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英雄達は波乱を望まない  作者: 樫尾格
学園一年生編
7/18

第七話



 今回のお話は、鬼畜や外道を遥かに超えた人たちが出てきますので苦手な方は、読むのはお控え下さい。具体的にはレ○プ、輪○、etc……。

 それでも読んでくれる方がいたら作者は飛び跳ねて喜びます。


 不適切だと思った方や不快に感じた方がいましたら、すぐにノクターンにしたいと思います。

英雄達は波乱を望まない第7話




 ???視点



 これはとても昔の…一般の人々から忘れ去られるほど昔の話。


 あるところに24人の特別な力を秘めた巫女がおりました。

 その巫女以外の人たちは、今でいう魔法や魔術、特殊な能力が使えない中…その巫女達は普通にその力を使うことができたのです。


 それぞれの国はなんとかしてその巫女を自国にひき込めないか、もしくは奪えないか虎視眈々と狙っていました。


 巫女達はある一国で、人々からの依頼を受けて生活しておりました。


 依頼は、他の国に漏れ出ることが無く、巫女達は腕利きの信頼できる用心棒に守られているので襲われることはまずありませんでした。


 あの時までは。


 その日は新しく来ることになった用心棒といっしょに人々から、日照りで作物が実らなくなり、雨を周期的に振らせて欲しいと要望があり、巫女達がその場に赴きました。しかしその場では、村人達が血の海に沈んでおり、他国の騎士達が一国あたり100、それが20以上の国が集合していて巫女達はどういうことかと驚きました。


 どうやら新しく来た用心棒が他国に一生を遊べて暮らせる大金に釣られてしまい巫女達の情報をバラしたようなのです。


 そこからは一方的なものでした。


 いくら巫女達が特別な力を宿していようにもそれはまだ技術的にも未発達でおまじない程度の力。あっという間に他国に捕られたのでした。


 そしていざ他の国が戦利報告しようとなり、一人巫女がいないことに気づきました。


 その後どこを探しても見つからず、その騎士達は諦めてそれぞれの国へ帰って行きました。


 見つからなかった巫女は自分が開発した透過の魔術を使い、ばれないように自国に帰ったのでした。その魔術はとても魔力の消費が大きく、複数かけると自分たちが国に着く前に魔力がなくなってしまう可能性があったので心苦しいながらも、涙を流しながらも自分一人だけ逃げ延びたのです。


 逃げ延びた後、そのことを自国の国王に伝えると

「それは…まずいな。できるだけ情報は集めるが、これは………」

 と王様はたった一人逃げ延びた巫女のことについて悩んでしまいました。


 そして王様が出した結論は……巫女を王様の所領の森の中に住まわせることでした。他の国に巫女のことを話そうものなら「なぜその存在を隠していた」とかなんとかで一斉攻撃されて滅亡するのは目に見えていました。王様の所領の森は他国が勝手に入ることが出来ない場所にあったため、匿うのにうってつけでした。


 その巫女の支援は手厚く、建物だけで一生は暮らせそうな大きさ。毎月食料や衣料品、その他もろもろを届け、使用人達も二年をめどに暮らしながら働き、年に一度半分の人員を交代しながらのものでした。


 巫女の血を絶やさないために婿となる人物にも力を注ぎました。


 心優しく逞しく、理知的でまるで理想のような男性を王宮で探し、候補となった貴族の嫡男達を大臣達の目と国王自らの目で厳選し、選ばれた複数名のもの婿候補達を巫女のいる森に年に一度の交代の時に向かわせ、巫女が婿を選びそのものと一生を共にして暮らすようにしました。


 そして巫女が婿を選び、その半年後、子供を身ごもったと王宮内に文が届き、その約1年後に、月に一度の配達の時に王が巫女の様子を見に行き、仲睦まじく暮らしている巫女と貴族の嫡男。その間で幸せそうに巫女に抱かれて眠っている赤子がおりました。


