタからの警告を受けすかさず車椅子を押す進路を右に変更。その直後、先程までクロが居た地点にムイムイの拳がめり込むのが見えた。


「お嬢様!! ムイムイの筋力いつもより強化されていませんか!? いったいどうなっているんです!?」


「ムイムイの本を読んでみたところ、クロに対する愛情と殺意がごちゃ混ぜになって所謂『ヤンデレ』モードになっているようですね。あの状態のムイムイは、どうやら普通に殺意を与えられた場合よりも危険度が増しているようです!」


「その情報は聞きたくありませんでした!!」


 全くもって役に立たないどころか、絶望感を増すだけの情報に悲鳴を上げるクロ。その時、再び背後に凄まじい殺気を感じる。今度はどうやら、ハサミを広げこちらの首を狙ってきているようだ。攻撃範囲が広い分、クリスタの車椅子を押したままでは到底避けることが出来そうにない。

 ここは一旦振り向き、ムイムイの攻撃を受け止めるべきだろうか。迷うクロに、天から救いの声が届く。


「クロ様、上です!!」


 文字通り天から聞こえてきたその声に、クロは反射的にクリスタが座る車椅子を空中に放り投げ、自身は影の中へと姿を消した。影の中で、クロはムイムイがハサミを振るう風切り音を聞く。またしても間一髪回避に成功したらしいことにほっと胸をなで下ろした後、クロは少し離れたところにある、ロロとクリスタのものらしき影の中からにゅいっと身体を出した。

 地上に出たクロが頭上に視線を向けると、車椅子に座るクリスタを見事空中でキャッチしたロロが見えた。ロロのメイド服のスカートのフリルは今は飛行モードに変形したことによりブースターへとその姿を変えており、クロは久しぶりにロロがロボットであることを認識したのであった。


「うう⋯⋯どう、して⋯⋯? なんで逃げる、の? クロ、お姉ちゃん⋯⋯!」


 途切れ途切れに聞こえてきたその声に、はっと慌てて視線を戻すと、そこには苦しげな表情で自分の胸を掻きむしるムイムイの姿があった。クロがそっと短剣を胸の前で構え、臨戦態勢で見守る中、ムイムイはさらに激しく自分の胸を掻きむしる。

 その動きのあまりの激しさにクロが危機感を抱いた時には既に遅く、ムイムイはなんと、自分の胸をえぐり、その中からドクドクと脈打つ心臓を取り出してしまった。


「ほ、ほら⋯⋯みて、わたしの、こころ(・・・)⋯⋯。こんなにあばれて、おちつかないの⋯⋯。ねえ、クロお姉ちゃん、わたし、どうなっちゃうの? どうしたら、このきもちを、おさえることができるの⋯⋯? ねえ、こたえてよ。ねえってば!!」


「落ち着いてムイムイ!! とりあえず、その心臓を一旦身体に戻して!! 心臓がなくなったら流石に貴女でも死んじゃうから!! ⋯⋯死んじゃうよね? ちょ、ちょっと自信ないけれど、とりあえず落ち着こう!!」


「クロ!! 貴女も落ち着いてください!! ムイムイは一応人間ですよ? 心臓がなければ死にます!」


 目の前のショッキング過ぎる光景に動揺するクロ。クロを落ち着かせるべく声を張り上げるクリスタであったが、この場に居なければクリスタのこの言葉も意味不明なモノに聞こえるであろうことは間違いない。


 ムイムイの奇行により一気に混沌と化した場の空気。そんな空気を断ち切らんとばかりに、陽気なメロディーがクロ達の耳に聞こえてくる。どこか聞き覚えのある懐かしいメロディー。その歌声に、ムイムイも含め、この場に居た全員が彼女のほうに視線を向けた。


「さあさあ、やってきましたメロディ・メアリの復活コンサート!! 観客は悩める少女、ムイムイちゃんと、その家族!! 意地悪な神様に感情を操られて、自分の本当の気持ちが分からない? 大丈夫!! そんな時は~、このメロディ・メアリの歌を聞けーーー!!!」



次回、とりあえずムイムイに関しては解決する予定です。

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