第五話
この物語は作者が日本にとても良く似た世界で日本とはかけ離れた、でもどこか日本チックで日本じゃない世界で愛を叫んだところで不審者扱いされ、警察に連行された物語である※違います。
英雄達は波乱を望まない第5話
龍皇浅兎視点
俺は生まれた時から特別だった。俺はこの国の中でいちばん偉い存在の息子だった。
ゆえに物心ついた時から英才教育を施されていた。教育係は高校生くらいの若い女性でその時、俺は彼女のことを”爺や”と呼んでいた。
それとは別に、俺には特殊な力があった。未来を予知するといった力が。
それは年を重ねるごとに段々と強くなっていき、今では一年位後までの複数ある可能性のうちの幾つかを予知することも可能になった。
5歳の時そのことを爺やに話したら
『そのことは誰にも言っちゃいけないよ。利用しようとか処分しようとか考えちゃう人がいるからね。それは私とあなただけの秘密ってことで周りには内緒だよ』
高校生2年になった今だからこそわかる。
この力は強力すぎて、周りから畏怖しか集めないと…
☆☆☆☆☆☆
「ぐっ、うぉぉ……な、なんで……き、貴様が、ここに……」
今俺は親和工業付近の商店街に来ている。
そこには親和工業のチンピラ生徒がたむろしていた。そこに俺が駆けつけ、殴り込んだ結果、俺を除いたチンピラ全員が地に倒れ伏している。その中で、今朝俺の生徒に手を掛けかけた奴を見つけ、髪を引っ張り無理やり立たせる。
「ひぎぃっ、いっだだだだだぁぁ。」
「質問に答えろ。今朝お前らが俺の生徒を手にかけかけたのは本当か?」
「いだだ、手はあの時掛けてなかったし、先に手が出たのはお前らあ”あ”あ”ぁぁ。」
「男子生徒3人が女子生徒とひ弱な男子生徒に尻尾巻いて逃げたんだっけか」
「てめぇ、この__」
「で?誰に指図された?」
「……言うなと言われあだだだだ」
拷問用に俺の彼女が開発をしてくれたスタンガンを腹に突きつけ吐き出させる。後の未来の可能性で転校生が、ここの制服を着た奴に殺される未来が映った。最近ではあいつのこと関連では未来の映りが悪く、不確かな未来になってしまったが、一度強く出た結果だ、そうそう変わることはないだろう。
「で?誰に言われてやったんだ?」
「生徒会の野郎から裏からのお達しだって言われてそれでやってたんだ、それ以外は何もしらねぇ!ほら言ったんだから手を離せ!!」
「あぁ、離してやるよ。こうしてな!」
「ギャァァ!!」
俺はそいつの足を掴んで死なない程度の威力で放り投げた。そいつは小気味いい音を出して地面と熱いキスを交わし、ビクンッビクンッと震えている。
「お前らにはもう用はない。これ以上うちの生徒を傷つけようものなら、これの応酬がまたあると思え!」
そこにいたチンピラ共は震え上がり、あるものは失禁し、あるものは戦慄いていた。
今日は月に一度の生徒会定例会だったな。放課後までには間に合わせるか。
そう思って俺は走って戻っていった。
☆☆☆☆☆☆☆
生徒会定例会は理想学園の初等部、中等部、高等部、大学部が一堂に会して活動報告や今後の課題などを話し合ったりするものだ。丁度いいと思い、今日の内容を議題にしようと思った。
「…して大学部は特に問題なく、多少のトラブルはあれど、学校を動かすようなことはない。」
大学部の生徒会長がそう言葉を締めた。彼の名は神山康介。黒髪黒眼の男子生徒で、生徒会長としてはそこそこ優秀な生徒だ。あまり接点がないので説明するのも難しい。というのも彼はあまり目立った活動は行っておらず、それ程知名度はないのだ。しかし大学部の生徒はとても気性が荒いが、彼の舵取りが卓越しているからだろう、行事ではその大学部の生徒全員の一致団結した取り組みはもはや風物詩となっている。
そして俺の番になってくる。
「じゃあ次は俺か、”学校内”では特にトラブルのようなものはない……あっ、転校生関連であったら山のように出てくるな。まぁ、こっちでなんとかできるから問題ないとして__」
「学校外で何か問題があったんだね?」