 その後何度か子供を授かり、様子を見に行くことを繰り返してた王様は、巫女の異質性に気がつきました。


 その巫女は女の子しか子供を身篭らず、男の子は一人としていませんでした。


 その赤子の女の子達は巫女と同じ力を宿しており、どの子もこの世ならざる美しさを持つ巫女達と比較しても引けを取らないくらいの美少女達でした。



 他の巫女達の暮らしはというと凄惨なものでした。


 ある巫女は帝国内の宮廷で王様の愛玩動物として弄ばれ


 ある巫女は地下に閉じ込められ、屈強な兵士達の性処理をさせられ


 またある巫女は支配者の力の象徴として、その支配者の横に裸で付き従い、場合によっては公衆の面前で支配者に犯されたり民間の者達に使われたり


 という末路でした。


 巫女達は自殺しようとすると世界の加護が働き、巫女の体を守るので、ただただ嘆くことしかできなかったそうです。


 その捕らわれた巫女達は、行為の結果子供ができるとすぐに隔離され、子供が生まれればその子供と引き剥がされ、また前の陵辱に遭わされるといった身も心も引き裂かれるような思いを何度もして、巫女達は壊れていきました。


 その巫女達の子供はいずれも女性のみで、何の知識も与えられずそれ相応の年になり初潮を迎えたり、その前の段階で陵辱されても何も学ばされなかったのでそのことに対して何の感情も抱かず、ただただある日常としか思えていなかったので、心自体はまだ巫女より壊れ辛かったようです。


 それが幸せかどうかはわからないが。


 そしておよそ百年後、とうとう世界各国が動こうとしていました。巫女を手に入れた国は充分な力を手に入れたと思い込み、近隣諸国に巫女の子供達を向かわせ、魔術で国を落として行きました。


 他の国も同様で巫女の子供達を戦場に送り、魔術の遠距離からの一方的な攻撃ばかりをしていました。


 その巫女の子供達はそこで初めて兄弟姉妹として出会えたのですが、その子達は

「自分とどこか似ている」

 という言葉しか出てこなかったようです。


 どこか似ているのは同じ血を継ぐ者だからか、それとも境遇が似通ってるのか。


 そして、兵士達と巫女隊が遠距離、近距離双方から攻める陣形が有効だと開発した国は瞬く間に他の国を剣呑していきました。


 その陣形を開発した兵隊長は表向きは「近距離と遠距離どちらもカバーし合うことができる」という理由であったが、本当は、巫女を夜営の時にいつでも犯せるからという真の理由であったという。


 その戦果はすさまじかった。それと同時に兵士達がその勝利の余韻で、血が(たぎ)ってしまい、それを慰めるために巫女を輪姦していたとか何とか。


 そんな中、逃げ延びた最初の巫女の子供達の子供達が成人となり、子供を身ごもった時にそれは起こりました。


 神からのお告げがあったのです。内容は

「あなたの子供は今までの前例にない男性です。そして、その子は12でこの国を旅立ち、世界を見て回ります。その時に世界各国で起こってる異変や、囚われているとも知らない姫達を救うことができるでしょう。私は彼が12になった時、世界各国で起こっていることを伝え、彼の力になる物を渡します。願わくば、あなたが彼の味方であらんことを。」


 巫女は疑いました。自分の祖母や母、姉妹は女の子しか産まなかったのに自分は男の子を産むということに。


 早速文で王様に神からのお告げの内容と自分が産むのは男児であるとを伝えると

「そうか、ではその子には武に長けたものと智に長けたものを遣わせ、力を備えさせよう。」


 と積極的に協力してくれることになりました。


 そしてその巫女は神のお告げどおり自分が産んだのは男性であるのを知ると、積極的にその子供を育てました。


 そしてその子は天才で、齢10にして武術や智謀に長けた人達から「自分たちが教えることはもう何もない」と言われたそうです。



 そして運命の時は来ました。


「かあさま。神からのお告げがありました。」

「そうなの?お母さんに相談してご覧なさい。」

「はい。まず……」


 そこから息子が見たことも聞いたこともないことを話しました。その内容は昔祖母の時代の時の捕らわれた23の巫女達の境遇とそれを何とも思わない周囲の人間。そしていずれは世界が火の海になる大戦争があることでした。

