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高校生映画人~青春の監督達~  作者: Boukun0214
石井スクリーンプレイ
4/11

ひねくれた正直者



「面白い映画を撮れるのか?」





それが、伊丹さんからの初めての言葉だった。


突然の言葉に、僕は混乱する。



ようやく口から出たのは、弱々しい、こんな声だった。



「えっと、たぶん・・・」



しかしすぐに切り返される。



「"たぶん"などという曖昧な表現は好きじゃないな。」



やばい。なんだこれなんだこれ。


何か、良い言葉はないのか。



僕が困って言葉につまっているところで、溝口さんが助け船を出してくれた。

いや、逃げ道かな?



「おっと伊丹、彼をおちょくるのはこれまでだ。」



そして、相変わらずの眈々とした口調で続ける。



「それで、本題なんだがな。伊丹、石井、河瀬の三人に、次に撮る映画の企画を作ってきてもらう。」



その意味をメンバー全員が理解したときの反応は、様々だ。


宮川さんはおおっと言うように僕らの方を見てきたし、本多さんと内田はえーっと言いたげな顔をした。

河瀬はびっくりしたようにその場で止まってしまった。

伊丹さんの前髪に隠れた目が、少しだけ期待に染まっているような気もした。


そのときの僕は、多分、にやけてたと思う。



「企画、ですか・・・?」



河瀬が、おそるおそるという表現がぴったりな声でそう訊く。



「そうだ。たててもらった三本の企画の中で一番良いものを、今年作る映画にする。」



溝口さんがそう言うと、内田が、納得いかないと声をあげた。



「えーっ!私のじゃダメなんですか!?」



内田には、溝口さんがやれやれと反論する。



「お前は発想は面白いがまだ未熟だ。本多だと怪獣映画になるし、なにより費用がかさむ。宮川はそもそも専門外だからな。」



内田、本多さん、宮川さんの順にちらりちらりと目で追っていく。


宮川さんは専門外ってことは、企画じゃなくて技術の方なのかな?



「お前が推薦したんだから、文句言うな。」

「・・・はーい。」



内田は溝口さんの言葉にぶーぶーと文句を言いながら頷く。

どうやら、そうとう納得がいかないようだ。


溝口さんは僕らの方に向き直ると、



「まあ、というわけだ。来週、企画会議をやるから企画書をもってこい。体裁はお前らの好きなようにしろ。・・・できるな?」



と、決定事項を述べた。



「・・・はい。」



河瀬が自信なさげに頷く。


一方で僕は、自信満々にこう答える。



「もちろんです!必ず良い企画を持ってきます!」



しかし、僕の言葉に突っかかってきたのはまた伊丹さんだった。



「・・・君はちょこちょこ表現法方が変わるな。軸がぶれっぶれじゃないか。」



その言い方に、さすがの僕もムッとする。



「そんなことないですよ。」



伊丹さんは、なら、というように僕に念をおした。



「じゃあ、一週間後にはその『良い企画』とやらを"一週間後"に見せてくれたまえ。」



わざわざ"一週間後"というワードを強調してきた。


僕が言い返せないでいると、



「楽しみにしてるよ。」



と言い残して、伊丹さんは荷物を肩にひっかけて部屋の外へと出た。



少し間を開けて、河瀬が溝口さんに質問をする。



「伊丹さんって、いつも、あんな感じなんですか?」



溝口さんは溜め息をついて答える。



「そうだな。誰に対してもあんな感じだし、別に気にするなよ。」

「伊丹くんは、照れ屋ですからね。素直じゃないんですよ。」


宮川さんも笑って答えた。

非常に納得がいかないけど、僕は、うなずいた。



「・・・はい。」

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