中等部生徒会長が俺にそう聞いてくる。彼女の名前はコンス・タン・テイン。テインネットワークスの跡取り娘にして、稀代の天才と言われている少女だ。彼女は家柄で理想学園に入り大学部卒業まで一般教養を受けるという理由で入ってきてるが、もう一つの目的が確実に安全な環境での研究開発だ。理想学園は他の外部勢力の影響を全く受けないため、彼女は次世代の機種や機能を開発する機材を学校の寮に持ち込んで、研究開発している。その造った試作品をデータを取るためといっていつも俺に渡してくれる。俺は彼女の言ったことに対して無言で頷いた。
大学部の生徒会長が質問を投げかけてくる。
「てことは学校を動かすことになると?」
「可能性はなくはないがな。俺がなんとかできればいいが……」
「抱えきれなくなったらボク達の出番ということだね。」
「あぁ、その時はよろしく頼む。」
そんな感じで一通り話が終わり、一同解散の流れになった。
初等部の生徒会長は、普通であれば最初に事務的な内容を優先し、早めに帰すのだが…
「……ぐぅ、ぐぅ、すや…すや……」
その初等部の生徒会長…子皇文香は今、その会議に使われている高等部生徒会室に備え付けられているソファでぐっすりと眠っている。
彼女は俺の教育係の爺やが、俺の家にしょっちゅう来ていた当時中学3年の子皇李徒という男性と恋に落ちた結果生まれた爺やと李徒の娘だ。子皇家は龍皇家の分家のようなものであり、李徒は俺の母親の兄の息子に当たる人だ。
文香は初等部4年で生徒会長になり、今初等部5年生だ。
この集まりの時は俺が文香を家まで送り届ける約束を爺やとしている。
そんなわけで文香は会議が終わるまでここで休んでいるというわけだ。
「あっ、浅兎君。少し待ってもらえるかな?」
みんなが帰ろうとした時にコンスから声がかけられる。
「どうした?何か用か?」
「うん。この間の研究の結果で新しくできた携帯の機能を見てもらいたいんだ。」
「あぁ、構わないよ。」
そんなわけで、みんなが帰り、文香が隣の部屋でぐっすり眠っている状況でコンスと二人きりになった。
「どうだい?ボクの開発した新機能は。問題なく動かせているかな?」
「あぁ、すごいなこれは。前にもらったやつもすごいが、その機種を変えることなく中身をアップグレードするなんてすごいじゃないか。革命が起きるぞ。やっぱりコンスは天才だな。」
「やめてくれよ恥ずかしい。でもこの新しい機能で、君の負担を減らすことができるよ」
「いつも悪いな。今度何かお礼をするよ。」
「ん?お礼かい?何を言ってもいいのかな?」
「あぁ、俺にできることであれば何でも。」
するとコンスの雰囲気が一変した。まるで子猫が甘えてくるような、それでいて妖艶さを醸し出しているような。要するに発情した。
「それじゃあ……君の遺伝子情報が欲しいな。」
「まて、ここは学校で生徒会室だぞ。そんなところでみだらな行為をすれば………」
「いいじゃないか、それにここに入ってこれるのは特別な人間のみ、そしてその人達は会議があるからと活動は休み、そして防音設備完備で音漏れの心配もない。うってつけじゃないか」
実際いうとコンスとはもうやることはやっている。だがそれでも毎回というわけでなく週末のデートの最後にそういったホテルを権力を使って入って致しているくらいだ。さすがに学校では一度もやってない。
何が彼女をそんなに駆り立てているのか思案して、はたと気づいた。
「そういえば最近、裏で動きすぎてかまってやれなかったな。」
「やっと気づいたよ。転校生関連の情報は確かに、ことと次第によっては生徒会を使って動かざるを得なくなるけど、でもそのおかげでボクは一人で慰めるしかなかったんだからね。」
「わかったわかった。でもきちんと掃除の手伝いはしろよ?あと実際に遺伝子情報はやれないがその予行演習だったら大丈夫だ。」
「うん。ありがとうね。………大好き、愛してるよ。」
「あぁ、俺もお前のことは愛してる。」
このあと無茶苦茶『ピー』した。避妊はちゃんとした。
☆☆☆☆☆☆
「ふぅ、これでよしっと」
「そうだね。換気も十分したしね。」
そんなわけで後始末を終えた俺たちは、帰ろうとして、隣からいつの間にか寝息が聞こえなくなり、代わりに「はぁ、はぁ、」と息遣いだけが漏れ聞こえてくる扉を開けた。
「…………なにしてんだ?」