「うっ、ぐす。えぇ、そんなことがあったのね。」

「はい。そして神様からこのような者をいただきました。」


 そう言って息子が見せてくれたのは一冊の分厚い本と、片手サイズの箱のような者。

「それは?」

「はい。こちらの本はレメゲトンと呼ばれる、かあさまや他の巫女の力を引き出すことができる魔道書です。そしてこちらの箱は…」

「はこは?」

「パンドラの(はこ)です。捕らわれた巫女達に会ったら開けるように神様に言われたものです。詳しくは僕も知りません。申し訳ございません、かあさま。」

「いいのよ。旅立ちは一ヶ月後に王様が調節してくれるらしいからそれまでに今までお世話になった人たちに挨拶なさい。」

「わかりました、かあさま。それではこれにて。」


 と言って息子が立ち去っていくのを見届けた母親。

 すると物陰から一人の優しそうな好青年が現れました。

「あら、あなた。見てたのなら声をかけてもよかったじゃないの?」

「残念だが、俺には神からのお告げなんてなかったからな。選ばれたお前達の会話に入るのは忍びなかった。仕方ない、一ヶ月の挨拶の時にあいつに一言いうだけでいい。」

「そんなことないわよ。神様のことだからあなたの人間性を理解して言わなくても大丈夫だと判断したのでしょう。私の自慢の夫だもの。それくらい当然でしょう?」

「あぁ、だが。あいつともここでお別れか。何だか寂しいものだな。」

「不安ならついていけばいいじゃないの。あなたの腕ならそんじょそこらの兵士は歯が立たないはずよ。」

「そんなことは俺もわかってる。だが、俺がここから離れるわけにはいかないんだ。」

「クスッ。とても誠実なのね。誇り高い騎士の家で、育てられたあなたは私たちを見捨てることができないものね。でも私たちも魔術があるのよ?」

「いくら魔術とかあると言っても、心は女の子だろう?油断もあれば隙もある。」

「あらあなた。お上手なのね。」

「俺にとってお前はいくら年を重ねても女の子だよ。」

「まあ、あなた」


 そんな感じで一ヶ月は光陰のように過ぎ去っていった。巫女の家唯一の男児である彼はたくさんの人に見送られながら旅立っていった。



 その男児の名は[ソロモン]。父にダビデと母にバトシラを持つこの世界の救世主であった。


様々な世界各国の状況を見て、たくさんの仲間を作った彼はその国々で捕らわれていた巫女達を助け出した。


 後に世界中の国々VSソロモンとソロモンの仲間たちとソロモンの生まれ国との全面戦争に発展したが、これをソロモンは一人で制圧し、傲慢な貴族と独裁者全員を粛清、後に全員が平等に意見が言える戦争の無い平和な世界を創った。


 彼はこの世界を救った後、次元の割れ目を作り出し消えていったとされる。




☆☆☆☆☆☆☆


「ほぉ、禁書庫にこんな本があるなんてなぁ。なかなか現実的でグロいロマンチックな本じゃないか。」


 俺はそう言ってその本を閉じる。その本のタイトルには【ソロモンと世界の秘密】と書かれていた。

 この話は忘れ去られた時代に歴史を研究していた人たちとその作家が手を組み、後世に記したものであるが……


「都合が悪いからと人々の記憶から消すのは、いつの時代も同じ事だな。それで同じことをしてしまうから人間というものは愚かで罪深い。」


 俺はそう呟き禁書庫を出る。ここの図書館は世界各地から取り寄せた本が置かれており、特別な権限がないと禁書庫に行けないようになっている。俺は正当な手続きをして入ったまでだ。



「さて、この時代に転生してきたソロモンさんは……果たしてあいつらを救う事ができるのだろうか。」


 俺は転校してきた男の顔を思い浮かべる。あの頼りなさそうな顔をしている奴に任せなくちゃいけないのは(しゃく)だが、それしか方法がないのが悔やまれる。


「せめて俺が守りやすい位置にいてくれればなぁ、ダンスカーに入ってくれれば何とでもできるんだがな。」




 俺の名は……龍皇浅兎。高等部生徒会長にしてこの国の次期大統領最有力候補だ。

 今日読んだ本の内容を覚えながら俺は家に帰った。

 そういえば今日はコンスが家に飯を作りに来るんだったな。あいつの料理はうまいから楽しみだ。


 消されるかノクターン行きだな!!(確信)

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