第十六話
この物語は最近作者が溜めに溜め込んだネタが、「いい加減話進めろよ!でないと爆発するぞ!!」と脅してきて、まずいなと思い、待たせてる読者なんているはずないと達観しながら書いた話である。
柏野歌火視点
ぬいぐるみ事件から数日経ち…特に何か起こるわけでもなく平穏な生活が続いたある日の朝、レメゲトンの中にあるアルスノヴァに変化があった。本来何も書かれていないページに焼け焦げたような文字で
気を付けろ
だが、乗り越えれば強くなる
とだけ書かれていた。家族にこのノートのことは一切話してないし、ましてや誰かに書かれるような心当たりもない僕は、気味が悪いと思いながらその日家を出た。
それは僕が絶対に忘れてはいけない記憶の出来事の序章の幕開けだった。
朝は早乙女さんとブランさんと通学路は途中から同じだからその日も一緒になって登校していた。そこで今日の朝にあった文字の手がかりを少しでも得るために早乙女さんとブランさんにも書くことにした。
「あ、そうだ早乙女さん。この文字に見覚えとかってある?」
「あ?お前が書いたんじゃねえのか?」
「でも柏野君の字体とは少し違うんですのよ。こんな古臭そうな文字は柏野君書かないと思いますのよ」
「え?でもこの字…あぁ確かに。わりい、心当たりが全くねぇ。」
「ワタクシもこの字体は存じ上げませんね…力になれそうにもないです…」
そういって二人は僕に謝ってくる。うーん、じゃあ誰が書いたんだろう?
そんなことを思っていたから周りに目が行かなかったんだろう。一瞬だけ「…準備完了。仕掛ける?」「…仕掛ける」と小声で聞こえた。僕がその声に振り返るよりも先に場慣れしてるであろう早乙女さんとブランさんの対応が早かった。
「誰だそこにいるやつは!出てこい!」
「出てこないと痛い目見ますわよ!」
「え?なに。なにが起きてるn…ふぎゃっ!」
僕が驚いて二人の方を見てる間に後ろから全身を覆える袋を被せられ、そのまま袋詰めにされてしまった。
「あ!か、柏野!」
「チッ…本命は後ろだったですの」
「早乙女さん!ブランさん!なにが起きて…グベェッ」
僕がなにが起きてるか聞こうとしたら首筋に一撃を入れられそのまま意識を失った。
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早乙女流火視点
チッ、やられた。まさか二人だけの犯行かと思ったら四人もいやがるじゃねえかよ。ブランと背中合わせになりながら柏野の入った袋を見やる。…あいつ柏野の首に一撃入れやがって…傷を残してたらタダじゃおかねぇ!!
「歌火ちゃん。冷静になるですのよ。相手は親和工業ですがその中の手練れの部隊…油断すると一瞬ですのよ…」
ブランの声で我に帰る。まぁ手加減なく暴れられるのはブランのおかげだから構わずに暴れる気は無かったが……
「おめえらの目的はなんだ!柏野を攫ってどうするつもりだ!」
オレが目的を聞くと、リーダーらしき人物が一言
「問答に付き合うほど暇ではない」
と言って右手に爆弾のようなものを掲げて地面に振り落とした。あいつ!まさか爆弾でオレ達ごと!?
と思ったが違った。辺りにものすごい勢いで煙と粉が蔓延し、見えなくなった。
「おらよ!」
オレはすぐさま魔力を右手に集中させ、できる限り煙幕を上に押し上げるように力を調整しながら拳を地面に振り落とした。
瞬間煙と粉が一瞬にして巻き上げられ視界が晴れた。だが全員同じ衣装に加え、用意したであろう柏野と全く同じ袋を全員が持って逃走していた。
「ブラン!!」
「こういうことしかできないのっ…が、悔しいんですのよ」
オレが声をかけるとブランはすぐに追跡魔法を逃げていく全員に当ててみせる。さすがとしか言いようがない程のコントロールだ。
「オレたちで追ってもいいんだが、こういう時は確実に生徒会とダンスカーに連絡を入れて待ったほうがいいよな。」
「ですわね」
そう思い、オレが携帯を取ろうとした時、向こうから誰かが走ってくるのが見えた。あれは…生徒会役員の腕章か…
「はぁ、…はぁ…ど、どうやら。間に合わなかった…ようだね」
「あぁ、一足遅れたな…生徒会副会長、ランスロット」
目の前の人物、サー・ランスロットに俺は睨みながら答えた。
生徒会役員の副会長であり、生徒会役員の中の暗部、円卓の騎士を纏めるリーダー的存在だ。恐らく生徒会長から詳しい話を聞かされてここに全速力でやってきたのだろう、息を切らしてるその様から見て取れた。
「本当に申し訳ない。僕が街に配慮しながら走ってたばっかりに…これなら街に被害が出てでも全力で来るべきだった…」
「いいって気にするな。お前らが全力を出せないのはオレらがよく知ってるからよ。それで、ブラン…連中はどこに向かって行ってる」
「あ、はい。彼らはバラバラに動いていますが、その目的地は同じようです…」
「そこはわかるか?」
「えぇはい。ですが、ここは何もないはずの、使われなくなった古い貨物倉庫ですのよ?そこに何があるのか…少し相手の動向がわかりませんわね。」
あぁ、そこは前オレとブランが仕事をしたところだ。地形も位置もしっかり把握している。だからこそ謎だ…あそこは文字通りでかい倉庫があるだけで何もない。
「ま、行かなきゃわからない。行ってみるしかないようだ。」
ランスロットがそう締めくくり、その倉庫へ行こうとする。その前に俺たちはダン・スカーに連絡を入れようとするとランスロットから声がかけられた。
「あぁ、ダン・スカーへの連絡はしなくていい。事前に会長が話をしたらしいからな。会長なら奴らが倉庫に行ったことも『視えている』はずだから連絡に時間は取らなくていい。」
それを聞いたオレ達は取り出した携帯をポケットにしまいその倉庫に向けて走り出した。
待ってろよ柏野…すぐ行くからな!
ええ申し訳ありません面目ございません。
あとがき一番が謝罪なのもあれですけどこれには足湯並みに深い訳がございまして(あっさ!!)
まぁ、言い訳は小説を書くモチベよりもゲームの方が勝ってしまいまして…今までずっとシャ◯バやブ◯ブレ、FG◯など色々やってしまい、さらにモンハン◯Xも重なってしまいという理由です。これからも不定期ですが更新していきますよ!!