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神様の遊戯盤の上で  作者: 赤葉忍
Final stage 『To be continued?』
101/110

最期の晩餐

エンキ戦、開始ぃぃぃ!!!

『ようこそお前ら! よくここまでやって来たね。とりあえずその無駄な努力を褒め称えるべく、最期の晩餐と洒落込もうじゃあないか!!』


 フローラ達の頭に直接流れてくる、忌々しい声。その声によりぐんと意識を引き寄せられたフローラ達14人は、白く細長いテーブルを囲むようにして椅子に座っていることに気付く。それと同時に、長方形の形をしたテーブル、その短辺にあたる位置に置かれた他とは明らかにデザインの異なる高そうな椅子、その椅子の肘掛け部分にもたれかかり、優雅にワイングラスを揺らしている仮面の人物⋯⋯エンキの存在にも。

 反射的に椅子から立ち上がろうとするフローラ。そんなフローラに対し、エンキはただ一言、こう告げる。


『宣告。「拘束」を与える』


 すると、フローラの座っていた椅子の肘掛けがその形状を変化させ、立ち上がろうとしたフローラを椅子に縛り付ける。そして、どうやら縛り付けられたフローラだけではなかったようで、皆一様に拘束から逃れようともがいている。


『まあまあそう興奮しないで。ちょっと話でもしようじゃあないか。私とお前らの仲だろう?』


「⋯⋯貴様なんかと話すことなどない!!」


 フローラは、巫山戯た台詞を平然と吐いてくるエンキに拒絶の意志を示しつつ、密かに攻撃する機会をうかがっていた。フローラのギフトを使えば、椅子の拘束から身体を『浮かせる』ことでこの拘束を抜け出すことはたやすい。ただ、ここで下手にエンキに攻撃しようものなら、拘束されている仲間を危険にさらすことになる。だから、今にもエンキを殺したい衝動を必死に抑え、椅子に縛られたフリを続けるフローラ。そんなフローラ達に、エンキは何故かより一層フレンドリーに話しかけてくる。

 

『それがさ、私の方にはお前らと話したい理由があるんだよ。もっと正確に言うなら、お前らに「提案」がある。⋯⋯お前ら、私の守護者になるつもりはない?』


「⋯⋯は?」


 フローラは、エンキが何を言ったのか理解出来なかった。⋯⋯いや、したくなかった。もしエンキが本気でそんな戯れ言を口にしているとするならば、フローラはもうこの胸に渦巻く怒りを抑えきれる自信がなかった。だが、無情にもエンキの口からはとんでもない言葉が次々と出てくる。


『いやさぁ、正直私もお前らがここまでやれるとは思わなかったわけよ。あの守護者たちを全員倒すとかホント予想外!! 私に真正面から喧嘩売ってくるその度胸も、最初はムカつくだけだったけれどここまでくるといっそすがすがしいよね!! お前らなら、前の奴らよりもきっと上手く守護者をやれるはずだよ!』


 エンキの予想外の提案に、皆一様に唖然とした様子で言葉を失っている。それぞれの胸に宿る感情は、困惑、そして怒り。しかし、皆の心情を知ってか知らずか、エンキはさらにとんでもない爆弾をフローラにぶつけてきた。


『それに、ほら。フローラもさぁ、確かに私のゲームでペトラ死んじゃったわけだけど、今こうして隣にいるんだし、私に復讐する理由って正直もうないよね? なんなら、私の守護者になってくれたらペトラに永遠の命を与えてもいいよ? 私なら、それが出来る。だって私は⋯⋯』


 しかし、自信たっぷりの口調で続けようとしたエンキの言葉は、エンキの結界に巨大なハサミが振り下ろされ、ガキィィン!! という激しい音を立てたことによって途切れてしまう。


『⋯⋯一体何のつもりだ、ムイムイ。正直、お前はこの中でも一番素直でいい奴だと思っていたんだけれど?』


 一気に冷めた口調へと変化し、自分の言葉を遮った相手⋯⋯ムイムイに対し、仮面の奥から冷たい視線を向けるエンキ。しかし、ムイムイは底冷えするようなプレッシャーを放つその視線から一切目を逸らさず、キリッと眉を吊り上げてエンキを睨みつけた。


「ムイムイ、お前、きらい!! ムイムイのなかま(・・・)、きずつけるお前、ともだちにもしたくない!! だからここで⋯⋯こわしてあげるの!!」


 そう叫び、ムイムイは拘束されていた自分の身体を強引に引きちぎる。その直後、素早く自分の身体を縫い合わせたムイムイは、エンキに再びそのハサミを向けた。

 

「私も加勢する! ムイムイを一人で行かせるか!!」


 ムイムイがエンキに攻撃する意志を見せたことで、クロも慌てて影の中に潜り、拘束から抜け出す。そして、この機を逃してなるものかと、自力で拘束を抜け出せるメンバーは皆ムイムイとクロに続いた。


 フローラがするりと拘束から抜け出し、ペトラは髪で拘束を断ち切り、リリィは唾で拘束を溶かす。それぞれが異なる方法で拘束から抜け出した。


「援護するよ!! ふざけたことばっか言いやがって⋯⋯! 喰らえ、特大プリン!!」


「皆振り向かないでー!! 『顔面光《スターちゃん可愛いフラッシュ》』!!」


 さらに、拘束から抜け出せないラモーネとスターも、仲間を援護するため自分たちのギフトを発動する。フローラの剣がエンキの心臓を狙い、ペトラが拳状に固めた髪がエンキの胴体を襲い、ムイムイのハサミがエンキの首目掛け突き出され、背後に回り込んだクロは短剣でその背中を刺す。リリィは、スターの額の光の眩しさに目を細めつつも、その毒で全員の拘束を溶かし解除する。


 それぞれがギフトを最大限活用し、行われたエンキに対する奇襲。しかし、フローラたちの刃がエンキへ届くことはなかった。


『⋯⋯宣告。「衝撃」を、与える』


 エンキがそう呟いた瞬間、エンキを中心とした激しい衝撃派が発生し、たちまちにしてフローラたちを吹き飛ばす。先程まで全員が座っていた椅子、テーブルすらも天高く舞い上がり、また数人が同じように衝撃波で天高く吹き飛ばされた。


「くっ⋯⋯!! これしきの衝撃、なんてことないですわ!!」


 とっさにドリルヘアーをアンカーのように地面に突き刺し、踏ん張ったペトラがすかさず髪の毛を展開。吹き飛ばされた仲間全員を何とか救助することに成功する。


 しかし、一人だけ、ペトラの髪の毛で捕捉できなかった仲間がいた。


『⋯⋯あーあ、さっきまでのいい気分が台無し。ってなわけで~やっぱりお前ら全員死ね♡ そして⋯⋯ムイムイ。お前には⋯⋯仲間に対する、「殺意」を与える』


 エンキの手によって頭部を握りしめられたムイムイ。エンキがそう『宣告』した瞬間、先程まで必死で抵抗していたムイムイは途端におとなしくなり、その瞳は殺意で黒く染め上げられた。


『はっはっは!! やっぱりお前はこうじゃないとね!! さあ行け、最凶の処刑人!! その手でお前の愛した仲間を⋯⋯皆、”おともだち”にしてやるんだ!!』


 エンキの言葉に、無表情にこくんと頷くムイムイ。その姿に、過去のムイムイを知るクリスタとクロは、そろって背筋を凍らせた。


 -最後の戦いは、まだ始まったばかりだ。


 



はい、いきなりヤバいぃぃぃ!!

果たして、このヤバい状況に打開策はあるのか?

次回もなるべく早く更新するよ!!

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