「はわ、はわわわわ、兄様の兄様が姉様に出入りして。はわ、はわわわ……」
そこには、顔を真っ赤にしながら内股を擦り付けている文香がいた。
「ん?ダメじゃないか浅兎君、子供にそんなのを見せちゃあ。」
「確かに子供には教育に悪いな。文香、今のは忘れてくれ。」
俺とコンスはそんなことを口にする。すると文香はプンスカと不満顔をしだした。
「兄様、姉様。私はもう立派なレディーなのです。子供扱いされるのはごめんなのです!」
文香はそういって自分は子供でないと主張する。そこで俺が少し手を打つ。
「立派なレディーなら、覗きはダメだろう?」
「そうだね。後、立派なレディーならそうやって対応するのではなく、もっと穏やかに対応をするべきね。」
「む、むむむぅ。」
そこで完全に文香は口を閉ざしてしまった。因みに文香が俺たちの事を兄様姉様呼ばわりするのは、俺が初等部の頃に一緒にコンスと一緒にいることが多くそこに文香が加わった形となり、大人びて見えた俺たちに憧れを抱き、そう呼ぶようになったらしい。まぁそんなこんなで俺たちにとっても可愛い妹なのだが、子ども扱いをするとよくこうなる。そこから文香の機嫌をとるのにはとても苦労した。そして俺たちはようやく生徒会室を出る。
「おい、あれって生徒会長じゃないか?」
「ほんとだ。最強の二つ名を持つ歴代最高の生徒会長だ。」
「でもなんか少しやつれてない?隣にいる中等部と初等部の生徒会長はツヤツヤしてるけど」
「ほんとだ。でも何で何だろうな?」
「きっとあれだよ。龍皇生徒会長はどっちともヤったんだよ。」
「スゲェな龍皇生徒会長。まさに両手に華だな。」
「でも、どっちの華もアウトと言わざるを得ない背格好と容姿をしてるじゃない。というか一方は確実にアウトじゃない?」
「そうだ。てことは龍皇生徒会長はロリコンだったってことか?」
「そうよそうに違いないわ。」
「やべえ〜、ロリコンが移るぞ!逃げろ逃げろー!!」
周りの声は全くもって誤解だ。コンスは誤解じゃないがな。
☆
時は少しさかのぼり、あの後文香の機嫌をとるために褒めに褒めまくった。文香が俺に憧れていることはわかっていたから、自分でも歯が浮きそうになる言葉を並べに並べまくった。隣でコンスが「いいなぁ〜」と言ってたが無視した。すると少しずつ機嫌が取れて………
「……兄様は私の事がそんな好きなのですか?」
「あぁ、好きだ。今この場では宝石が塵芥に見えてしまうくらい。」
「私の言うこと聞いてくれますか?」
「あぁ、聞いてやるさ。お兄ちゃんはお前の言うことは何だって聞いてやるからな。」
「じゃあ!!」
俺はやりすぎたと思った。そこらへんでやめとけばよかったと思っている。
「今度デートに連れてってください!!」
まぁ、無難なところを突いてくれてこっちとしても一安心だ。
結果俺は二人の対応にやつれて、二人は俺の言葉と行動でツヤッツヤになったというわけだ。
「はぁ、変な噂がたつ。」
「いいじゃないか。事実なんだし。」
「俺はまともな人間なんだ。変人になんて見られたくない。
「兄様は文香のこと嫌いなのですか?」
「あぁ、嫌いじゃないぞ。だがもう少し年を重ねた方が俺の好みになるっていうか……」
「やっぱり兄様は私を気遣うためにあんなこと言ったんですね?ひっぐ、えぐ、」
「あー、泣き出しちゃったじゃないか。罰として文香ちゃんにも『愛してる』って言ってあげなよ。」
「…コンス、お前はそれでいいのか?」
「王族はたくさんの女性を侍らせるものだからね。ボクを一番に愛してくれれば、何も問題ないよ。」
「はぁ、」
女性関係ってわかんねぇな。俺は噂を何とかしようと考えて、文香たちを送り届けた。
次の日ヘルメス通信の新聞では『生徒会長はロリコン』とデカデカと載ってあった。
消されたりノクターンに飛ばされないか心配。
でもあの作品は自分より過激な気が……(自分のことは棚に上げていくスタイル。)
というかぶっちゃけコンスのイメージ像はあのアーサー百万人に出てくる純白型です。パクリ言われてもシカタネェナ。
追記
R18投稿してましたが、書けなくなるだろうと思って消しました。期待していた方はすみません。(誰が期待したんだろうか?)